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青みがかった黄色いピンク  作者: 高嶋ともつぐ
最終章 久慈雅人
93/110

#93 視線の切っ先は喫茶店

何気なく道を歩いていると、いかにも喫茶店というようなお店が見えてきて、入ろうか入らないか、入ろうか入らないかを悩もうか悩まないか、悩もうか悩まないかをどうしようかどうしようかと、ずっと悩んでいたが、入ることにした。


喫茶店では綺麗な音楽が美しく流れてきて、その音楽に弄ばれているような感覚に陥ったり、その音楽の雰囲気に飲まれて、少し大人っぽい振る舞いに落ち入ったり、メールで誰かに絶対に言わないでと言われたミステリー小説のオチ言ったりしたりしていた。


【音、嬲る。そして、大人振る】みたいな感じになったと言えば、分かるかなと思うが、とにかくそんな感じに今はなっていて、かなり大人振っているのだが、大人を殴るという意味での【大人打って】ではなくて、音には嬲られているのだが、【嬲】という《男と女のぎゅうぎゅう詰め》の状況には全くなっていなかった。


喫茶店に来て真っ先に思い出したのが、猫の額ほどの広さの喫茶店で女性がカップを落として「キャッ」と驚いて周りの人は「ワーワー、ギャーギャー、ニャーニャー」騒いで、猫を被っていそうな店員が「猫の両前足も借りたいよ」みたいな表情で割れたコーヒーカップを片付けている横で、猫みたいな瞳の子供がひなたぼっこをしている猫のように、床に寝転んでいたことが昔あったことだ。


メニューを見ているとジンジャーエールという文字に目が止まり、昔ジンジャーエールが飲みたくなってスーパーマーケットで買って久し振りに飲んだら、そのジンジャーエールは辛すぎて、もう悶えまくって悶えまくって、もしこの世から消えたい人がそのジンジャーエールのパッケージを見て【シンジャーエール<死んじゃえる>】と読み間違えて買って飲んだとしたら、その辛さに、今までの思い出たちが走馬灯のように浮かぶことだろうと考えたことを思い出した。


昔は喫茶店ではお茶を飲まなくちゃ、なんか少し気持ち悪い感じになっちゃうとか、オープンカフェで開放的にコーヒーを飲まないとなんか気持ち悪い感じになっちゃうとか色々と考えていたが、今はそんなことは全く考えてなくて、【占いのラッキーフードがいつもチーズなのはその占い師がチーズメーカーの差し金だからか】とか、【占いのラッキーフードにいつも喫茶店で定番のメニューが出てくるのは、その占い師と喫茶店業界がギチギチに繋がっているからか】とかしか考えてない。


隣の席のスーツを着た男性が、突然くしゃみをしたことで、【くしゃみをしたら「イヌが吠えたのかと思った」と言われたことがある】という女性が昔いて、【牧羊犬の代わりとして羊の群れの誘導は出来そうだが、この長所は銀行強盗をやるので刃物を持って来いと言ったのに刃物ではなくて葉物野菜を持ってきた仲間くらい役に立たないな】と思ったことが今蘇ってきた。


腐ってもチーズメーカーの差し金にはならないと決めたと同時に、店員さんを呼んでチーズケーキとカフェオレを頼んでいる僕がいて、気持ちとは裏腹な行動をしてしまっている自分に腹がたち、ブルーな気分になり落ち込んで、少し癖の強い悔しがり方をしてしまっていた。


自転車に乗って走っている人が普通よりも弱冠多いよなって、喫茶店の窓から見ていて思ったのだが、特に嫌な気分とかにはならなくて、普通の普通の気分で、そもそも自転車を見ただけで不機嫌になるのかという話で、バドミントンやテニスのテレビ中継で、一番重要な点数の文字が小さくて読めなくて、小さくて読めない!と叫びながら紙をばら蒔いたり、眼鏡をおしりで潰したい気分になったことと、それは一緒ではない。


あんなに気付かない人間で、鈍すぎる人間であるにも関わらず、玉葱とトマトは煮込んだら甘みと旨みが溢れ出てきて、美味しさが半端なくなることに最近気付いてしまった僕は、なにかとてつもない組織と昔ガチガチに絡み合っていたというような、記憶の存在に何となく気付いてしまったような、気付いてしまってないような感覚になってしまっていた。


喫茶店から見える自転車たちを眺めていたら、【僕が夜に自転車で走っていてライトの調子が悪くて、明かりがついていなかったようで、警察に呼び止められて生年月日を聞かれたのだが、年号を間違えてしまい未来人みたいになってしまった】ことを思い出して、そのときのように、ある女性が僕を未来人だと思っているのだろうと思ったことも少し前にあった気がするなと感じていた。


ここは喫茶店という場所で、お茶とかを飲む場所であるが、周りにはお酒にしか使用しないであろう容器の数々や、瓶などがアチコチにあって、【ダイエット合宿系のテレビ番組は、痩せたときの衝撃より、女同士のバチバチなバトルや、女の怖さによる衝撃の方が強くて、ダイエットどころではなくなってしまう】が、それと同じで、今も本来の目的に集中したいのに出来ないでいた。


ある席の、あるテーブルに置かれた、あるメーカーの、ある瓶ビールが、あるスポーツで使われる、あるものに見えてしまって仕方がなくて、ビール瓶は五本ほどしか並んでいないのだが、2投目と考えれば、もうそのスポーツのそれにしか見えてこなかった。


あの瓶ビールに球体など投げていいはずはないが、僕は球体のものや、球体に出来る限り近いものを持っておらずモヤモヤとしていて、唯一丸みを感じられるイヤホンケースを見つけたのだが、それを行動に起こすことはなかった。


チーズケーキとカフェオレを店員さんが持ってきた途端に少しずつ食べたり飲んだりしていたが、ボウリングとは【重たいボールを恨みを込めて投げて、遠くにある大嫌いな人たちに見立てた10本のピンをぶっ飛ばすストレスを解消するための遊び】だと思っていたこともあった、という記憶が今蘇ってきた。


アクセルを操作すれば、ほぼ足の動作なしで動かすことの出来るバイクではなく、さりげなく足を動かす補助をしてくれる電動アシスト付き自転車のような人に惹かれる僕はなぜか、【コシヒカリといえば反射材を腰に巻いたおばさんの総称だけど、ある女性と太巻きを作った時に使ったお米の名前もコシヒカリだったな】ということを突然思い出していた。


さりげなく足を動かす補助をしてくれる電動アシスト付き自転車のような人に惹かれる僕が好きなのは、反射材を腰に巻いたおばさんではなくて、あの人だけだと、改めて心に留めたが、僕はふたつのことを同時に出来ない人間なので、ボウリングで歩きながら投げられずに止まってから投げてしまったり、ドラムを叩きながら歌ったりギターを弾きながら足でピアノを弾くことさえも出来ないので、その人に対しての自信なんて何もなかった。

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