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青みがかった黄色いピンク  作者: 高嶋ともつぐ
特別章 川城界人
64/110

#64 一度あることが二度あるということは三度目もある

あの?ブロメラインの話を広げる方向性で進めていきますか?それとも、エスカレーターでよろめいて両方の手すりを咄嗟に掴んだがもし後ろから駈け上がってくるせっかちな人の首に手すりを掴もうとして伸ばした腕が入ってしまったらと考えたら怖くなったことについての話を無理矢理広げますか?


ブロメラインはパイナップルに含まれるタンパク質分解酵素で、色々なものに役立っているんですよ、えっ、違いますよ、オリンピックで現在三位であと一人だけ選手が残っていてこのままいけば銅メダルが取れるかもしれないみたいな状況のことではないですよ、ブロメラインはブロンズメダルラインのことではありませんからね。


本当は分かってますよね、分かっていてワザと分からないフリをしてますよね、そんなに興味ないですか?怒りますよ、ちゃんと聞いてくれないならパイナップルのトゲを全身に刺しますよ、それか大量のパイナップルを食べさせて口の中をチクチクさせますよ。


まあブロメラインの話は後に取っておくとして、久慈さんの話に戻りましょう、ブロメラインの話の方が100倍くらい面白いですけど、本当にいいんですか?ガラガラ回して玉を出すタイプの抽選会に行って赤が出たので豪華商品かなと思っていたらハズレのポケットティッシュだったことがあったんですけど、久慈さんの話に戻った場合その抽選会みたいな状態になりますよ。


はい、久慈さんがトイレと間違えて押し入れを開けてしまってガラクタが雪崩のように迫ってきたことを鮮明に覚えています、ラジオをつけたら『東くん』という選手がマラソンみたいなものの先頭を走っている場面らしく『そのまんま東くんの後ろに付いていけば……』みたいなマラソン番組の解説のような声がラジオから流れてきたんですけど、それくらい鮮明に覚えています。


えっ、何ですか?私、そんなこと一言も言ってないですよ、どうしたんですか?もしかしてもう取材に飽きてしまった感じですか?1000名に怯えていますなんて一言も言ってないですからね、鮮明に覚えていますとは言いましたけど、1000名に怯えていますなんて一言も言ってないですからね。


私、1000名に復讐心を持たせるような行為は一切してませんよ、もしかしてブロメラインの話を聞くだけで蕁麻疹が出ちゃうとかそういう人が1000人もいるんでしょうか、『指の節と節を合わせて不幸せ、アーメン!』みたいなことを言っていた友達が最近結婚して幸せになったんですけど、もしも私が1000名に復讐心を持たせていると仮定したとしたら、その結婚と何か関連があるかもしれませんね。


久慈さんがトイレと間違えて押し入れを開けてしまって、ガラクタが雪崩のように迫ってきたことはありましたけど、大雑把な女だからとか、片付けられない女だからとか、そんな簡単な理由ではありませんよ、【家で雪崩】という動画を撮る予定とかがあったんですよ。


今、雪崩の話をしていて気になってしまったことがひとつありまして、【なだれ】という言葉で思い出したんですけど、『あなたの名は誰?』みたいに思ってしまったんですよね、記者さんの名前をド忘れしてしまって、『雪崩』から『名、誰?』を思い浮かべるなんてベタな感じですよね、そんなの【雪崩あるある】ですよね。


あなたは記者の川城界人さんでしたね、その時に久慈さんが姿を変えた別人だと分かっていたか分かっていなかったかは伏せておきますけど、その雪崩のあとにデートをしたんですよ、そのデートの話の前にブロメラインの話を挟んでもいいですか?


『けがあってよかった』『けがなくてよかった』と続けて言われても『毛が有って良かった』なのか『怪我有って良かった』なのか、『毛が無くて良かった』なのか『怪我無くて良かった』なのか、何が有ると良くて、何が無いと良いのか全然分からなくて混乱しますけど、今の記者さんはそんな感じの混乱をしてますよね。


デートの話に戻って戻って戻りまくって良いですか?デートとは異性と日時や場所などを決めて会うことだと、どこかの辞書が言ってましたけど、とにかく普通に久慈さんとデートしたんです。


『失礼します』と言って美しいお辞儀をしてから職員室に入ってくる生徒を職員室で先生に怒られながら見ていたことが何回もあったんですけど、美しいお辞儀をして入ってきた生徒がお辞儀をする前に発した『失礼します』はもしかしたら『質のいい礼をします』の略だったのかもしれないですし、デートとは異性と日時や場所などを決めて会うことと書いてはありますが、同性とバッタリ会って色んなところを回ることもデートかもしれませんよね。


その久慈さんとのデートには遅れてしまったんですよ、それは何故なんだ?それはどうしてなんだ?ねえ何で?おーしえろ!おーしえろ!みたいに思う人も1人から1億人くらいいるかもしれませんが、何でかというと、靴を落としたのにその時は気付かず、後で気が付いて戻って探しましたけど見つからずに遅れてしまったんですよ。


【久慈さん>靴】だったわけですよ、【久慈さん>靴】だったから落とした靴にも気付かずに来てしまったわけですよ、ちなみに良い革を使って作られた良い靴だったんですよ、靴を落として少し経ってからそれに気が付いて、【久慈さん>靴】だったのが【久慈さん<革】になってイヒイヒ言いながら探しましたね。


それで見つかったか見つからなかったかどっちかの状態でレストランに行きましたね、そこで久慈さんからは花束を貰ったと思います、【久慈さん>花束】でしたけど次第に【久慈さん<料理】になっていって【久慈さん<デザート】に移り変わっていきましたね。


まあこのデートを【デート】という三文字の言葉を使ったうえで四文字で表すなら【ザ・デート】ですかね、もう一度このデートを【デート】という三文字の言葉を使ったうえで四文字で表すなら、もうひとつは【デ・ザート】ですかね。


『ママはワガママでまあまあなママのまま』という、この早口言葉みたいな文章は『で』と『の』という文字以外全部母音がaだなってずっと頭の中で思っていましたし、その久慈さんが変身した人は『下唇をなめるクセが前と全く同じだった』ので外見以外久慈さんだなってずっと頭の中で思っていましたよ。


家の近くで会ったときにもう気づいてましたよ、でも慎重にいきましたよ、本当ですよ、家の近くで会ったときにもう変身した久慈さんだって気づいてましたから。


馬鹿は少し直ってましたけど、もちろん久慈さんは馬鹿の中の馬鹿なので付き合えませんでしたよ、外見は変わったかもしれないですけどね、文庫本を読んでいるときに近くにいる人が大きな音をたててアクビをしたときには文庫本も私の心も閉じたんですけど、久慈さんが馬鹿と分かったときには私の心をガチッと閉じましたね。


馬鹿にまで魔法を使ったとかないですよね、少しは馬鹿が直ってましたけど、魔法を使ったならもっと天才になっているはずですもんね、穴の空いた靴下をダメージソックスと呼んではき続ける人くらい久慈さんが嫌いでした。


5本入りのウインナーを袋から出したら普通のウインナー5本と手の指の先みたいな7ミリくらいのウインナー1本が入っていた時くらい【顔変えてストーカーしてきたと知ったとき】は怖かったです。


今はとても幸せですよ、久慈さんと会ってから少しずついい感じになってきていますから、『衝突』という言葉が『爆笑』に見えてしまったくらいいい感じになってきていますから今は、久慈さんに少なからず影響されているのは事実です、ほんの少しだけですけど。

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