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プロローグ


ーーー目覚めよ、


なんだ?


ーーー目覚めて、


なんなんだ?


ーーー目覚めろっつてんだろ、


頭に…響く…。


ーーー『大陽(タイヨー)!』


そう叫ばれた瞬間、オレは飛び起きた。


タイヨー…、そうだ、オレは、オレの名前は『大陽』だ。…が、なんだ?起きるとそこは何にも無い真っ白いだだっ広い場所だった。

規則正しく散りばめられた真っ白な円柱は綺麗な彫刻が施してあって、四方八方には壁はおろか、天井まで見えないその真っ白な空間はさながらまるでお伽噺の中の様だった。


ーーー『やーっと起きたか、このタコ!』


突然真後ろから聞こえた罵倒にオレは振り返る。そこには紅く、白く輝いた何かが居た。オレは思わず息を呑む。

だって()()は浮いていたのだから。

いや、浮いていただけじゃない。頭に黄金の被り物をしたその髪は不思議なことに真っ赤な長い先は燃え続けていて、なのにソイツが羽織っている真っ白なマントは黒焦げも出来ずに新品な真っ白なままで、身体は裸に近かったが黄金の装備をご丁寧に全身身につけ尚且つソイツの後ろから光源があるかのように眩しく光輝いていた。

限りなく人に近い形をした人では無い()()()である事は確かだった。


ーーー『おい…、おい!おい!!聞いているのか、人間!!!

…おっといけね、()()()()()()()()()()、』


しかしその物体に対して不思議と嫌悪感は無く、しかも高慢なそぶりに対してはそれが当たり前だと、例えば小高い丘で風が吹いてそれが当たり前だと思う程にごく自然な事に思えたのだ。


「聞いて…、ます…」


そしてやっとの思いで吐き出せた言葉はとても拙いもので…、オレはただぼうっとソイツを眺めることしかできなかった。


ーーー『”聞いてます”だぁ〜?お前の耳は飾りか、馬鹿!だったら一回で聞けよオタンコナス!!

ん、んんっ!いけね…時間も無いしさっさと説明すんぞ!!』


ソイツは咳払いするそぶりをするとオレに短く、こう捲し立てた。


ーーー『ある世界に行ってこい、代わりに俺の名前を貸してやる。尚、拒否権は”いいえ”か”NO”で答えろ。その世界のニンゲンからのお達しだ。”()()()()()

ーーーお前は今から…()()だ』


ソイツがニヤつきながら云い終わった瞬間、世界が眩く光った。




ーーー、




「…ねぇ、」


草の匂い。


「ねぇ、」


誰かの声が聞こえる。


「ねぇ、起きてる?」


ぱちりと目を開けると眩しい、だが、明らかに先程とは違う世界に居た。

…真っ白な視界にポツンと黒い染みが見える。


「あ、起きた。」


その染み、いや、滲み?はどんどん形を成していって一人の少年の顔になる。

俺の目と鼻の先にはオレの知らない、14、5歳の少年がまじまじとオレを見つめていた。


「よかったぁ、息はしてたみたいだから死んでないとは思ったけど、起きてたんだね!君、名前は?こんな所で何してたの?」


辺りを見回す、すると見に覚えのない場所にオレは居た。

そこはどこかの草原だった。

一本の木がポツンとあるだけの、どこか幻想的な見渡す限り青々と茂った緑と青の世界。

その木の下に、オレ達は居た。


「オレ…、オレは…たいよう…、逢上大陽(おうがみたいよう)


名乗った瞬間、少年は大きな眼を更に広げた。


「君、苗字があるの?それにしても変な名前…オーガミ、タイヨウ…、どっちも聞いたことない言葉だ…」


「…キミは?」


「そうだ、ボクはまだ名乗ってなかったね!ボクはツクヨミ!よろしく!!」


ーーーそれが、それがオレと()()()()()()()()との出会いだった。

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