#56 人生はイケメンの味がする
パンケーキごちそうさまでした、美味しかったですね、フルーツが沢山乗ってて、記者さんも甘いもの好きなんですね、記者さんの名前は確か川城界人さんでしたよね、あっ、では久慈雅人さんの話を続けますね。
久慈雅人さんが、演歌の歌詞に『ヨイショ！』という掛け声みたいなものを入れる『空前のヨイショブーム』が来ていることを批判していたり、衝撃映像特番がありすぎで見たことあるものしか流れないって批判してたっていう話はもうしましたよね？してなかったですか、でも面白くないので次行きますね。
あれっ、今、私、久慈雅人さんって普通に言っちゃってましたけど、フルネームって言っても良かったんでしたっけ？イニシャルトークしていたんですけどついついついつい口走ってしまって、でもこれ音声ではなくて文字として出るインタビューですから、どうにでもなりますよね。
ちょっと聞いてもいいですか？【久慈雅人さん】って言うときのイントネーションって、下から上に上がる感じですか、それとも上から下に下がる感じですか？私的には上から下に下がる方でやらせてもらっていたんですけどね、やっぱり合ってましたか。
親友のコンちゃんのことを話しますね、黒くてポッチャリしていて、グリーンアスパラガスの穂先にグレイビーソースをつけてお絵描きする夢を見たと何回も言ってくるほど変な彼女に、合コンでは久慈雅人さんもかなり振り回されていたと思います。
私の周りって変な親友とか、少し変わっている親友とか、ちょっと独特な親友とか、ヤバい人が多くて、一時間に一回鳴る私の部屋の壁掛け時計の音がテレビの音声を邪魔することがあるんですけど、そのテレビを見ている時の壁掛け時計の音くらい邪魔だなって思うことも多々ありましたね。
私には、白い肌をしていて細くて背が高くてスラッとしている変人のエノちゃんっていう親友もいて、そのエノちゃんも何回か久慈雅人さんとは会ってまして、変すぎて『秒まで出るデジタルの時計を見たら4時44分43秒でもうすぐ不吉な4が5つも揃ってしまうから目をそらさなければと思い急いで目をそらす』みたいな感じでエノちゃんから目を逸らしたいこともありましたけど、久慈雅人さんも同じぐらいヤバかったですよ。
コンちゃんか、エノちゃんかは、プライバシーの関係上申し上げることは出来ませんけど、久慈雅人さんの前で『可哀想な女アピールをしたけれど大好物のラーメンが来た途端にすぐにヤバイくらい元気になる親友』とか、久慈雅人さんの前で『ほとんど【す】という息だけで挨拶をしていたラーメンのスープ作りに凝っている親友』とかがいましたね。
『地震速報よりも存在感無いねと言われるのは、自信を与えるか、削ぐかでいうと自信削ぐ方だよな』みたいなことを私に言ってきたり、遅刻をしても許されるエノちゃんよりは早く来ていたものの遅刻を沢山していたりと、久慈雅人さんは親友二人よりも何倍も変な方でしたよ。
久慈雅人さんの顔は文句のつけようがないくらい完璧で、私の理想の顔をそのまま顔にして人間を作り上げてみました、みたいな感じの完璧に好きな顔で、もう顔に関しては満足していたんですけど、『透明なのに味がある飲料水が世の中に蔓延っているせいで色の付いたドリンクを喉が受け付けなくなってきた』みたいなのと同じようでちょっと違うみたいな感覚で、久慈雅人さんを受け付けなくなっていたと思います。
【『欅』という漢字を書かなくてはならない時に、もしも右上の部分を正確に覚えていなかったのならば、右上に角張った『653』を書けばなんとかなる】【恋人は顔さえ良ければなんとかなる】とずっと思ってきましたが間違いだと気付きました。
顔以外は興味がないんですよ、イケメンの顔以外は興味がないんですけど、背の高さとかバランスとか外見は気になっちゃう感じで、もちろんある程度の優しさもほしいし、もっと背が高くてもっと優しい人がいいななんて思ったりもして、久慈雅人さんは性格的に好きではないから結婚は考えられないななんて思ったりしてね。
『靴下の山を崩した』というダジャレを思い付いてメモしたんですけど、メモしたそのダジャレを見返したとき、普通の何の変鉄もない文に見えてきてしまって、男性に背の高さや優しさが必要なことはその『靴下の山を崩した』というダジャレくらい気付きにくいものだなって思いました。
ちなみに私、家事とかがすごく苦手で、洋服を畳むのとかも苦手で、出来ればしたくないと思っているので、靴下は引き出しに乱暴に投げ入れていて、毎朝引き出しの中の靴下の山を崩したりしながら選んで一日が始まります。
別れた原因は、私の浮気がバレたとか、久慈雅人さんに興味がなくなったとか、スキップが苦手なアナウンサーより上手なスキップをするカラスを見てしまいそれに興味を持っていかれ久慈雅人さんに興味がなくなった、とか世の中には色々ありますけど、浮気がバレてこっちから振ったと思います。
『地震速報＝耳震速報』と表現するのがピッタリなくらい地震速報の音が急で大きすぎてビックリすることもありますし、周りの女性たちが包丁を使わずに千切れるものは千切ってしまっている今日この頃なので、何が起こるか分からないし、このままでは結婚ではなく血痕を見ることになり兼ねなかったので別れたと思います。
あっ、このお茶美しい味がしますね、これは記者さんが淹れたお茶なんですか？どおりで美味しい味がするなと思ったはずです、ちなみに『俺』という漢字の右側と、淹れるの『淹』という漢字の右側は一緒で、『お茶は俺が淹れた』と文字に起こしてみるとなんかカッコよくないですか？
緑茶もウーロン茶も紅茶も同じ葉っぱだって知ってました？茶の葉を発酵させずに作ったのが緑茶で、茶の葉を半分発酵させて作ったのがウーロン茶で、茶の葉を完全に発酵させて作ったのが紅茶らしいですよ。
発酵、発酵、発酵って何回も言っていて思ったんですけど、久慈雅人さんのことについて真剣に真剣に真剣に私が語ったこの取材が載る本っていつ発行になるんですか？もしかして紅茶の茶葉のように完全に発酵するまで待つとか言いませんよね？まあいいですけど。
結婚はしたくなかったですよ、結婚は絶対にしたくなかったですけど、久慈雅人さんの顔はもっと見ておきたかったなってのはあって、ずっとずっとずっと顔を見ていたかったなってのはあって、浮気がバレて振ってしまった時は100歳寿命が縮まりましたね。
インドの大都市・コルカタの2001年までの名称はカルカッタでしたが久慈雅人さんの私への愛はオモカッタですよ、私が久慈雅人さんの顔を好きだった度数のかける5倍くらい私に重い愛を投げ掛けていたと記憶しています。
『かける』という言葉は『倍』とほぼ同じ意味を持っているので、『かける5くらいですかね？』や『5倍くらいですかね？』と言った方が良かったかもしれませんが、そんなこと少ししか気にならないくらい今はとても幸せですよ。
今は好みのイケメンを手玉にとったり、ショッピングセンターのイスが思ったよりも沈んで気持ち良かったなと思ったり、一日の時間配分がビシッと決まったり、好みのイケメンと騒ぎまくったり、とても幸せです。
私の性格とか思考とか色々なところが久慈雅人さんに似てきてしまったかもしれないですね、久慈雅人さんに少なからず影響されているのは事実ですからね、はい。
