第五話 第21惑星
第五話 第21惑星
ここは宇宙。うじゃうじゃもいる宇宙。
そんな宇宙に浮かぶ宇宙船のノアは今日も安全運転を心掛けています。
ここはウルトラ・レーザービーム砲室。
ノアの搭乗員の中で射撃能力が群を抜いて高い失星人にしか隕石を撃ち落とすことができません。
彼は凄腕のガンマンです。隕石を前にしても冷静沈着。彼は必ず一発でしとめることができます。
そして、今は射撃訓練用のシミュレーションゲームをしていました。
「ねぇ?」
「なんです? 失星人さん? ほら、ちゃんと前見てください」
「うん。あのさ、ノア・プロジェクトって何のためにあるの?」
「それは人類の多様性を後世に残すためです」
「残してどうなる訳?」
「それは偉い人にしか分かりません」
「そっか」
「旅が終われば、僕らは永久保存なんだよね」
「そうですね」
「いつ旅は終わるの?」
「失星人さんは終わって欲しいんですか?」
「うーん。微妙」
「そうですか。これから新人さんの紹介があります。失星人さんを連れに来たんですよ。みんな待ってます」
「それはSORRY。SORRY」
「SORRYも一回でよろしいので」
ここは会議室。
新人の星人さんの自己紹介をする場であります。また、新人さんにノア・プロジェクトの趣旨を教える場でもあります。狭星人さんは以前、ここでノア・プロジェクトの趣旨を聞きました。
「揃ったな。では、自己紹介をしてくれ」
新人の教育担当係の消星人さんはそう言った。
「はい、私は奇星人です。皆さんよろしくお願いします」
「今一度、伺うが、うじゃうじゃではないよな?」
消星人さんは不審そうな顔をしていました。不審者が不審な顔をすると、余計、変態じみた人になるんですね。メモメモっと。
「私はそのような者ではありません。格好で決めつけないでください」
「そうか。では、何故、ここに自ら志願して来たんだ? 小型宇宙船なんか用意して」
「手っ取り早いだろうと思って」
「それはそうなんだが……」
「普通、自分からノアに来ないだろ? ノアに来る奴はのけ者にされた奴ばかりだぜ」
微星人さんはそう言った。派星人さんの手には顕微鏡がありました。
「それもそうだ」
派星人さんは微星人さんの意見に同意した。
「まぁまぁ、皆さん仲良くやりましょうよ」
「新人は黙ってろ!!!」
「えー!!! 怖っー!!!」
ここは連絡通路。
わたしは狭星人さんと一緒にいました。そして、放送を聞いて操縦室へ急いでいました。
「な、何だろう。緊急の話って?」
わたしはそう言いましたが、狭星人さんの顔は俯き、黙ったままでした。
ここは操縦室。着いた途端、今もなお、緊張した雰囲気が漂っていました。誰かのお葬式ですか?
「知星人、お前は一体、何者なんだ?」
消星人さんはそう言いました。意味が分かりません。
「奇星人に聞いた。いや、こいつは奇星人じゃない。第21惑星、地球を滅ぼしたロボットだ」
「えっ……!?」
「言わば、お前の元・敵だった者だよ」
「これがロボット? ロボットは核戦争で地球人と共に滅んだはず。どうして?」
私は唖然としました。
「確かにロボットは『核』という愚かな兵器で第21惑星と共に滅んだ。しかし、ここにいるということは完全には滅んでいなかったってことだ」
「でも、第21惑星人、地球人も滅んでないかもしれない可能性だってある。それがお前って訳だ」
「…………」
「認めるんだな」
「はい、わたしは地球人であることをみんなに隠してきました」
「何で隠したんだよ!」
「だって、言えるはずがなかったんです!」
「わたしをどうする気で?」
「送りますよね。もはや、わたしは博物館で保存されるだけの身。それ以上の価値はなく、自由に生きる資格もない」
「何言ってんだ。お前はもう俺たちの仲間だろ。それは俺たちが全員集まった時のことだ」
「えっ? それはどういう……」
「俺っちも同じ意見だぜ」
「私も。記憶は失っても、知星人は私に優しくしてくれた!」
「オレは操縦桿だけ握っているだけではない! いや、俺は握っていない!」
「みんな……」
「二人はどうだ?」
すると、消星人さんは二人の星人、狭星人さんとニュー輝星人さんの方へ近づきました。
すると・・・・・・消星人さんはニュー輝星人さんに捕えられました。必死にもがく消星人さん。それらを振り払うニュー輝星人さん。
「まさか、ノア・プロジェクトの手下?」
失星人さんはそう言いました。
「この、不届きものがー!」
派星人さんは宇宙船を激しく上下に振ると、消星人は姿を消して、自力で抜け出しました。
「YOUも少しは手伝えっての」
ニュー輝星人さんはそう言うと、狭星人さんは操縦桿を握っている派星人さんを捕えにかかりました。
「知星人、逃げろ!」
顕微鏡にいる微星人はそう言いました。
「で、でも!」
「いいから。お前だけでも逃がさないと、後で後悔するんだよ!」
「行け、こいつらは……オレたちで何とかする」
派星人さんは派生し、総勢10人の派星人さんが狭星人さんと対峙をしました。
このままでは分が悪いと踏んだのか、狭星人さんは恐竜に変化しました。迫力負けです。
「お前……絶滅危惧星人種の恐星人だったとは」
「あなたが100人いようが1000人いようが、今の僕に適う相手ではありません。ここは素直に投降してください。僕たちはあなた方を傷つけることはしたくありません」
「じゃあ、お前たちは何しに来たんだ?」
「ある『目的』のためです」
「目的?」
「行って、ロボットが乗ってきた小型宇宙船があったはず」
「失星人さん……」
「知星人! 後ろ、BACK!!!」
突如、人が180度変わったような表情になった失星人さんの顔にわたしは思わず後ろを振り返ります。すると、何者かによって強い電気ショックを食らってしまいました。
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