異世界最強になれず
目が覚めると俺は部屋の中にいた。
あれっ!?俺は確か路地裏の地面の上で寝ていたはずじゃ・・・。
ここは・・・。
そう、ここは俺の部屋だ。
魔法陣を作った場所だ。
俺は確か異世界に行ったはずじゃ・・・。
カチッカチッと置時計の音が聞こえる。外では雀が鳴いている。
まさか夢オチなんてことないだろう。昨夜の事をよく思い出してみよう。
確か異世界に行き、冒険者ギルドに行って、腹ペコのまま路地裏で寝た。
しかし起きると自分の部屋にいた。
おかしい。なぜだ・・・。部屋を見渡しても俺が作ったはずの魔法陣がなくなっている。まさか一晩しか異世界には行けないのか?
色々なことを考えながら体を起こした。そこでふと思い出した。
冒険者カード。
そうだ俺は冒険者ギルドで、名前はドエゴとか言ったっけ。そいつにもらった冒険者カードがあるはずだ。すぐにポケットの中に手を突っ込んだ。
確かにあった。透明のプラスティックでできたようなカードだ。
これは俺が唯一異世界に行ったという証拠だ。
だが、これがあるのになぜ俺は戻ってきしまったんだ・・・。
異世界は俺の夢であり、憧れだった。それが現実となったときはわくわくが止まらなかった。剣と魔法の世界。そこで俺は最強になるはずだったのに・・・。
俺の異世界最強になる夢は崩れ落ちたのだった。