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青みがかった黄色いピンク  作者: 高嶋ともつぐ
特別章 川城界人
82/110

#82 心を撃ち抜かれてしまった訳で

私の名前は宇野真帆です、久慈さんは元同僚なんです、久慈さんはリストラされて、やっと友達の経営する会社に誘われたっていう時にすぐにガンだと分かって、ガンでの闘病中にお見舞いには何度も行きました、私の心も弱ってしまっていて、『親友が時折見せる大笑いの後の真顔のせいでたぶん今夜も眠れない』みたいな状況と同じような精神状態の中にいました。


私が久慈さんの元同僚だということは言いましたけど、もうひとつ昔のことで重大なことがありまして、私、元々は痩せていたんですよ、例えるなら本来のベーコンを今とすると、昔の私はフライパンの上で焼かれて縮んだカリッカリのベーコンです。


はい、えっ、何ですか?私が昔、何に似ていたかですか?その言葉、少し並び替えてお返しします、私は痩せてもブス、太ってもブスですよ、似ている人なんていませんでしたね、えっ、強いて言うならですか、ですからちょうど誰もいないゾーンのブスなんですよ、あのっ、同じ質問ばかり言わないでもらえますか?ああ、もう、くどいですくどいですくどいですくどいですくどいですくどいですくどいですくどいですくどいですくどいです……。


今はブタとウーパールーパーに似てると言われます、ブタと言われることに関してはあまりいい気分はしませんね、ブタ=鼻の穴が大きい人っていうイメージがありますからね、あとほんの少し不潔っていうイメージもありますからね、その代わりウーパールーパーと言われる喜びはものすごいものがあります。


『ウーパールーパー』は伸ばし棒が四つも入っている生き物ですよ、それに『パ』という破裂音が二つも入っているんですよ、スーパーとかハイパーとかを『ウーパールーパー』の前に付けたらカッコいいので、そう呼ばれたいですよ、私今日から【スーパーハイパーウーパールーパー】って名乗ってみたりしたい気分ですよ。


あの、すみません記者さん、ウーパールーパーに全然似ていないってどういうことですか?似てなくても似てると言うのが記者さんというものではないんですか?あなたは、暴走汽車ならぬ【暴走記者】ですね、あなたが明日、家から出たときに、あの有名なアスレチック系アトラクション番組みたいに【ウーパールーパー】という文字のような関門が家の前に立ちはだかっていればいいんですよ、ちなみにウーパールーパーの伸ばし棒の部分は乗ると横に回転するようになっていて、あと、その下は汚い水になっていればいいんですよ。


記者さん、一歩も引かないですね、『ちりめんじゃこ食べれば母怒鳴る』みたいなことわざがありますけど、それみたいな感じですよ、小さいちりめんじゃこもいっぱい食べればお腹がいっぱいになって夕食が入らなくなるから、夕食前に食べるとさすがに母も怒鳴るよっていうことわざですよ、えっ、塵も積もればナンチャラなんて聞いたことないです、『塵も積もれば山となる』ですか、『ちりめんじゃこ食べれば母怒鳴る』ってことわざと似てますね、まさに今はそんなん感じです。


あっごめんなさい、昔はこんな性格ではなかったんですけど、今も私は普通に真面目な性格だと思っているんですけど、真面目っていう漢字は他の漢字に比べて斜めの線が少なくて、曲線もなくて、四角形がすごく多くて、いかにも真面目そうな感じがする漢字だなあって思いますよね、それと同じで私もそんな感じがするってよく言われるんです、本当ですよ。


久慈さんの話に戻りますけど、ガンになった久慈さんのお見舞いには何度か行ったんですよ、初めて行ったときはすっぴんだったので30度見くらいされましたよ、いつもが厚化粧なので驚いていたんだと思います、【ネットで『近くのシャバシャバのカレー』と入力して調べたら一番近いのが60Kmくらいの距離だったり、前髪の先がカールしてしまってそれがちょうど鼻の穴に侵入してしまってそれで擽ったかったみたいなことがあったりしたんですけど、その時の私と同じくらい久慈さんはその時驚いていたと思います。


あの、私、実は今も独身で一度しか彼氏がいたことがなかったんです、というわけで久慈さんが二人目だったという訳なんです、私は人の心を読むことも出来なければ、人の唇の動きで何て喋ったかを読むことも出来ません。


私が独身で今までに二人しか付き合ったことがないのは、たぶんですけどそのせいですよね、読心術や読唇術が出来ていれば、今頃は独身ではない気がします、読心と読唇は出来ないのに、自然と【退く神】みたいなことはしている気がしていて、カラダに毒な辛いものが好きだから【毒辛】状態でもありますし、もうあれですよ。


久慈さんがガンになってしまったときは運が悪いなと思いました、ガーンという気分を通り越してしまいました、鳥の【ガン】のようにガンと苦しみがどこか遠くに飛んでいって欲しいって思っていました、頑張っているのは私に伝わっていましたから、ガンを打ち破るためにガンガン頑張っているのは知ってましたから。


久慈さんは話すのが苦手で少し人見知りするタイプみたいですけど、私には何でも話せていたみたいです、真っ直ぐ私の方を見て、しっかりとした目付きで私には喋ってくれていましたから、よくアニメとかである、眼鏡を取ったら数字の3みたいになる瞳とか、尻のカタチをした瞳【瞳尻】とかではなく、【目】という漢字を横にした感じの目をして私を見てくれていました。


私は今、60歳前後のおばさんですけど、久慈さんと出逢ったり、一緒に働いたり、ガンになったときにお見舞いにいったり、昨日が機能していたのは昨日までだよと熱弁を奮ったり、今日はベッドから転げ落ちない自信がありますとそれとなく伝えたりしたのは、50代とか40代とか30代とか、その辺だったんですけどね。


30代から40代になり、40代から50代になり、50代から60代になり、みたいな感じで一代一代進むのが早いような気になっています、ちなみに久慈さんに影響されたか影響されてないかは言えないんですけど、私会社を立ち上げて少し経つんですよ、会社は順調で、カルパスを食べた塩味多めの口内にカルピスを流し込んだ時のような爽やかさを会社からは感じています。


久慈さんのお見舞いに行った話に戻りますけど、精一杯に誠意いっぱいに久慈さんのことを励ましていたら、涙を流していました、そして寝ている向きを変えてました、とても辛かったんだと思います、今【精一杯】って言葉を発した時に思い出したんですけど、【セイ】って読む漢字っていっぱいあって意外なものが多いんですよ、例えば、【丗】とか【丼】とかです、【丗】という漢字はもう、結婚式の時に新郎新婦が乗るゴンドラにしか見えないですよね、あっ、休憩ですね、分かりました。

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