第六話 ノア・プロジェクトの真意
第六話 ノア・プロジェクトの真意
ここはノアの操縦室。
捕えられた星人さんたちは奇星人さん、ロボットの前に座らされました。
電気が走る縄で身体の自由を奪われている状態だったので、全く身動きがとれません。
逃げることは不可能です。
「わたしたちをどうする気?」
わたしはそう言うと、鋭い目つきで恐星人さんを捉えました。
「その眼光、こここ恐いです」
恐星人さんはそう言うと、身をすくませながら、ロボットの身体のいくつかの出っ張っているスイッチの一つを押しました。
「ポチっと」
すると、ロボットの目からスクリーンが映し出されました。そして、辺りは暗くなりました。
ニュー輝星人さんが船内の電気が止めたのです。映し出されたスクリーンにはわたしの亡き父が映っていました。
「お、お父さん!?」
「ノア・プロジェクトとは、多様な生態を持つ人類を後の人類に残す計画」
「人類、いや、地球人こそが星々を束ねる頂点である存在と思い込んでおった」
「しかし、それは地球人のおごりであった。それに地球は滅ぶだろう。なので、計画はお預けじゃ」
「それって???」
「最後まで聞き給えYOUたち。続きがある。MEたちはこれをYOUたちに伝えたかったんだ」
「ノア・プロジェクトは打ち切りとなったが、わしには心残りがある」
「それは娘が最後の地球人だからと思って、自由に生きられないのではないかと不憫に感じていたのだ」
「この映像を見ている者よ。どうか伝えてほしい。娘にも自由に生きる権利があると」
「そして、出来るならノア・プロジェクトは違う形で続けてほしいのだ」
「娘に大切な仲間ができるような、そんな素晴らしい計画を実現してもらいたい。それがわしの望みだ」
「一人ぼっちで箱舟を作ったノアは共に作り上げていく『仲間』が欲しかったのだとわしは思っている」
「ではさらばだ。娘よ」
そこで映像は途切れた。
「お父さんー!!!」
わたしは涙を堪えることができず、その場で泣き崩れた。
「泣くな。お前はもう大切な仲間に囲まれているんだよ」
消星人さんはそう言ってくれました。
ここは転送装置前。ノアの搭乗員たちが集まっていました。
「聞きますけど、皆さんは自分の星に戻る気はないんですよね?」
恐星人さんはそう言いました。
「はい。みんな、ノアに残ると言ってます」
「でも、ニュー輝星人がいないと、ノアが動けないな。困ったぞ……」
消星人さんはそう言いました。確かに言われてみれば、その通りです。
「心配するな。今から奴を連れて来てやる」
「奴???」
「ああ、ノアの侍さ。拙者は侍の証だろ」
ニュー輝星人さんはそう言うと、転送装置から眩い閃光が放たれました。転送されたのは……
「おおー!!! 輝星人!!!」
「その反応、拙者のことは忘れていなかったんだね」
「……ごめん、さっきまで忘れてた」
「えっ、今、何か言いました?」
「気にすんな。俺っちはお前のことをずっと想っていたぜ!」
「ありがとう……微星人!」
「聞くと、充電してもらっていたんだって?」
派星人さんはそう言いました。
「これでしばらくは大丈夫なくらい電撃を食らいました」
「マジか?」
「まぁ、これで旅が続けられる。それより、拙者は驚いたぞ。知星人があの地球人だったとは」
「今まで騙していて、すいません」
「なに、騙された方が悪いのだ。わはは」
「また旅に出るんですね。今度はどこに行くんですか? 宇宙一周ですか?」
「うーん、みんなとならどこへでもかな?」
いつまでも続く、ノアの旅でありました。おしまい。
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