表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/14

008 伊達にフットサルとかやっていない。


 ──一週間後の金曜日。


 妙は、雪美のワンルームマンションに、招かれていた。


「センパイの部屋、ほんと、汚いっすねぇ」

 ジロジロと室内を見回しながら、妙が半ば吐き捨てるような口調で、思ったところを口にする。


「も、申し訳ありません……」

 雪美が恐縮ここに極まれり、といった感じで、しゅんと体を縮こまらせる。


「作戦会議の前に、部屋、掃除していいですか?」

「よ、よろしく、お願い致します……」



 雪美と妙の上下関係は、すっかりと入れ替わっていた。


 テキパキと妙が片付けを終わらせると、ちゃぶ台を挟むようにして二人は向かい合い、作戦会議とやらが始まった。


「いいですか、センパイ。この一週間、アタシは吉永(れい)という女について、色々と情報収集してきました。好きな食べ物から、住んでいる場所、恋人の有無、現在の精神状況、その他諸々……」

「…………」


「その情報を分析した結果、彼女は非常に落ちやすい状況にあります。はっきり言って、チャンスです、センパイ!」

「っ…………」

 雪美はゴクリと喉を鳴らした。




 その直後、妙から具体的な作戦が提示され、雪美は関心しながら、只々(ただただ)、黙って頷いた。


 流石だ。腹黒い。伊達にフットサルとかやっていない。


「センパイ、決行は週明けの月曜日です!」

「えっ、もう?!」


「もうです! こういうのは勢いが大事なんです」

「はい…………」


「あと、少しでも作戦の成功率をあげるために、野菜をもっと食べて、口臭をなんとかしましょう。お酒もダメです。それから、煙草も禁止です。セブンスターって、センパイはおっさんですか?」

「……はい…………そのようなもので……」


 妙は、白く冷たい半眼を、雪美に向け。

「…………告白してきた相手の息が臭いとか、致命的です。百年の恋も覚めます」

「は、はい…………すみません……」




 そんなこんなな遣り取りを経由して──





 ──作戦決行の月曜日が訪れた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ