第6話:ランダム能力券レンタルverの使用
魔王エピの手によって攫われたリアル姫を救けだす為に旅にでる二人
道中暇なのでこんな事を聞いてみた
「ちょっと気になった事があるんで聞いてみたいんだけど依頼失敗ってどうなったら失敗なの?」
「依頼された世界で死んだり、封印されたり、依頼期間が過ぎたら失敗です。他にも色々とありますけど、大体がこの三つで失敗する人が多いですね。そうなったら神ギルドに強制転移されます
ちなみに、どう足掻いても無理だと判断したらリタイアと強く念じれば神ギルドに転移されます」
「死んだり、期間切れってのは分かるけど、封印って?」
「その世界で暴れすぎたり、活躍しすぎで邪魔になったりとかで殺したいけど殺せないからって理由が多いですね」
「おぉぅ……え、えっと……封印されたら期限切れまで封印されてるの?」
「いえ
封印された時点で神ギルドに戻ってきます
個人的にはそのまま永久に封印されててほしいんですけどね」
フローレンスさんの瞳の色がなくなってきた
この話題はマズイのかもしれない
とりあえず話題を変えよう
「そ、そういえばこの依頼以外に他は何があるの?あんだけガチャががあったんだから他にも色々あるんでしょ?」
「他にですか?確か……
『伝説の聖剣探してこい』とか『ドラゴン倒してこい』とか『アンパンと牛乳買ってこい!てめえの奢りでな』とかありましたね」
「なんかパシリみたいのがあったけど!?」
「それは大当たりですね
適当な店で一時間程バイトしてお届けすれば完了です」
「なんかまともに相手したら負けな気がしてきた……」
「そういえば、チケット使わないんですか?」
「忘れてた……じゃなくて、どう使うの?」
「チケットを持って『チケット使用』と言って下さい」
「じゃあ早速『チケット使用』っと」
頭の中に機械的な音声が流れてきた
『ランダム能力券レンタルverの使用の確認。
ガチャガチャカコン
あなたは棒術Lv4:回数∞を手に入れた』
「能力を手に入れたのはいいんだけど、なんかガチャを回された気がしたんだが……」
「はあ?何を言ってるんですか?バカなんですか?」
「そうじゃなくてガチャを回した音が聞こえたんだよ!」
「知りませんよそんなこと
それよりもなにを手に入れたんですか」
「あ、ああ
棒術Lv4ってのが手に入った」
「また微妙な能力を……
そうしましたら
『棒術Lv4ってな~に?』っと叫べば詳細が分かります」
「それって必要なの!?」
「どんな技があるか知らなくてもいいなら別にいいですよ?」
(ちくしょう!恥ずかしいがこうなりゃヤケだ)
「棒術Lv4ってな~に!?」
またあの音声が頭の中に流れてくる
『棒を使った攻撃が上手くなる
カマイタチ……真空の刃を飛ばす
回転演武……周りにいる敵を回転して薙ぎ払う
溜め打ち……パワー(気合)を込めて使うと最初の一撃が攻撃力アップ
棒突き……ちょっと強めの突き
の技を使える
使う時は声に出して使うと自動で発動』
「うわっホントに叫びましたよ。声に出すだけでいいのに」
「お前、俺になんか恨みがあるの!?」
「さっさとランダム転生してくれなかった恨みがありますよ」
「もういいや……
能力の事は大体分かったけど、武器がないんだけど……」
「そうですね~、今から城下に戻るにはちょっと遠いですし……
おっと、あそこにちょうどいい感じのが落ちてましたよ」
「落ちてるってただの木の棒じゃねーか」
「何を言ってるんですか!?
ただの木の棒でもりっぱな棒ですよ!
普通の木の棒よりもちょっと黒くて、ちょっと太くて、ちょっと硬そうなりっぱな棒ですよ!!」
「あんた興奮しながら何言ってんだ!?」
「コホン、失礼しました
よかったですね。これで念願の武器を手にいれましたよ」
「これを武器と言っていいのか分からないが取りあえずよしとしよう
なんか都合よく手に入った感じだな……」
「……あっ!」
フローレンスが急に何かを思い出し声をあげた
そして気まずそうに目をそらす
「おい、何か思い出した感じだな?何だ?正直に吐いてみろ」
いつもより低い声で問いただす
「えっとですね、能力券ってあったじゃないですか、それを使わずに王に会いに行くと今回みたいな事があったと何百年か前に報告が……
確か、能力券を持っている場合はすぐに使わないと渡す武器が解らないためって理由だったような……
まあ普通はここに来たらすぐに使うんですけどね」
「棒突き!」
ユウの技がフローレンスの頭に炸裂する
「なるほど。こう使うのか。ちょっと疲れる感じがするから、使う度に体力が減るって感じみたいだな。多分、技によって体力の減り方も違うんだろから考えて使わないといけないな」
「痛いじゃないですか!?何をするんですか!?」
突かれたとこを擦りながらユウに抗議する
「お前、なんか文句言える立場か?あぁ!?」
ユウはジト目でフローレンス睨みながら言った
「こ、今回は大目にみましょう
ほら、向こうの方にモンスターがいますよ
あれは多分スライムですよ!スライム!
各異世界で雑魚の代名詞スライムですよ!」
フローレンスは誤魔化す様に遠くにいるスライムに矛先を向ける
スライムはこちらに気付いたのかこっちに向かってくる
「まだ遠くて数が解らないが、ちょっと多いような……」
「そういえば言い忘れてましたけど、戦闘はユウさんだけでしてくださいね」
「は?」
「これはユウさんの為のチュートリアルなんですよ?
私はアドバイザー的な役割なので手は出せません。」
「そういう事は最初に言えっ!!」
「これは規約で決まっているので残念ながら……
できる事といえば応援くらいです」
(カマイタチで真っ二つにしてやろうか!?)
そして初の戦闘が始まる
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