アメちゃん世界を救う
「なぁ、手ぇ出してみぃ」
「えっ、なになに?」
「ほい、アメちゃん」
手を出すと彼は、ポンと手の上にりんご味のアメをのっけた。
ニコニコと笑っている彼を見ると、ふと、不思議に思った。
「どないしたん?」
「あんたってさ、いっつもアメ持ってるよね」
「あぁ、関西人の常識なんや」
「えぇー、ホント?」
彼の言うことが信じれなくて、首を傾げてみる。
「ホンマやって。大阪のおばちゃんは、みんなアメちゃん持っとんで」
「ぷっ、あんたおばちゃんじゃないじゃん」
「あぁ、そうやったわ」
しもうた、なんて言いながら、オデコを抑える。
「まぁ、アレや。関西人の嗜みちゅうもんやな」
「変なのー」
大して面白いことでは無かったが、もう笑いが止まらない。
「笑ったらあかんよ。アメちゃんは、世界を救うんやで」
「ウソだぁ」
「ホンマやって。自分、アメちゃん貰ってちょい幸せにならへんかった?」
しばらく考えてみる。
「・・・・なった」
「やろ?この小さい幸せが、世界を救うんや」
「スゴいね!!私も今度からアメちゃんって言おっと」
「そうしんさい」
「お前ら・・・」
何処からともなく、青筋を立てている先生がやってきた。
実は、掃除の真っ只中だったりする。
「おぉ、先生やんか」
「お前ら・・・・」
「せっかく、幸せになってたのに・・・」
「お前ら、今は掃除中だぞ」
「いいじゃんかー」
「そやで。他にやっとる奴おるしな」
「ねー」
彼と一緒にうだうだ言っていると、一瞬、
ほんの一瞬だけ、辺りの空気が冷たくなった。
「・・・そうかそうか」
「ヤバいで!完全にキレてもうた!!」
「に、逃げなきゃっ!」
「待てお前ら!!」
待てと言われて、待つ人なんて何処にもいるはずがない。
私たちはひたすら逃げ、先生に追いかけられる。
先生にアメをあげたら、私たちは助かるのかな?
全ては作者の関西人の方のイメージですので、悪しからず・・・