第5話:チュート王国プロ王
「ではあちらの門番に依頼書を見せてください」
言われたとおりに依頼書をみせる
「えっと、ユウ・カンザキ様で、チュートリアルですね。かしこまりました
では門を開けますので開いたらそのままお進みください」
門番の天使が片膝をつき何かに祈るような感じで門に何かを呟いている
しばらくすると
ゴゴゴゴゴゴゴ
重そうな音をたてながら門が開く
「ではお通りください。あそこなら大丈夫だと思いますが無事をお祈りしてます」
そして二人は門を潜ると二人は激しい光に包まれ思わず目を閉じてしまう
光が収まっていくのを感じ、うっすらと目を開け始める
やがて光も収まり視界がクリアになっていき周りを見渡してみると床には魔法陣みたいのが書いてあり、いかにも何かの儀式の間って感じのすこし広めの部屋にいた
「ここは?」
「ここはチュート王国の勇者召喚の間ですね」
「勇者召喚?」
「設定ですね。何事にも雰囲気作りは大事だと創造神様が……」
「さっきから話しを聞いてると創造神様って日本出身か何かなの?」
「違います。よく日本には遊びに行って『これだっ!!』て叫び余計な設定をぶち込んでますね。『他の世界にはない面白い発想が日本にはあふれてる』なんてくだら……いえ、余計な仕ご……ゴニョゴニョ」
「そこまで言ったんなら最後まで言いきれよ」
「とにかくそういう事です
時間は有限ですしさっさと王に会いに行きましょう」
フローレンスは誤魔化すようにさっさと先を歩く
なんか納得はいかないが議論しても時間の無駄だと自分に言い聞かせユウも後に続く
しばらく歩くとフローレンスはある大きめの扉の前で止まる
「ここが謁見の間ですね。
中にはいかにも『王様!』って人がいてテンプレ的な『おぉ勇者よ!』みたいな事を言い始め最後に最低限の装備とお金をくれます。緊張しなくて大丈夫ですよ」
「いろいろと台無しだよ!!」
「まぁ気にしないでください。
ほら行きますよ。」
(こいつはいつかシメる)
そんなやりとりをしながら扉を開け先に進む
いかにも『王様!』って感じの人が玉座に座ってこちらを見ている
「おぉ勇者よ!よくぞ参った。儂はチュート王国の王、プロ王じゃ。実は……」
(なんか設定や名前が雑だな)
そんなことを思っていると
「早送り!!」
急にフローレンスがバカな事を叫んだ
何言ってんだこいつって感じでフローレンスを見る
「#$%&*+=」
急に王様が三十倍速くらいで喋りだした
「!!」
「最後に装備と一万ウェンを与えよう。後ろにいる兵士について行き受け取るがよい。では頼んだぞ」
なんかよく分からないうちに王との謁見が終わり装備とお金を受け取りにいく為に兵士の後をついて行く
「おいっ!何なんだよさっきの?」
「だって何万回、このやり取りを聞いたと思ってるんですか?
簡単にまとめると……
『魔王エピに攫われたリアル姫を助け出してね。場所は魔王城にいるからよろしく。装備とお金を渡すから後はうまくやって頂戴』
って感じの中身の薄い内容を偉そうな感じで長々と話しを聞くことになるんですよ
そりゃあ早送りもしたくなりますよ!」
「そ、そうですね……」
「あっ、あの~……到着したんですけど~……」
フローレンスの愚痴を聞いてるうちに目的の場所に到着したらしい
「ではこちらをどうぞ」
兵士の人が装備とお金を渡してくる
「あの~、防具の皮の鎧、盾、兜とお金は受け取りましたけど、武器は?」
「ありません」
「は?」
「ありません」
「なんで?」
「品切れです」
「なめんなー!」
「城下や近隣の村でもなぜか品切れなんですよ」
「じゃああんたの槍をよこせよ」
「これは支給品なんで無理ですよ。バレたら首がとびます。なんとか頑張ってください」
「ねぇ、フローレンスさん。これは無理ゲーなんじゃない」
「安心してください
この世界にかぎり死ぬ心配がないので素手で殴り続けてればいつか倒せます
まぁ、死なないだけで死ぬ寸前くらいまではダメージは受けるんですけど……」
「お前ちょっとこっち来い。一回ぶっ飛ばしてやる」
フローレンスとケンカにになりそうな時に
「言われた物は渡したので私はこれで」
兵士の人は逃げるように去っていった
「とりあえず城下で食料などを買いに行きましょう
魔王城はこの王都から歩いて一週間くらいの所にあります。戦闘とかの事を考えると大体十日前後といったところでしょう」
「まあいい。そうだな。取りあえず城下に行こう」
二人は城下で食料などを買いに行く事にした
途中で武器屋に寄ってみたが確かに武器は売ってなかった
なんで?
取りあえず必要な物を買い揃えた二人は魔王エピに攫われたリアル姫救出の為に魔王城に向かうために旅立つ
「さあ冒険の始まりだ!」
「何言ってるんですか?言ってて恥ずかしくないんですか?」
「うるさいよ!ちょっと気分を盛り上げたかっただけだよ!」
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