第2話:フローレンスさんの黒い説明回
本日二話目です
「ではこちらで説明致しますね」
「どう見ても病室じゃねーか」
俺は今ベッドに寝かされている
相手の看護師はリンゴを剥きながら話している
「申し遅れました。私、病死ギルドの受付をしている最下級神のフローレンスと申します
ここは神ギルドの中にある病死神様が管理されている病死ギルドになります」
無視か……
ん?
病死神?
病死ギルド?
なにそれ?
「ここは色々な世界で病死した人達の魂が集まる場所です
そしてその魂が前世の肉体の形になり、意識を覚醒した人達がここに運ばれます」
「覚醒しなかったら?」
「その場合は記憶浄化温泉に入り全ての記憶を洗い流した後、ランダム転生陣に乗って来世に生まれ変わります」
「ランダム転生陣?」
「はい
ランダム転生陣は読んで字のごとくランダムに転生します
どこの世界で何に転生するかはわかりません
草木や動物、もしくは知性のない魔物なんて場合もありますし、運が悪ければみんなの嫌われ者代表、通称『G』、もしくはゴブリン、グレートオークなんて場合もあります」
「全部『G』じゃねーか」
「いちいちうるさいですね。黙って聞いててください
運がよければその世界の人族的な知性のある者にも転生します」
(この女!!)
「ん?そういえば「形ができそうで覚醒しそう。このまま突っ込め」みたいなこと言ってなかったか?」
「記憶にございません」
「言ってたろ」
(こいつ覚醒したら面倒だからって確実に温泉にぶち込もうとしたな!?)
「まあいいや。目覚めた俺は選ばれた勇者か何かなの?」
「はぁ?たまたまですよ。そんな事故死ギルドにいる連中と同じこと言わないでください。めんどくさい!」
(そろそろキレてもいい気がする……
っていうか事故死ギルドなんてあるのか
そこで目覚めた人達の気持ちも分かる気がする)
「っで、目覚めた俺はどうすればいいの?」
「温泉入ってスッキリした後、ランダム転生するか、転生ポイント通称TPを貯めて来世の人生を決めるかですね。個人的には前者だと楽ですね」
「おいっ!後者の説明をしろ」
「っち……
もう何回説明したかわからないのでこちらを読んでて下さい」
(とうとう舌打ちまでしやがった!)
10インチくらいの大きさのタブレットを渡され、そこに書かれてる内容を読んでみる
TPとは?
転生ポイント(TP)
貯めると来世の人生を決めることができる(例:地球生まれで人間。金持ちでイケメン)
TPの貯め方
各世界の神様達の依頼を達成する
各世界で手に入れた能力・技能を売る
TPって減るの?
依頼を失敗、もしくはリタイア
能力・技能を買う。もしくはレンタルする
依頼された世界に行く前にその世界の装備、お金、ステータスを手に入れる
TPがマイナスになると?
TPがマイナスになると問答無用で『G』転生
他にも色々とありますが、全部説明するとめんど……長くなりますので分からない事がありましたらその都度担当の受付嬢に聞いて下さい
…………
………
……
…
(なんかタブレットまで投げやりになりやがった!)
「ここに書いてある事は大体分かった
一つ聞きたいんですけど…」
「何ですか?気持ち悪い」
(我慢我慢)
「えっと、来世は義理の妹百人に囲まれてイケメンでハーレムで色んな人達に甘やかされる人生ってできます?」
「可能です」
「よっしゃー!」
「しかし……義理の妹百人ですか。いったい来世のあなたの両親は何回、結婚と離婚を繰り返されるんですか?多分五、六回目くらいで血の繋がった両親はいませんよね?」
「くっ……
百人は多すぎたな。三、四人くらいにしとこう」
「そんなのは別にどうでもいいんですが……
それでどうされますか?ランダム転生しますか?
ランダム転生にしますね?
ランダム転生にしましょう!」
「しねーよ!!
お前どんだけ俺に転生ポイント貯めさせたくないんだよ!?
ポイント貯めて転生するよ!」
「めんどくさい事になりましたね
はぁ……
かしこまりました。
では、チュートリアルをしましょう。ついてきてください」
「おいっ!
やっぱりめんどくさいって言ってるだろ!?」
「そうですよ。それが何か?
だって誰かの担当になるって事は、その人が転生するまで面倒を見なくちゃいけないんですよ!?どれだけ時間が掛かるかわからないし、最悪、時間が掛かった上にTPがマイナスになってG転生なんてされた日には今までの時間は何だったのって感じじゃないですか!?だったら最初からランダム転生しとけよって!そうすればGにならずに済む可能性が高いのに!それにっ……」
「分かりました。分かりましたから落ち着いて下さい」
(なんかフローレンスさんが邪神になりそうな勢いだ)
「とりあえずそのチュートリアル?みたいのをやってから決める事もできる?」
「失礼しました
大丈夫ですよ
それなら時間もかからずに済みそうですし
ではちゃっちゃとやってしまいましょうそしてさっさと転生してください」
(絶対に楽なんかさせるもんか!!)
そんな決意を胸に秘めフローレンスの後に付いて行くのだった
誤字脱字などがありましたら優しく指摘して下さい