ギルドへ行く
大草原に青い空。爽やかな風が俺を突っ走る。
うおおおお!まじか!本当に異世界に!
現実世界ではこんな場所来た事も見たこともないな。
周りを見渡しみるが、一面大草原。膝まであるかないかくらいの草がさわさわと揺れているだけだ。
てかここ本当に異世界だよな・・・?
どこか別の場所に行ってみようか。
行く当てなど当然ないし、どっちに行けばなにがあるのかもわからない。
しかたない、適当に歩くか。
しかし、歩いていてもどんどん焦りと不安が積もってくる。
歩くスピードは少しずつ早くなっていく。
軽く3時間は歩き続けただろうか、やっと町のようなものが見えてきた。
ほっと胸を撫でおろして町に近づいていった。
歩き進めるとじょじょに町の形態が見えてきた。
町は石造りの家がほとんどで、壁がすべて綺麗な白色をしていた。
建物は2階立てか3階建てで、一軒一軒が横に大きな形になっていた。
例えるならば、まるでギリシャのサントリー二島だ。
俺は期待で胸を一杯にしながら町に入っていった。
町の中はそこそこ人がごった返していた。
異世界だからもっと獣人とか魔族とかいるのかと思っていたが、すれ違う人全員が西洋人のような顔立ちの普通の人だ。
服装は綺麗な洋服を着た人から、ボロボロの布を体に巻いてるだけの人などいろいろだ。
俺の格好は紺色の半ズボンに無地の半袖白シャツ。家の中で転移したので靴は履いてない。
さらにこの町には似つかわしくない日本人の顔立ち。
明らかに浮いていた。怪しまれていた。すれ違う人全員訝しい顔で俺を見ていた。
俺は少し居心地が悪いまま町の中心の方へ向かっていった。
町の中心には市場があった。どうやら町に人が多いのはこのせいのようだ。
市場は人がぎゅうぎゅうに集まっていて、あちこちから笑い声や叫び声が聞こえてきた。
その中にはボロイ服装で腰に剣を差している人もちらほら見かけた。
やはりこの世界では剣を使う冒険者がいるんだ!
俺も最強の剣使いになってやる!
そう意気込んだものの、一体これからどうすればいいのか。
よく考えれば俺は一文なしで、手ぶらでこの異世界に来てしまった。
このまま何もせずにいたら死んでしまうだけではないか!
とりあえず、まずはお金だ。金さえあれば飛ぶ鳥も落ちるって言うくらいだ。
金を手に入れるには労働だ。働かざる者食うべからず。
そういうわけで仕事を探すことにした。
俺は町ゆく人の中から比較的優しそうなおっさんを選び恐る恐る声をかけた。
「あの、すいません。ちょっと訪ねたいことがあるんですが・・・」
「なんだ?急いでるんだ」
日本語で通じるか不安だったが、杞憂だった。よく考えれば市場から聞こえてくる声もすべて日本語だったしね。
「仕事を探してるんですが、どこか仕事を探せる場所などありませんか?」
「なんだお前、よその大陸のもんか?仕事ならギルドに行けばいいだろう」
「ギルド?」
「ギルドも知らねえのかよ、それでよく大陸移動できたな。ギルドってのは仕事関係の依頼とか任務が受けられる場所だ」
「そんなところがあるんですね!ありがとうございます!」
「おう、じゃあな」
そのままそのおっさんは行ってしまった。
よし、ギルドに行こう!・・・あれ?
ギルドってどこだよ~!場所聞くの忘れてたー!
さっきおっさんは・・・人ゴミに紛れて既に見当たらなかった。
仕方ない、別の人に聞くか。
また比較的優しそうなおっさんに声をかけた。
「あの、すいません、ギルドの場所ってどこですか?」
「あ?ギルドならこの道まっすぐ行って噴水の所を右に曲がったところにあるぞ」
「そうなんですか!ありがとうございます!」
するとまたすぐにそのおっさんは行ってしまった。
俺は言われた通りに進み、ギルドの前までやって来た。
入口の扉の上に大きくギルドと書かれ、その下にカーグワ支部と書かれていた。
ギルドの建物の特徴は何といっても、その大きさである。高さは3階建てと他の建物と変わらないが、その横幅が以上だった。ほかの家が5軒くらい余裕で入るんじゃないかってくらい大きかった。さらに他の建物には見られない模様の装飾なんかも壁に少し描いてある。
奥行はどれくらいかわからないが、とてもでかいのだけはわかる。
俺は意を決してギルドの扉を開いた。