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青みがかった黄色いピンク  作者: 高嶋ともつぐ
第十一章 宇野真帆
49/110

#49 カップラーメンはカップルで食べるラーメンのことではない

野球で9回表に2点を入れて2対3から4対3になり逆転したが、9回裏の攻撃で3点を返されて再び逆転を許してサヨナラ負けしてしまったという表2点裏3点の試合内容を、二転三転と呼んでいいものかと今は思っているが、僕の恋愛人生を二転三転と呼んでも別に誰も怒らないと思う。


宇野真帆さんとコンビニを目指して歩いているが、宇野真帆さんは動物に例えるとブタとかピッグという感じで、僕は動物のカラダの部位で例えると鶏ガラや豚骨という感じで、僕と宇野真帆さんが歩いているところを端から見たら、豚と豚骨が歩いているように見えるだろう。


僕はたぶん宇野真帆さんに可愛がられているのだろうけど、宇野真帆さんが飼い犬に手を噛まれるみたいなことはほぼ起きないと言ってもよくて、そんなことよりも、『飼い犬に手を噛まれる』と似たような諺で『買ったペンに手を突かれる』みたいな諺があるみたいだが、新しいペンを買ったら手が滑って変な感じになり手を突かれたことが実際に僕にはあった。


「コンビニのカップラーメンを買い漁りましょう」


「うん」


最近ラーメンをめっちゃ食ってる宇野真帆さんがここにはいて、最近の宇野真帆さんはやたらとラーメンを食ってるけど前からラーメン好きだったっけと思っている僕がここにはいて、二人のラーメンデートはこれで何回目?と思っている誰かが何処かにいる。


今日もラーメンデートをするという『二度あることは三度ある』という諺みたいな出来事が起こってしまったが、解答者自ら問題を読み上げるクイズ番組のクイズで馬鹿な解答者が『ことわざ』と読む【諺】という漢字を『ひこ』と読んでしまうことも二度あることは三度あるという感じだ。


パウンドケーキを食べた後にうがいをしたら、防犯用のカラーボールを犯人に投げた後のオレンジ色の破片みたいなものが口の中から出てきたのだが、よく見てみたら口の中からではなくて流し台の先客だったみたいなことがあり、今入ったコンビニでは店員さん多すぎないか?と思ってよく見たら店員さんではなくてコンビニの先客だった。


「久慈さん?何でコンビニの雑誌売り場が外から見えるところにあるか知っていますか?実は雑誌を立ち読みしているお客さんを外の人に見せて、誰かが店内にいるという安心感を与えるためみたいなんですよ」


「そうなんだ」


今僕の口からしっかりと言えることがあるが、それは『宇野真帆さんがいない世界は生姜の入っていない生姜焼きみたいなものだ』ということで、宇野真帆さんは生姜焼きの生姜と言い切ったら過言だがとにかく僕に欠かせない存在だということは間違いない。


「このままでは、コンビニが見えない場所はないみたいな時代も来るかもしれませんね」


「そうかな」


そんなのたぶん来なくて『ゴメン!それは絶対ないわ』とも思っていて、そのゴメンには優しさのゴメンと謝罪のゴメンが混在していることを忘れてほしくなくて、もしも優しさのゴメンと謝罪のゴメンに挟まれるという状況に僕が名前を付けるとしたら『ゴメンジレンマ』と名付けてしまうと思うが、『ゴメンジレンマ』という名前はなんか沖縄のバンドみたいな名前だ。


『ゴメン⇒ゴメンはもう言わないで⇒ゴメン』という『ゴメンループ』がドラマでは定番化しているが、『ラーメン⇒次は何食べたい?⇒ラーメン』という『ラーメンループ』が宇野真帆とのデートでは定番化している。


「麻婆麺と、豆乳ヌードルと、みたらし団子味のラーメンを買いましょうか?」


「うん」


感動する状況でただ目が痒くなってしまった時に普通に目を擦ってもいいのだろうかとか思ってしまうことがあるし、悲しい状況でただ目が痒くなってしまった時に普通に目を擦ってもいいのだろうかとか思ってしまうこともあるが、宇野真帆さんがカップラーメンしか見てないこの状況で、せっかくコンビニに来たから他のものを買いたいと言ってもいいのだろうかとか思ってしまった。


『ナレーターに慣れた?』というダジャレが、『コーディネートはこうでねえと!』のように世間に浸透していないのは、ナレーターのことをそこまで深く考えたことがないからか、このダジャレを使う機会が少ないからか、そこんところはよく分からないが、僕は最近宇野真帆さんに前以上にすんごく慣れてきたので、『久慈雅人は宇野真帆に慣れた』とナレーターにナレーションを入れてもらいたい。


『僕は今は正社員であってこれはフリーターのフリだ』というダジャレも浸透していないけれど、僕は今フリーターをしていて、フリーターのフリなんて出来ないので『フリーターのフリだ』何て言えない状況だが、今の僕は宇野真帆さんに『七度の飯より宇野真帆さんが好きです』と言えない状況にいる。


「私にとってカップラーメンを食べることは趣味の放物線上みたいなものなんです」


「そうか」


宇野真帆さんはコンビニエンスストアで、『コンビニエンス』って便利って意味ですよ!とか、コンビニっていいですよね!みたいな、誰でも知っている蘊蓄やら情報やらを垂れ流したり傾けたりすることなく、カップラーメンでパンパンの袋を両手に持ちコンビニをあとにした。


普通サイズのカップラーメン4つと、1.5倍のカップラーメンを一つ買っていたので、実質買ったのは5個半で、略した言い方をすると『5半』で、カップラーメンという『麺』を買ったにも関わらず、カップラーメンで『パンパン』の袋、『5半』のカップラーメンというように、『ごはん』と『パン』が紛れ込んでいてマジでヤバイと思った。


宇野真帆さんはこの大量のカップラーメンを一食で食べてしまうと思うが、僕が普通に買ったとしたら『長持ちさせる』ことが出来ると思っていて、最近の宇野真帆さんの体調が気になってしまっている僕に『ほっとけ君』と言ってくる人もいるだろうけど、『ポテッと』天国に行かないとも限らないので心配は常にしておく。


今しているのはカップラーメン話なのに、『長持ちさせる』という言葉の中に『モチ』がいて、『ほっとけ君』という言葉を濁して発音すると『ホットケーキ』になり、『ポテッと』という言葉の中に『ポテト』がいたということで深くお詫び申し上げたいと思っている。


宇野真帆さんのことが昔から今にかけて段々と好きになってきていることをここに宣言する。


コンビニで前の人がつけ麺を手に持って並んでいて、五月生まれの僕のその日のラッキーフードがつけ麺だったことから、もしかしたら前の人が五月生まれなのではないかみたいな考えが生まれてきたのだが、今はちょうど五月なので、その考えも五月生まれということになって、『宇野真帆さんのことが昔から今にかけて段々と好きになってきている宣言』も五月生まれということになる。

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