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29.姉と妹

評価やブックマーク、誤字報告をありがとうございます。



 太陽神の眷属がオルテア帝国に降臨してから一ヶ月。


 事前準備が万全だった為神殿の解体はさっくさく進んで、今現在はほぼ完了と言っても良いです。


 最速でお片付けです!流石養父様!さすぱぱ!



 そして神官達の支援がなくなった聖女達はあっという間に活動の限界を迎える事となりました。


 取り巻き達も一人抜け、二人抜け・・・。

 神殿と共に行っていた非合法な活動も公になり、捕縛される者もいるそうです。

 そんな訳で、聖女や取り巻きの彼等はこれから現実と向き合わねばならなくなった様です。



「少ない人数ですが、その殆どは任官試験希望ですね。」


 宮廷魔導師であり、パストーリの聖女ロザリーの姉君であるエルフリーデ様は選別された神官達の精査を行っていて、今日は私もそのお手伝いをしております。


「あの環境下で福祉的活動を行っておりましたし、優秀な方が多いです。早く任官して頂いて、各々領地に戻って欲しいですね。」


 今まで耐え忍んで来たまともな神官さん達を想い、仕事を進めてゆきます。


 そんなエルフリーデさんの故郷パストーリ領は、兄であるウルリヒさんの下剋上で伯爵交代。

 前伯爵夫妻は罪が明らかになり、鉱山送りだそうです。


 本当は死罪ですが、新皇帝即位に合わせて恩赦が出るので、今回の一件では死罪が適用されても無期の重労働で済みます。

 うちの元両親もそうですね。しっかり罪を償って欲しいです。

 

「ヴィーさん、大変聞き辛いのですが・・・元姉上殿はどちらにおいでか、お分かりになりますでしょうか?」

「もう縁が切れていますからガンガン質問どうぞ!それに一度帝都で会って以来何処かに潜伏でもしてしまった様で動向は掴めておりません。」


 私がそう言うとエルフリーデ様は小さく溜息をつきました。


「こちらもです。妹は諦めが悪い上、魔導師でも有ります。隠蔽と魅了が得意なのでとても厄介なのですが・・・」

「魔導師を追うには、かなり強力な人員が必要になりますね。」


 うちの潜伏DV姉は上級魔術師なのでそれ程厄介では無いのですが、取り巻きの中に魔術騎士がいて面倒そうなのです。


「・・・ロザリーは、魔女達を恨んでいるのだと思います・・・。」


 エルフリーデさんの語る聖女ロザリーは、魔女に憧れている努力家さんと言う印象でした。


 ただエルフリーデさん的には、自分の目を抉られた上にそれを移植しようとしたと言う事まで努力の内に入っている様で、やっぱりアカンやないかい・・・と思えてしまう人物像でした。


 しかもエルフリーデさんは聖女ロザリーの所為で三回も略奪と婚約破棄されていると言う・・・!


 何でも欲しがる妹は物語の中だけにしてくださいましぃ!リアルでそれやられると恐ろし過ぎるのですわ!!


 そして、転生者仲間のアンリさんの顔を気に入って、彼も取り巻きに加えようとしていたそうです。


 何でも手に入れて来たけど、唯一手に入らない魔女と言う地位と、魔女の夫となったアンリさん。


 そういえば、アンリさんハーレム築いておりませんこと!?

 リューシャちゃんの奥さんズだけではなく、他にも女子達がいますわね。

 一見カルデア領軍率いて男所帯に見えますが、しっかり女子を確保しているとは・・・やりおる!


 流石美形!わたくしと違って、正しく転生者道を歩んでおりますわね・・・!


 クッソ!わたくしだってこの騒動が落ち着いたら恋愛とかしてみたいのですわ!!

 地味顔の上、中身が喪女過ぎて難しいですけど!!



「お互い辛い事も多いですが、頑張りましょう!」

「え、ええ。頑張りましょうね。」







***



 かつて神官達が使用していたヴィーグリーズにあるセーフハウス。

 ここは未だ監査官達の手が伸びていない場所でもあった。


「お互い大分手勢が減ったわね。」

「減ったのは貴女だけではなくて?」


 聖女ルナリアと聖女ロザリー。この二人は最大派閥同士いつも啀み合っていた。

 だがしかし、今までの禍根は一先ず横に置くことが出来る女達でもあった。


 一時的な休戦状態としたが、セーフハウスに滞在中である二人の相性は悪く、取り巻き同士も険悪な雰囲気を常に醸し出している。


 だが、双方の意見が合致する場合もあった。


 先ずは本物の聖女の癒しと言う、白く光る神聖属性魔力を持つ神の眷属の排除。


 そして、揺るぎない信仰を受けている魔女とそれを擁するユヴァーリ領の破壊と排除。


 賢いルナリアが作戦を考え、魔導師の称号を持つロザリーが攻める。

 どう考えても稚拙で無謀な企みだが、秘密兵器もある所為か二人は自信があるようで、話は進んで行く。


 そして取り巻き達は素晴らしい案などと言い褒めそやす。


 間違っていれば、誰かが異議を唱えると言う健全な体制を持たない彼等は、ひたすら破滅に向かって走り出す。


 実際に途方も無い力の差が有ろうとも、決して無理だと思える事もやれてしまうのが狂ってしまった人間だ。


「宮殿は私がやるわ。あそこには愚図な妹もいるしね。最期くらい役立ってもらわないと。」


「ユヴァーリはわたくしですわね。力を恣にするヤツらに貴女がくれた取って置きのアイテムを更に強化した物を贈って参りますわ。」


 神官から伝授された瘴気と魔物の取り扱い方を工夫し、より強力な魔物を生み出す魔法陣と魔石を用意した彼女達は各々の目的地へ出立した。




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