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青みがかった黄色いピンク  作者: 高嶋ともつぐ
最終章 久慈雅人
96/110

#96 テレビの中の方が真実が多いのか

テレビが最近好きで、最近は家にいるときはテレビばかり見ていて、最近のテレビはかなり薄くなったけど 1センチは切ってないよなとか、縦と横の長さの割合は何対何だろうか、とか考えながら今もテレビを見ている。


テレビのCMでちょうどおばさんという言葉がピッタリの女の人が出ていて、その時に僕は『テレビの縦と横の比率は?』『縦と横の比率は?』『縦と横の比率は?』とずっと繰り返し考えていたので、そのおばさんの名前を気付いたら『伊達トヨ子さん』にしてしまっていた。


僕は、あわよくば⇒泡浴場⇒ソープランド、というように発想を自由に飛ばせる男なのだが、そうやって発想を飛ばせることに悩んでもいて、暇だったので、そうやって発想を飛ばせてしまうことに関することや、横浜の横幅に関することの全てを徹底検索したりした。


発想を飛ばす関係のものは何も出て来なかったが、横浜の横幅は20kmくらいらしいということと、家から10Km圏内にソープランド的な何かがあることが分かって、今のテンション的なものを折れ線グラフで表すなら、日本列島のカタチに沿って北上する一般的な台風の進路のような感じになることだろう。


テレビを見ると、今時では珍しく、100円玉やら、10円玉やらを惜しげもなく自動販売機に注ぎ込んでいて、テレビでは街ブラロケをやっているみたいだが、画面に写った10円玉を見て、【父は小さい頃から剣道をやっている『剣道二段』で、僕はギザギザ10円玉集めを極めた『収集九段』だが、ある女性は『優柔不断』だったな】と昔を思い出していた。


『街ブラロケ』という言葉の姿カタチをそっくりそのまま頭の中に丸写しにしながら、その街ブラロケを見ていると、『街ブラロケ』の【ブ】と【ラ】と【ケ】が左を向いた人の顔にしか見えなくなってきて、逆に『街ブラロケ』の【ロ】の平凡さに気持ちがおかしくなってきた。


ストローのなかをタピオカが通ることなんて、僕にとっては自分の血管にタピオカが通るくらい恐ろしいことなのに、その街ブラ芸能人は平然とそれをやってのけていて、【オムライスと小倉アイスは発音がよく似ているので、たぶん食べ合わせもかなりいいと思う】という考えはそれによって溶かされた。


テレビの旅番組的なものを見続けていると、リポーターだか、レポーターだかの服装が気になり出して、ジーパンにパーカーというラフな格好に親近感がそれとなく流れ出た。


大量の焼肉のタレをこぼされたが『焼肉のタレ色』のジーパンと『焼肉のタレをこぼしたように見えるプリントの入ったTシャツ』を着ていたので被害はあまりなかったときが、かなり前にはあった気がする。


電話でホームパーティーにドレスコードがあると言っていたが、普通の家にドレスコードがあるのは『音楽を聴こうと思ってイヤホンを耳に付けたが、少し違和感があったので確認してみるとパーカーのフードに付いているヒモを耳に入れていた僕』と同じで普通ではないと思ったりしたこともあったことを、パーカーで思い出していた。


そのリポーターが独特な言葉のチョイスをしたり、独特なジェスチャーを交えたりしていて、そのリポーターへの興味が湧きすぎて、僕は【あなたの口が『への字』に曲がることは、台風の進路が『への字』になることくらい珍しいことだよ】と誰かに言われたことがあるのに、今の僕の口はへの字だった。


このリポーターに似ているある女性が「リバーシブル」と言っていたことが昔あって、『知り合いが川で大きな桃を拾ったと聞いておばあさんは川に来たが、流れてくる前におじいさんに帰るように言われて、そのおばあさんは帰るのを渋った』という意味の「リバー渋る」ではなく『裏表兼用の服』という意味の「リバーシブル」だろうと思ったことがあった。


テレビを見進めていると、そのリポーターがたこ焼きを食べて【丸い!】と言っていて、斬新と思いながら見ていたが、午後3時頃にリビングの閉め切りにしていた窓の網戸にセミが飛んできて、そこでそのセミさんがムーンウォークみたいなことをしていて、斬新と思ったとき以来の斬新だった。


テレビ、テレビ、テレビ、テレビと何度も頭で思ったことで思い出したのだが、今日は暑かったと言えば暑かったし、寒くなかったと言えば寒くなかったし、ほどよく照っていた日で『照り日』だったし、あとは、恥ずかしくて鼻の頭が赤くなったこともあって『照れ鼻』だった。


たこ焼きで思い出したことがあって、タコ焼の食べ方は、丸く焼いた生地⇒ネギ⇒揚げ玉⇒干しエビ⇒紅しょうが⇒ゆでたタコ⇒ソース⇒マヨネーズ⇒青のり⇒かつおぶしの順に口に入れて食べる『タコ焼口内製造スタイル』が僕は好きなのだが、そんなことが出来ない状況に遭遇したことも昔あったことを思い出した。


リポーターが、たこ焼きを一口で熱がらずに食べ進めている衝撃映像が続くなかで、僕は勝手に自分の頭の中に、【※悪い子のみなさん、絶対に真似してください】というテロップを出してしまっていた。


テレビのバラエティー番組で早食いの達人が、別の分野の達人に早食いで負けたのを見たのが、僕の一番古い記憶だが、その記憶はあるのに、女性の家で過ごした記憶が全く残っていないときもあったことを、あのリポーターが思い出させてくれた。


話の流れのなかで【副鼻腔炎】という言葉を使う機会があって、結膜炎と同等の認知度だと思って、結膜炎と言うときと同じテンションでその言葉を使ったら、ポカンとされたことがあったのだが、それと同じくらいその後も、そのリポーターにポカンとし続けた。


最近、どんなことよりも気になっていることは『計量カップ、上から見るか?横から見るか?』ということで、横から見ると注いだ勢いとかで、分量がよく分からなくなりそうとか思ったりしているのだが、今はそれを遥かに上回るような気になることが生まれていて、それはさっき蒸しパンを食べたリポーターが言った【蒸しパンはほぼ空気だからね】という言葉だ。


街ブラロケで映った映像の中に、【世界一、世界二位に近い、世界三位のハンバーグ】というノボリがあったのだが、ややこしいなと感じたりしていて、今あのリポーターが映像からいなくなったので、僕はテレビを消して、メロンみたいな網目のあるブランケットを抱き締めながら、ベッドに寝転がった。


近くにいるのに、僕がいないような感じで話をしているある女性の父親の態度に、アンデスメロンが『アンコのように甘いですメロン』の略ではないと知った時くらい驚いたこともあったことを思い出しながら、ベッドでのんびりを貫いた。

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