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メビウス館の殺人  作者: 菱川あいず
監視下での殺人
18/30

裏切られた確信

 昨夜は一睡もしていなかったものの、不思議と眠気は襲ってこなかったため、一太は、未優とともに1階の広間へと降りて行った。



 未優には十分な睡眠時間があったはずなのに、顔色は優れなかった。

 一太と幹康が廊下で見張っていたものの、完全に安心することはできず、ベッドの上で眠れない時間を過ごしたということかもしれない。



 未優が殺人犯にビクビクしていたことは明白で、その証拠に未優は、広間に着いてもソファーに腰掛けることなく、しばらくウロウロと歩いた上で、


「月奈さんは無事かしら」


と震える声で言った。



「無事なはずだよ。犯人がどんな奴であれ、俺と幹康が見張っていた以上、昨夜に人を殺すことはできなかったはずだから」


「それは分かってる。でも、心配なの」


 つまり、未優は、一刻も早く月奈の生存確認をしたいということだ。


 窓がない館であるため、陽の光が差し込んでくることはないが、時計を確認すると朝の8時を回っていた。


 もしも月奈がまだ寝ていたとしても、起こしに行ったことで文句を言われるような時間ではないだろう。



 一太は、未優とともに、月奈の客室へと向かうことにした。


 無論、割れたシャンデリアを避けるため、降りてきた方とは別の階段を使って。



 未優が不安になる気持ちも分からなくはなかったが、合理的に考えて、月奈が無事でないはずはなかった。


 そのため、月奈の客室のドアをノックしたとき、すぐに月奈の返事が返ってくることを、一太は確信していた。



 しかし、何度ノックしても、月奈からは何の反応もなかった。



 最悪の事態を察した未優は涙目で一太の顔を見上げる。


 一太の腕を掴んだ手は小刻みに震えている。


--そんなはずはない。


 きっと、月奈はイヤホンで音楽でも聞いていて、ノック音に気付いていないだけなのだ。



 「入るぞ」と一言断り、一太がドアノブを引く。



 安曇のときとは違い、チェーンロックに阻まれることなく、ドアはスーッと最後まで開き切った。



 未優が悲鳴をあげる




 果たしてベッドの上にいたのは、ひも状の物が首に巻かれ、醜い形相のまま事切れた月奈の遺骸いがいであった。


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