第三話 誕生日
第三話 誕生日
ここはノアの連絡通路。わたしはまたしても、失星人さんに言い寄られていました。何だか損な役目です。
「知星人、最後に一点だけいいですかい?」
「いいですよ。何です、失星人さん?」
「ノア・プロジェクトって何でしゃっろ?」
「え-と、そこからですか?」
「YES」
「ええっとですね。ノア・プロジェクトとは今は滅んだ無くなってしまわれた第21惑星と同じような似た惑星で星人さんを一人だけチョイスし、人類のバラエティに富んだ多様性を後の人類に残すプロジェクトのことです。お分かりいただけましたか?」
「YES、YES」
「YESは一回でよろしいので」
すると、失星人さんは持ち場へ戻っていきました。
「いつもいつも大変だな」
「そうですね。あなたよりはマシです。扱いやすいです」
「俺は手間がかかるんだ。愛情持って接してくれたまえ」
何かと何かをミックスしたハンバーガーを手に持って、壁に寄り添っていた消星人さんはそう言っていました。何と何のミックス? それは秘密。
「はいはい。あの、いつも言っていることなのですが、わたしの周りをうろうろしないでください」
「気にするな。って嫌味だなそれ! 俺はストーカーか何かか?」
「えっ、ストーカーじゃなかったんですか? パチパチっ」
わたしは不審者を見るような目つきで消星人さんを見据えました。一生分の瞬きをしてあげました。
「おいおい、いかにもっていう顔で言うなよ。俺はだな……」
「わたしの周りをうろうろすると、ろくな目に遭いませんよ」
「ふふっ、そんなことあるはずが……!?」
すると、消星人さんは出っ張っている角に頭を思い切りぶつけました。間近で見ると、哀れですね。
それにしても、かなり痛そうです。
「帰る」
「どこに?」
「実家」
「頑張って」
すると、消星人さんはわたしの袖に一枚の紙を忍ばせると、徐々に姿が透明になっていきました。
その後、わたしは不審者の紙をビリビリに破いたとさ。
ここは操縦室。
ビリビリに破いた紙をどこに捨てるか迷ったわたしは何故かここに来てしまいました。
すると、一人の星人さんが血相を変えて、わたしに詰め寄ってきました。まるでデジャブを見ているようです。
「知星人さん! 僕はここで何をすればいいんですか?」
「えっと、いきなりですね。狭星人さん」
「すんません……」
「いいんですよ。構いません。えーと、さっき、消星人さんから伝言の紙を預かったので、今からそれを読みま……紙は確か……!?」
「どうかされましたか?」
「お、おほん、お前は狭星人、狭いところで寝ていなさい。とのことです」
「僕は狭いところで寝ていればいいんですか?」
「あと、運動もしてください。あっ、それと、ノア・プロジェクトの趣旨は概ね聞きました?」
「なんとなくですが」
「それでいいです。なんとなくで。次の星に着くまで特別やることはありません。以上です!」
「では、わたしはこれで」
ここはわたしの部屋。
物音で目が覚めたわたしは不吉な予感を胸に部屋を出ました。
そこで目にしたのは・・・・・・矢印。矢印?
ここは操縦室。
消星人さんを先頭に微星人さん、輝星人さんがいました。
派星人さんはすやすやと操縦席で寝ています。
「ふふ、ここで待機すれば、知星人は矢印の方向を目指してこっちにやって来る。知星人が来たら、特大クラッカー(あなたを夢の国へ……)を鳴らす。すると、異常を検知するセンサーが働き、船内の電気は消滅、その後、この扉が緊急閉鎖」
「そして、その後、俺っちの天使の歌声でハッピーに」
「いや、悪魔の歌声でわたしをひどく困らせるだろう」
星人さんたちは声がした扉の方に顔を向けました。
そこには、本日の主役らしいわたしが仁王立ちでいます。
「あれ、自分の部屋で本を読みながら、仮眠していなかったのか?」
消星人さんはそう言いました。意味不明です。
「そんな器用なことはできません。それにしても参りました」
「そうか! 参ったか!」
「パッションピンクちゃんの矢印にぃ!」
「あの矢印は宇宙一汚れが取れる家庭用洗剤でやっと汚れが取れましたよ」
「わざわざ消した、だと。勇者かお前は!」
「ええ、大変でした。うふふ。でも、これで観念です。魔王さん」
「とまぁ、ふざけたことはその辺にして、わたしがここに来たら、何をする気だったんですか? 微星人さん?」
「いや、クラッカーを放とうと……」
「そのクラッカー、とっくに期限切れですよ? 危ないですって。もうっ」
「えっ? そんなの書いてないけど」
「そんな危ないのを放ったら、わたしたちは今頃、宇宙の藻屑と消えていましたね。夢の国(天国)は夢(死んだ)の時ですね」
「ここで皆さんに一つ名案があります」
「は、はい!!」
「皆さんに平等かつ平和的なペナルティをお与えしましょう!」
「ま、待て、誤解だ。俺っちは知星人、お前の誕生日を祝おうと思ってだな」
「あっ、責任転嫁ですかー?」
わたしは白い台の上にある純白のケーキの先にある顕微鏡に指を指してそう言うと、星人さんたちは指差す方に向かい、凝視しました。
「ち、違うよ。こ、恐いなぁ、同じ釜の飯を食った仲じゃないかよ!」
「誕生日? わたしの誕生日は今日ではないんですが?」
「えっ??」
「実は今日、僕の誕生日なんですよ。嬉しいなぁ」
すると、操縦室に現れた狭星人はそう言った。ケーキを見ては喜んでいる様子がチャーミング。
「なので、祝われるべきは狭星人さんかと。狭星人さん、100000001歳の誕生日、おめでとうございます!」
「ありがとうございます。知星人さん! いやぁ、何年ぶりかな、こうして祝われるのは……」
「どうされます? 企てた輝星人さんは何もしていないので、平等かつ平和的なペナルティはないですけど」
「嬉しいのか、悲しいのか……」
輝星人は自身の頭で白い壁を叩いた。
「で、他の星人さんたちはどうしたいんですか?」
「え、え……是非ともやられたいです!!」
平等かつ平和的なペナルティは強烈なビンタでした。
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