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青みがかった黄色いピンク  作者: 高嶋ともつぐ
第十章 家田純子
45/110

#45 何でもDVDで済ませるウーマンが喫茶に

水1リットルに塩5グラムを溶かした塩水を飲むのと、塩5グラムを舐めてから水1リットルを飲むのとどっちがカラダに悪いのかなんて医者と塩研究家くらいしか知らないと思うが、この世で一番カラダに悪いのはマンガ喫茶でくつろいでいる今の状況かもしれない。


鯉を輪切りにして煮込んだ味噌汁のような料理の『鯉こく』に濃いコクは付き物で、濃いコクがない鯉こくを出す店があったら『来いコック』と言いたいが、反対の意味で『来いコック』と言いたくなるほどマンガ喫茶で今食べている特製カレーが上手い。


家田純子ちゃんとギャルさんとのデート的なもので遂に初めてレンタルビデオ店と家以外で遊ぶこととなり、今はマンガ喫茶ではしゃいでいるが、昔、自動販売機で『あったか~い』と書いてある飲み物のボタンを押したのにつめた~いお飲みも~のが出てきたの~でどうなってる~のと思ったことがあって、それと同じくらい『どうなってる~の』と思ったのはマンガ喫茶はほぼレンタルビデオ店だからだ。


レンタルビデオ店には漫画とかもあるし、映画は両方で見られるし、マンガ喫茶もレンタルビデオ店もほぼ一緒だろうと思いながらマンガを物色していたが、近くにいた店員がエロマンガを見るような目で僕を見てきたので、見透かされているのではないかと思い、『レンタルビデオ店とマンガ喫茶ほぼ一緒説』と『自尊心』と『排泄物』をトイレに流した。


トイレから帰ってきて思ったのだが、ようやく違う場所で遊ぶことになったとはいってもマンガ喫茶は室内で、喫茶店とはいってもオープンテラスなんて無くて、僕は無意識にオープンカフェの妄想を必死に作り上げながらインターネットに興じた。


ギャルさんはというと『「振らないで下さい」と書いてあった缶コーヒーを振っちゃったんだ』みたいなバカで大バカで超絶バカでスーパーバカでハイパーバカでウルトラバカないつものような発言は一切しないでマンガを見ていた。


僕は今はバカだが、振らないで下さいと書いてある缶コーヒーを振ったことはなく、缶の炭酸飲料の口を開けてから振ってしまったことくらいしかないのでギャルさんよりはマシで、『親の親知らず子知らず』のような難しい言葉も理解できるほどなのだ。


ギャルさんの目の前に積まれたマンガの読破済の第一巻を『ドッキリはネタバラシ後のリアクションが醍醐味なのに短すぎるからノーカットにして欲しいし、ギャルさんが読むマンガは正統派であってほしい』と思いながらペラペラペラペラペッラペラと捲っていたが登場人物がほぼオジサンだった。


読破済という言葉を頭の中で噛み締めていたら、毒が内部に注入された『毒弾み』という名前の架空のスーパーボールの映像が頭に浮かんで来てしまい、ギャルさんが今読んでいる『登場人物がほぼオジサンのマンガ』が恋愛マンガでBLというジャンルであることなんかどうでもよくなった。


マンガの表紙にBLと書いてあったのでジャンルがBLだと分かったが、何の略かは知らなくてよく分からなくて、たぶん『ビール後のラーメン』の略だろうと思っていたが『ramenはR』で、パラパラ捲ったときに4、5回しかビールとラーメンが出てこなかったので違うだろうし、オジサンとオジサンの恋愛マンガに相応しくないから他の略だろう。


そんなことよりも映画好きの家田純子ちゃんはというと、デジャブしてほしいときにしてくれない僕の頭の中のデジャブのように思い描いた通りにならないことはなく、思い描いた通りにホラー映画を見ていた。


やっぱり映画を見ていた家田純子ちゃんは『青と赤』というホラー映画を見ていて、英語で『青と赤』は『blue&red』なのでこれもBLだろうと思ってニンヤリしていたが、これもLではなくRで、知ったかぶりとデジャブを一緒にしないでほしいと思っている僕なのに『LとRは一緒にしたい』と思いながら肩を落とした。


『喧嘩するほど仲がいい』と世の中で言われていて『喧嘩するほど』をローマ字に変換して『Kenka suru hodo』にすると“喧嘩するほどの中にE”があることに気が付いたが、その優越感で『青と赤』を『blue&red』と訳した時にBLだと気付いたのにLではなくRだったときのガッカリ感は拭えない。


ボトルに入った除菌スプレーの詰め替え用を買ったのはいいけど間違えて今使っているものと別のものを買ってしまい、どうしようと思っていたが、今使っている除菌スプレーの上の部分が、間違えて買った除菌スプレーの本体にピタッとはまって気持ちよかったことがあって、blue&redの件も最初はそのくらい気持ちよかったのにと思った。


でも、その『青と赤』という映画に出演している女優さんが幼顔で童顔だったので、その女優を【ベビーフェイスレディー】と呼んでも差し支えなくて、英語にすると【babyface lady】となるので今度こそBLで間違いないだろう。


コーンポタージュを一気飲みしようとコンポタをマグカップに注いできて、僕は具のないコンポタをちゃんと噛んで今、一気飲みしているが、親の教えを守る僕の真面目さは商品が貰えるクイズくらい分かりやすく、僕はパチンコ店に『CRカリフラワー』があったら絶対やるけど赤信号を手を挙げないで渡るとかそういうことは絶対にやらないタイプだ。


食事の時、一口につき30回噛んだ方がいいみたいに言われているが、口に入れるものの大きさや量などは決められていなくて、口に入れるものがこぶしくらいの大きさに固められたアタリメだったら大変なことになるなと考えていたら、アタリメと噂好きの真面目な友達の未来が心配になってきた。


みんな色々な作品に夢中でマンガ喫茶ではみんなあんまり喋っていなくて、僕は店員との方が多く喋っていて、そもそも家田純子ちゃんは最初から喋らないことも思い出せなくなっていた。


トイレに行くみたいで家田純子ちゃんは動き出し、僕は動き出した家田純子ちゃんと同じ道を通っていたが、家田純子ちゃんが誰かにぶつかり、ギリシャ文字の『【Γ】ガンマ』みたいになって謝っていたのを見たのはついさっきのことである。


『マンガ喫茶<マンガキッサ>』を逆さから読んだら『さっきガンマ』となって、さっきギリシャ文字の『【Γ】ガンマ』みたいに謝っていた家田純子ちゃんは『マンガ喫茶でさっきガンマ』という回文のようなことをやってのけていたことになり、家田純子ちゃんはマンガ喫茶と深い縁があるような気がしてきた。

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