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意地悪したいお年頃

 



 ◆エルちゃん視点





 ―――翌朝―――





「すぅ……すぅ……」

「エルちゃ……ん♡……あぁん♡ そこは……だめ♡ もぉ♡ すぅ……すぅ……」

「んん……?」


 早朝4時、楓、葵、エルちゃんの3人は1つのベッドで仲よく暖を取るように抱き着いて寝ていた。


 エルちゃんは楓と葵に挟まれながら、ウトウトと目を擦りながら目を覚ます。



「ふにゅ……ふわぁあああぁ………………んんっ」



 ―――暑い……暑すぎる



 寝室は快適な温度ですが、左右からかえでねーたんとあおいねーたんに抱き着かれている為、凄く暑い。お部屋から出たら寒いだろうけど、この部屋は【えあこん】と言う、暖かい風を出す優秀な魔道具があるお陰でお部屋は快適なのだ。


「ぐぬぬ!?」

「ふへへ♡ すぅ……すぅ……Zzz」


 現在、僕の右足はかえでねーたんの太腿に挟まれ、左足はあおいねーたんの太腿に挟まれて身動きが上手く取れません。完全に2人のお姉さんの抱き枕と化しています。まあ、いつもの事ですけど……


「ぐへへ……すぅ……すぅ」

「わぷっ……!?」


 やれやれ……かえでねーたんとあおいねーたんのお胸は相変わらず凄まじい破壊力を秘めています。今思えば、こうして僕が毎朝無事に目覚める事が出来てるのは奇跡なのかもしれません。


 かえでねーたんやあおいねーたんと一緒に寝るのは大好きですが、問題は2人の豊満なお胸に押し潰されないかが心配です。


 僕の顔よりも大きな胸が左右から迫って来る光景は、最早ご褒美とかでは無く恐ろしい物に思えてしまう時もあります。


 こないだ何て、目を覚ましたら何故かかえでねーたんの服の中に入った状態で胸を埋めて寝ていましたし、その前日は、あおいねーたんの太腿に身体をガッチリと挟まれて、2人のお胸の下敷きとなり夜中に目を覚ましたりと……まあ、端的に言えば、一番の問題はベッドが狭い事なのだ。



 世の中ではこういう事を【らっきーすけべ】と言うらしい。みくるちゃんに登場する敵の細菌マンが言っていました。



 確かにかえでねーたんやあおいねーたんは、絶世の美女と言っても過言では無い程に美しい。そんな2人に抱かれながら寝るのは至高だと思いますが、その反面ボクは毎日生命の危険に脅かされているのだ。


 そして、僕の理性を保つのだっていつも大変なのである。お姉さん達と暮らし始めてからは、だいぶ慣れた方ではあるけれど、お風呂に入る時だってなるべくお姉さん達の裸は凝視しないように、紳士として常日頃から心掛けて居るつもりです! 


 しかし悲しきかな……かえでねーたんやあおいねーたんのお胸は大きくて弾力があり、更には柔らかく、気付けば僕はいつもお胸に抗う事ができぬ。

 しかも、優しい母性が溢れる様な美しい声で僕を常に誘惑して来るのだ。かえでねーたんの美声は、思わず身を委ねたくなる程に甘美……つい甘えたくなるのです。あおいねーたんもかえでねーたんとはまた違う魅力があって、僕のSAN値が常にピンチだ。


「んん……美味しそう……はむっ」

「!?」

「チュッ……んふ♡」

「んぅ? かえでねーたん、おきてゆの?」

「すぅ……すぅ……Zz」


 僕はお耳をお口ではむはむされたり、吐息を掛けられるのは駄目なのだ。くすぐったくて身体がヒィッ……ってなるもん。てか、本当にかえでねーたん寝てるのかな? 寝ているのにピンポイントで、僕の頬っぺたやお口に意地悪してくるのだ。


「ぐへへ……♡」

「まったく……しょーがない、ねーたんなの」


 しかも、かえでねーたんに関しては、下着を身に付けて居ない時もあるので本当に困ったものです。僕はいつも理性を抑えるのに必死なのにかえでねーたんは幸せそうな顔でいつも寝ている。



 ―――僕だけいつもこんなにドキドキするのはズルい



 そして、一番驚いたのは前に目を覚ました時の事でした。


 僕の視界に入った光景は、何とパンツを穿いて居ないかえでねーたんの股間だったのです! あれには本当に驚いて、寝ぼけてた脳が一気に覚醒したかのように飛び起きましたからね!


 確かに僕も寝相が悪いと言うのは自覚していますが、目を覚ましたら女性の股間が眼前にあったら、そら驚いて飛び起きてしまいますよ! しかも、かえでねーたんのあそこ、少しだけ濡れていた気がする……ごほんっ。


 あの時は辺りを見渡して、急いでかえでねーたんのパンツを探すのに必死でした。まあ、そのかえでねーたんの黒色のおパンツは、何故か寝ているあおいねーたんの頭の上に乗っていたので無事に見つかりました。


 かえでねーたんは目を擦りながら起きても、何事も無かったかのようにパンツを穿いて、ニッコリと笑みを浮かべ僕を再び抱いて二度寝するし……こんな無防備だと、かえでねーたんがお外でいつか襲われてしまうのでは無いかと心配だ。


 男性から見たら、かえでねーたんとあおいねーたんは刺激が強過ぎる。変態不審者の魔の手からお姉さん達を守る為には、僕が早く成長して強くなるしかない。その為にはまず、最高の武器が必要です。


 今はかえでねーたんに買って貰った【伝説の杖】と【スーパーボール】がありますが、これではちと不安が残る。もう少しでクリスマスと言う性なるイベントがあるみたいなのだ。サンタさんに【剣聖ヒョーカ】の剣をお願いしてあるが、無事に手に入る事が出来るか少し不安だ。


「んん……あぁん♡ すぅ……すぅ……」

「…………」

「しゅき……♡」

「ぐぬぬ!? んん!」


 かえでねーたん本当に寝てるんだよね!? 寝言にしてはやけに……相変わらずかえでねーたんのお胸、柔らかくて気持ち良いなぁ。しかも、かえでねーたんから物凄く良い匂いがするんだ。優しくてほんのりと甘い香り……あおいねーたんは甘いスイーツみたいな香りで、リンスのフワッとした良い匂い。何だか、これでは僕が変態さんじゃないか……


 しかし、いつ見ても綺麗な肌に大きなお胸だ。ここで暮らし始めてから、色々なお姉さん達と出会いましたが、かえでねーたんを越えるお胸の持ち主とは出会った事がありません。


「んん……」

「んにゅ、あおいねーたん、おはおなの!」

「んんっ……? エルちゃんおはよう〜って、あれ? まだ4時じゃん。ふぁあああああ……眠む。もう少し寝よ……すぅ……すぅ」

「んみゃあああ!? わぷっ!? んんん!! もごっ!?」

「すぅ……すぅ……」


 寝ぼけてた葵は、再びエルちゃんをムギュっと抱きしめてスヤスヤと寝てしまったのである。エルちゃんは葵の豊満なお胸に顔を埋め悶絶していた。


「ぷはっ……はぁ、はぁ。ち、ちぬかとおもったの」

「エルちゃん……Zzz」


 今度はあおいねーたんの顔が近い。いや、あおいねーたんの唇が僕の頬っぺたに……ごくり。何だか意地悪したくなっちゃうよ。いや待てよ? 日頃かえでねーたんやあおいねーたんに意地悪される事が良くあるのだ。


 ぐふふ……こういう時くらいしか、まともにお返しする事は出来ないのだ! かえでねーたんもあおいねーたんはスヤスヤと寝ている。ぐふふ……今がチャンス!


「んぅ? なぁにこれ?」


 エルちゃんは楓の近くの枕元にある赤色、青色、黒色のフェイスペンを発見したのである。


「んにゅ……?」


 あれ? 僕が寝る時にこんなのあったけ? いつも僕が使う鉛筆とは違いますね。これもお勉強用具なのかな? 何でこんな所にあるんだろう? ふむ、気にしても仕方無いか。


「ぐふふ……ほっぺた、ツンツンしちゃうの♪」



 ―――エルちゃんがニヤニヤと楓や葵に意地悪しようとした時であった。エルちゃんが楓の頬っぺたをつんつんとしようとした際に、楓がエルちゃんの人差し指をパクリと咥えたのである。



「!?」

「むにゃむにゃ……」

「かえでねーたん! おきてゆ! ぜったい、ねたふりちてるの!」


 エルちゃんが楓の頬をぺちぺちと優しく叩くと楓は思わず笑ってしまった。


「えへへ……バレちゃった♡」

「まったく……かえでねーたんたら……んん!?」

「もう♡ エルちゃんのえっち♡ そんなにお姉ちゃんのパイパイが欲ちいのでちゅかぁ?」

「もごっ……!?」


 楓はエルちゃんを自分の方へと手繰り寄せた。エルちゃんの顔が楓の胸の間に挟まり、エルちゃんの顔はリンゴのように赤くなる。


「うふふ♡ 寝たフリしてた訳では無いんだよぉ? だってエルちゃん、寝ている時に寝ぼけてお姉ちゃんのお胸にちゅぱちゅぱして来るんだもん。お姉ちゃんの敏感な所……そんな責められたら色々と目覚めちゃうよ♡ むぎゅう♡ さっきエルちゃんが寝てる時、お姉ちゃんの乳房を咥えてチューチューしてたんだよ〜♪ まるで赤ちゃんみたいにね♡」

「んん!?」


 なぬ!? 僕、寝ている時にかえでねーたんのお胸ちゅぱちゅぱしてたの!? ま、まじか。全然覚えて無いぞ……


「エルちゃん、おしゃぶりあるよ? そ♡れ♡と♡も〜お姉ちゃんのお胸……ちゅぱちゅぱの方が良いのかなぁ? ばぶばぶ〜する? んん? 赤ちゃん♡」

「もう! ボク、あかちゃんちがう!」

「うふふ♡ そっか〜エルちゃんは立派な〇ん〇んだもんね♪」

「ち!ん!ち!」

「はいはい♡」


 この下りはもう良いの! 今はまだ、僕に貫禄はありませんが、そのうち成長したらかえでねーたんをお姫様抱っこ出来るくらいには大きくなってやるんだもん!


「ボク、おおきくなるの! かえでねーたんよりおお〜きくなりゅの!」

「うふふ♡ お姉ちゃんより大きくなっちゃうの? それはそれで魅力的だね♡ エルちゃん、身長を伸ばせる方法教えてあげようか?」

「なぬ!? しょんなのあるの?」

「あるよ〜それはね……牛乳を沢山飲むの♪」

「…………」


 うぐっ……あれか。あの白い飲み物……前にあおいねーたんに頂いた事があったけど、あれはどうしても僕のお口に合わない。味がどうしても……


「エルちゃん苦手だもんね〜飲めるようになると良いのだけど」

「ぐぬぬ……むずかちいの」

「あ! それか……もう1つ良い方法があるんだ♪」

「んぅ?」

「お姉ちゃんのミルクを飲む事♡」

「ふぁ!?」


 何とかえでねーたんは、上着を捲り上げてブラジャーを外し始めたのです! 僕の目の前にかえでねーたんの大きなたわわに実ったお胸が、こんにちはと姿を表したのです!



 ―――楓の目の色のハイライトが消え、頬は赤く染まりヤンデレ気味な表情へと変貌する。エルちゃんはまるで井の中の蛙と言った状態である。



「遠慮しなくて良いんだよ〜エルちゃんの大好きなお姉ちゃんの天然パイパイでちゅよ〜♡」

「かえでねーたん! ちゃんと、ふくきりゅの!」

「あらあら、そんなに顔を赤くして恥ずかしいのでちゅか? 寝ている時はあんなにお姉ちゃんの事を求めて激しかったのに♡ 本当は欲しい癖に〜♡」

「…………」

「ディフフ♡ あぁ……本当無防備なエルちゃん、そんなにお姉ちゃんを焦らして〜もう、頬っぺたぷにぷにしちゃお♪」

「んにゅ! あわわわ!?」

「はぁ♡ 綺麗な赤ちゃん肌だわ♡ モチモチぷるぷる♡」


 か、かえでねーたんの顔が近すぎる! 身体もあおいねーたんに抱きつかれているので動けぬ!


「葵ちゃんも無防備ね〜ぷにぷに♡」

「んん……もう、なぁにお姉ちゃん……?」

「あら、起こしちゃった? おはよ♪」

「おはよぉ……はぁ、朝から元気だね。私は眠いからもう少し寝る」


 葵は何事も無かったかのように再びエルちゃんを抱きしめて寝る。エルちゃんはベッドの上でたらい回しとなり、完全に楓と葵の抱き枕と化していた。


「私達も、もう少しだけお寝んねしよっか〜エルちゃんと葵ちゃん事抱いちゃうもんね♪ むぎゅう♡ んん〜スリスリ♡ チュッ♡」

「…………!? はわわ!?」

「エルちゃん、お耳も弱点だもんね〜はむ♡ あ、ふぅ〜しちゃお♪」

「ヒィィィイイイイ…………!?」


 や、やばい。かえでねーたんのスイッチが入ってしまう!? 僕は心の中で、このかえでねーたんの状態を小悪魔ねーたんと最近呼んでいるのだ。


 かえでねーたんもあれだけど、あおいねーたんの方もスイッチが入るとある意味かえでねーたんよりもやばい。流石は姉妹と言った所でしょうか……僕はかえでねーたんやあおいねーたんがこの先、変な性癖を拗らせないか心配です。


「ん! ボク、おうち……おそうじ、しゅるの!」

「うんうん♪ エルちゃんは良い子だね♪ まあ、後でお掃除はするつもりだよ〜今日はクリスお姉さんと彩芽お姉さん達が遊びに来るんだもんね♪」

「んみゅ!」


 ふぅ……何とか話題を逸らして、かえでねーたんのスイッチをオフにする事が出来ました。このままかえでねーたんのペースに乗せられてしまったら、僕は誘惑に完全に負けてしまう所だっただろう。


「でも〜今はまだ朝は早いよ? お外は寒いからお姉ちゃんとぴったんこして暖まろうね♡」

「…………」

「あらあら♡ 素直になれば良いのに♡ エルちゃんが女子高生になっても……一緒にこうして寝たり、お風呂も入ろうね♡」


 楓はエルちゃんの頬っぺたにスリスリと甘える。エルちゃんは楓の激しいスキンシップに為す術も無く陥落した。


「えへへ♡ エルちゃん♡ チュッ……♡ あ、もう1回しとこ♡ チュッ♡ ンッーマッ♡♡♡♡♡♡♡」

「!?」


 そ、そうだ! かえでねーたんの枕元にあった物について聞いてみよう! こうなったかえでねーたんを止めるには何か話題を出して逸らすしか無いのだ!


「かえでねーたん! これなぁに?」

「ん? あぁ……これはフェイスペンと言って、お顔に落書きしても大丈夫なペン何だよ♪」

「ふぇーすぺん?」

「うん、試しに葵お姉ちゃんのお顔に落書きして見て♪」

「んみゅ」


 気持ち良くスヤスヤと寝ているあおいねーたんに落書きするのは少し申し訳無いとも思うが、いつも意地悪されてる事を思えば少しくらい良い様な気もしてきた。


「エルちゃんの好きな物を書いてみて♪」

「ん〜」


 僕が咄嗟に脳裏に過ぎった物は【おにく】。かえでねーたんから渡されたペンで、僕はあおいねーたんのおでこに【おにく】と書いてみた。


「ぷっ……エルちゃんらしいわね♪ これだけじゃ……何か寂しいよね。頬っぺたにお花書いてみよーっと♪」

「ふぁ……かえでねーたん、じょーずなの!」

「何か楽しくなって来たね♡ ここにうさぎさんも書こ♡」

「んみゅ! ボクは、おひげかくの!」


 気持ち良く寝ている葵の顔に、楓とエルちゃんはフェイスペンで好き放題落書きをする。


「かえでねーたん! タマちゃん、かいたの!」

「あらあら♡ 上手に書けたね♪」


 楓とエルちゃんは調子に乗ってしまい、葵の顔に所狭しと落書きをしたのである。


「さあ、エルちゃん。私達ももう一眠りしよっか♪」

「んみゅ!」



 そして、数時間後……一ノ瀬家の洗面所から葵の甲高い悲鳴が鳴り響いたのであった。エルちゃんも自分の顔を鏡で見て、葵と同様に悲鳴を上げて、一ノ瀬の朝は今日も騒々しく始まる。


 2人の顔に落書きをした犯人は、寝室で幸せそうな顔で爆睡していたのであった。






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