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青みがかった黄色いピンク  作者: 高嶋ともつぐ
特別章 川城界人
63/110

#63 タンパク質分解酵素のような人

久慈さんが私を諦めずに顔を変えて再び近寄ってきた話の続きをしますね、私を嫌いな人は嫌いで、私を好きな人は好きで、私を極度に嫌いな人はヤバイと思いすぎて逆に好きになってしまう可能性もなくはないですけど、久慈さんを一度は受け付けなくなっていたので、もうどうすることも出来ませんでしたね。


まずは非通知で間違い電話を装ってきたんですよ、非通知ですよ、通知しないでかけてくるあの非通知ですよ、えっ、あっ、違います違います、悲しくて痛い地上のことではありません、悲痛地ではなくて非通知です。


えっ、あっ、まあ久慈さんは姿形を変えて私のハートを必ず撃ち抜くと思っていたかもしれないので、必ず撃ちぬくと書いて【必撃ち[ヒツウチ]】だった可能性もありますけど、今はそれほど関係ない話なのでいいですか?


私、久慈さんとハナレバナレパナレになってから一度も番号を変えてなかったんですよ、個体番号とかではないですよ、暗証番号はあれから数えきれるくらい変えてますけど、マイナンバーって変えられないですよね、車のナンバーはゾロ目に憧れたことはありますけど、電話番号のことですよ、とりあえず話を進めますね。


別人になりきっている久慈さんが私のこと何て呼んだと思います?私は飯塚っていう名前なのに『鈴木はるかさんですか?』みたいに聞かれたんですよ、鈴木はるかさんという全くの架空の人物を作り出してその人と間違えるというとんでもない手口を使ってきたんですよ。


歌詞カードに曲のイントロ、Aメロ、Bメロ、サビ、Cメロ、大サビ、などの時間を全て正確に記載して欲しいと思っている私からすると、鈴木はるかさんという全くの架空の人物を作り出してその人と間違えるというとんでもない手口は許せないですね、まあ普通の人も違う人物として接触されたり、自分が違う人物に間違えられたり、名前を間違えられたら嫌ですよね。


えっ、そうですよ、私は飯田ですけど、あっ、私さっき自分のこと飯塚って呼びました?そうでしたか、別に自分の名前が覚えられないバカではありませんからね、最近は飯塚って名字に憧れているだけですよ、それで言っちゃっただけですよ。


飯田の『田』ってなんかありふれているというか、平凡というか、どこにでもあるというか、四角いっていうか、四角が4つ合わさってますよみたいな感じの漢字っていうか、私の部屋の窓っぽいというか、普通なんですよね。


でも、飯塚の『塚』は普通じゃないというか、ものすごいナナメの線が多いというか、堀の深そうな顔に見えるというか、凛々しい無表情のイケメンに見えるというか、普通じゃないのがいいんですよね。


大リーグのホームランバッターが草野球チーム相手に叩き出した打率くらいの自動ドア反応率しかない私ですが、飯田という自分の名字を間違えずに言える確率はそれよりも遥かに上ですからね、『ホームランバッターの打率』よりいい打率を叩き出す一般人もいるかもしれませんけど、いい打率を出しても私が自分の名字を名乗るときの『飯田率』には敵いませんよ。


起きている間も寝ている間も24時間何かを食べているとしたら歯を磨かなくても大丈夫なのだろうかとか、今日のラッキーフードはとんかつで昨日の夜にはとんかつを食べたのでとんかつの成分がまだ体内に残っているということでラッキーフードの役割を果たすのではないだろうかとか、色々と常に考えてしまうもので、名字も間違えてしまうんです。


話は逸れてしまうんですが、ホームランバッターって何であんなにホームランが打てるんですか?ホームランバッターって何であんなに速くて小さい球をあんなに細い棒であんなに飛ばせるんですか?あと、ノーヒットノーランのランはホームランのランではなくてランナーのランでもないらしいんですけど、一体何なんでしょうか?


姿を変えた久慈さんと間違い電話で知り合いになったあとに、道で迷ったふりをして話しかけてきたんです、それで再会した感じですかね、久慈さんは姿が違うので久慈さんであって久慈さんではなかったんですけど、再会のなかでは最下位に近い再会でしたね。


久慈さんが私にしてきたことをまとめると、まずは間違い電話をかけてきて、道に迷ったフリをして近くまで駆けてきて、話し掛けてきて、空にある月が欠けてきてといった感じの流れですね。


私は酸いも甘いも噛み分けた女であり、水曜に甘いものカミカミしていた女でもあり、スイカの甘いものも嗅ぎ当ててきた女であるので、久慈さんが装おうとして本気で迷ってしまったリアル方向音痴だったということは簡単に分かりましたよ。


その人が久慈さんだと気付いたときにはナンヤカンヤで3周回って怖さにたどりつきましたね、久慈さんは本当にヤバイ人ですよね、それから半信半疑になっちゃいまして、まあ少しだけ大変だったんですけども、半信半疑が阪神ファンに聞こえてたら誤解を生むのでしっかり発音しますけど『ハンシンハンギ』です、『それから半信半疑になっちゃった』ですからね『それから阪神ファンになっちゃった』とは一言も言ってませんからね、まあそれから阪神ファンには実際なってますけど。


久慈さんとの一度目の別れから、セレブシティーの一人暮らしに変えたんですけど、魔法で家の場所も特定されましたよね完全に、あと魔法で『バーコードが付いていないアボカドをセルフレジで買おうと思って野菜の欄から探したけど無くて結局果物の欄にあったという体験をした人』だってことも魔法で特定されましたよね完全に、あと『【畳】書ける?』と畳み掛ける人だということも、魔法で特定されましたよね完全に。


結果的にはそんな怖い久慈さんを家に上げてしまったわけですけれども、有名なお店のスイーツに釣られましたね、私の思っていた有名な店とは違う他の有名な店のケーキだって少し経ってから気が付きましたけどね、今は男性に阪神のホームランバッターの話をされれば私の判定的にはホームランなので、私のホーム<家>を踏むことが出来るかもしれませんよ。


久慈さんってケーキ屋があったら迷わず入るくらいケーキが大好きなんですか?ということは自分用だったってことですか?私を釣るために買ってきていたんだと思ってました、私の家で一緒に食べますか?って言っちゃいましたよ。


その時の家のなかでは、『ドラッグストアに入って静かに歩いていたのに高いところに立て掛けてあった商品説明のパネルが突然上から落ちてきて無視することも出来ないので元の位置に戻そうとしたけど戻そうとしたら隣の同じようなパネルも落ちてしまい焦った話』はしないで、『パイナップルに含まれているタンパク質分解酵素の話』『パイナップルに含まれているブロメラインの話』を喋りまくりましたね。


ブロメラインって聞いたことありますよね?ブロメラインについて話していってもいいですか?私はブロメラインに非常に興味がありまして、ブロメラインというのはスゴいものでして、あっ今『ブロメラインの話はもうヤメナイン?』みたいなこと思いませんでしたか?まだまだ話したいことがあるんですけどいいですか?

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