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青みがかった黄色いピンク  作者: 高嶋ともつぐ
最終章 久慈雅人
92/110

#92 急行みたいに駅の横を通り過ぎる

小規模の駅でもあり、最寄り駅でもあり、なんかよく知っているような気がする駅でもあり、なんか一見お洒落そうだけど全然そんなことない駅でもあり、むしろかなりダサい方の駅の横を普通に通った。


山手線で目的地は隣で、あと1駅で着くという状況なのに、間違えて逆回りに乗ってしまい、乗り換えずにそのまま一周してしまったくらい面倒くさがりな僕も、昔の職場にいた『何食べたおじさん』に前日の夕食を聞かれなくなった時は嬉しかったなと、そんなことを思い出した。


ナンヤカンヤで家について、少し暗くなっていた部屋に、ナンヤカンヤで明かりをつけると、ナンヤカンヤで変な見たこともないような筒状の物体が浮かび上がってきて、ナンヤカンヤで驚いたが、よく見ると、今日飲んだ覚えのあるお茶の空き缶で、ナンヤカンヤで「なんや、缶や」と心で叫んでいる僕がいた。


家に完全に帰りきって、心も落ち着ききって、部屋にも馴染みきって、ふとテーブルの雑誌が目に入り、見てみると、もう雑誌を読むことだけに集中してしまっている僕がいて、【10個以上のことをいっぺんにやるとかかなり凄すぎて、聖徳太子マジリスペクト】と聖徳太子様を本当にスゴいと感じていた。


雑誌に占いコーナーがあって昔のことを思い出したのだが、僕が昔、占い師のようなものをしていて「ラッキーカラーを言いますね」と言ったら「ニワトリですか?ダチョウですか?」とおじさんに言われて、そのおじさんは『ラッキーカラー』を『ラッキー殻』と間違えていたが、そんな間違いをする人なんて、頭頂部の毛を自分で剃って「僕、ハゲちゃいました」とハゲ自慢をしてくる人くらい少ないよな、と思ったこともあったことを思い出した。


僕が昔、占い師をかじっていたことはなんとなく思い出したが、物理的にも、比喩的表現的にも占い師をかじっていたことはたぶん事実で、「あくまでも個人的な考えですけど占いって当らないですよね」と昔、女性に言われて『あくまでも』と言ったのか『悪魔・デーモン』と言ったのかが定かではなかったなと、そんなことを思い出していた。


最近、新しく買ったワイヤレスイヤホンが、電源をオンにしたときやオフにしたときに喋ったり、スマホに接続したときに喋ったり、電池残量が少なくなったときに喋ったり、たまに思い切りピーッと鳴いたり、普段の僕よりもかなり多めに喋っているのだが、なんか女性と物凄いお喋りをしていた時期が僕にもあったような気がしてきた。


小腹という小腹が全部すいてしまって、何百もある小腹の半数近くは満たしたいなと思いながら、コンロの向かいの収納や、コンロ横の裏のスペースや、キッチンの窓付近などを探したが、そこには何もなくて、あるはずもなくて、即席ご飯に即席味噌汁をかけて食べることにした。


ここ十年間の足跡を辿ってみても、特に特別なものは何もなく、ただ【ドラッグストアの前を歩いていたら、ドラッグストアの前に置いてあるショッピングカートが、斜め前にいる僕のところに向かって走ってきて、無視することも出来ないので、戻すという選択肢しかなくて、きちんと戻した】という記憶しか思い出せずに、足跡を思い出しながら、即席ご飯に即席味噌汁をかけたヤツを勢いよく頬張ると、即咳が出た。


前世が『50年間、味噌汁かけご飯だけを食べて生活した人』だった人に昔会った気がすることは、思い出したくなくても、思い出す必要がなくても、思い出してしまっているが、なんか最近は女性に興味がなくなってきていて、だけど宇野真帆さんはよく思い出していて、宇野真帆さんは別だ、みたいな感情がほわっとふわっと沸き上がることがあった。


胃の中に勢いよく何かを入れてしまったせいか、体内に突然何かが入ってきてしまったせいか、内臓的なものがキリキリと、そしてキリキリと、そしてグワングワンと痛み始めて、それは温州みかんを冷やしたり凍らせることに、漢字の意味的観点から、背徳感を覚えている時のような痛みだった。


即席ご飯に即席味噌汁をかけたヤツを流し込んだわけだが、その即席ご飯に即席味噌汁をかけたヤツのご飯のほんの一粒くらいのやんわりとした痛みしかないというのに、なんか慌ててしまっている自分がいて、データを消去するときに、【本当に本当に本当に本当にいいのですか?】という段階まで行ってくれないと、間違えて消してしまうこともあるかもしれない僕だが、この小さな痛みなら、第一段階の【本当に消してもいいのですか?】だけ出してもらえればいい。


この痛みに名前を付けるとしたらどんな名前か、この痛みに名前を当てはめるとしたらどんなものかなど、色々と考えていたが、とにかく名前がカッコいい【十二指腸潰炎】の50歩手前として脳内に登録したいなと思った。


気分が沈んでしまっているのは確実で、もう昔のことは思い出せないような気分なのも確実で、気分的にも【十二指腸潰炎】の50歩手前なのだが、【十二指腸潰炎】の気分的な意味での反対語は【十二支ショー開演】だろうなと思ったりしたりしている。


幸せは今は無いなと思っていたんだけど、【しあわせ】を【死合わせ】として、【死合わせ】を【死×死】として、【死×死】を【(-1)×(-1)=1】の考え方に照らし合わせると、【死×死=幸せ】という考えに行き着いて、死と幸せは紙一重だな、という今日の結論に行き着いて、もう夢の中の十二支ショー開演が間近に近づいていた。


眠りに就こうとしたが、トイレに行ってからでないと、存分に十二支ショーは楽しめないと思い、トイレへと立ったのだが、小学生の時、5分の休み時間の間に2回トイレに行って、万全の体制で授業に臨んだのに、途中でトイレに行きたくなってしまって先生にトイレに行きたいと言ったら、授業前に行くんだぞ、とキツく怒られて、まるで授業前にトイレに行ってないように思い込まれていて、理不尽にもほどがあると思ったことを思い出してしまった。


10万回摩擦OKみたいなフライパンがよくあるが、30歳の人間なら放尿を10万回はしているはずなので、10万回摩擦OKみたいなフライパンが凄いのなら、放尿10万回で身体が何ともない人はもっと凄いことになる、みたいなことをトイレを済ませてから布団で考えていたら、いつの間にか夢の中にいた。

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