過ち
重過ぎる体で玄関の扉を開ける。
真っ先に自室に向かった。
鞄を視界に入らない位置に投げ、冷蔵庫の扉を開けた。
彼女に触れるのはこれで2回目だ。少し緊張した。
彼女の形が崩れないようにそっと持ち上げ、ラップ越しで、硬い肌の感覚と、少しの腐臭を感じる。
その二つの感覚で自分が『真実』に触れている事を確認し、自分のしている事を咀嚼した。
教室に入ってから気付いた。彼女はもう教室に来ないのだ。
人一人がこの世から形を無くしたのだ、当然クラスの大きな話題になっていた。
彼女の話で教室中が満たされていた。
「願ったり叶ったりなんだけどw」
「教室が綺麗になったな」
「二度とあの顔を見なくて済むと思うと、気分がいいね〜」
これみようがしに発せらる言葉には『真実』が含まれていなかった。
それらには『罪悪感』『後悔』『同情』などの感情しか感じなかった。
そして最も大きく感じたのは、次は自分に刃が向くのではないかという『恐怖』だった。
彼女のいない教室は僕にとって無酸素状態に近い空間になってしまった。
一日中胸が圧迫され続けるような感覚がして、息が苦しかった。
彼女の死は僕にとって『正しいこと』ではなかったのだ。
今日一日を振り返りながら、彼女を机に置いてその近くに突っ伏した。
鼻と喉がジンジンする。上手く声帯が働かない。
考えればわかる事だった。彼女の一部を回収したところで、彼女のようにはなれないのだ。
あの時、僕が彼女の袖を掴んでいれば。トラックが来ていることに気付いた時に走っていれば。
限界まで声量を絞った声で発した。彼女に聴こえないように心掛けた。
「ごめんなさい。貴女は生きるべきだったんだ…。」
堪えていたものが溢れてしまった。僕の頬を伝いそれは机に広がった。
こんな拙い文章をここまで読んでくださり有難う御座います。
もう桜が散り始めましたね。
早いものですね。
散り始めの白色になった桜を一房食べてみたいな、と思うのは私だけでしょうか。
どうでもいいことですね。そんな事は。
ここまで読んでくださり本当に有難う御座います。宜しければ次話も宜しくお願いします。




