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青みがかった黄色いピンク  作者: 高嶋ともつぐ
第十章 家田純子
41/110

#41 デーブイデーと呼ぶ知り合い多い

身長180cmの女性アイドルもいれば、身長150cmのバレーボール選手もいるし、家田純子ちゃんと見るDVD選びを『慎重にやり過ぎてセンチ』になりかけている僕もいる。


才色兼備の女性が1日3食芋けんぴだったら引くが、映画好きの女性が1日3食ポップコーンとコーラだったら引かないし、その人が恋人だったとしても身を引かない。


結局は昔の僕・山吹風雅主演のホラー映画『ほらあえいが』を借りることとなり、レジに持っていこうとしたが『自分の映画』『タイトルがダサい』『誰も借りた形跡がない』『店員が才色兼備の1日3食芋けんぴ女みたいな雰囲気』『会員証の色褪せが目立ち始めた』などの理由から『抵抗』が生まれている。


海外の言葉でいうと『抵抗』は『レジスタンス』な訳で、お会計をする『レジ』は略さないで言うと『レジスター』な訳で、今僕は『レジスター前でレジスタンス誕生』という嬉しくない言葉の相似の中心にいる。


「僕の家がいい?それとも家田純子ちゃんの家?」


「はい」


「スミちゃんはオジサンの家にも行きたいみたいよ!でも普段DVDを見てる自宅の方が落ち着くって!ちなみにスミちゃんの家は立派で広いみたいだから楽しみにしててほしいってよ!」


「じゃあ、家田純子ちゃんの家にしようか」


DVDを借りる決心をして列に並んでいる僕たちの今の状況は『レジスター前』『レジスタンス消滅』『レジデンスの話』という“トリプルレジ”によって構成されていてまあまあの幸福度で、脱出ゲームという脱出目的のゲームなのに入場さえも出来ずにいる何処かの誰かとは違う。


通訳兼ギャル兼家田純子ちゃんの親友のギャルさんとしか喋っていない気もするが「いい?」「はい」も歴とした会話なので「はい」しか言わなくても会話は成立していて、日々研究に勤しんでいる『調子がいい髪の分け目』は存在しなくても、『二文字しか発さない友達』は存在できるのだ。


『トリプルレジ』という言葉を僕がこの世に誕生させたせいか『お会計をする方のレジ』がその言葉に『抵抗という意味のレジ』を感じてしまい『お会計をする方のレジ』が壊れてしまうという『トラブルレジ』という現象が発生してしまい『後日故障原因レジュメ希望』という四つ目の『レジ』が生まれてきた。


僕を題材にした映画が作られるとして、その映画をジャンル分けするとしたらサイコパスに分類されるだろうけど、全レジが故障した時に前に並んでいる人が僕に謝ってきて、なぜ謝る必要がないのにサイコパスが似合う僕に謝ったのだろうかと思ってしまったよバカヤロウ。


知っている人に謝られるのなら1パーセントぐらい理解できるのだが、誰かも分からない人に謝られるのは理解できなくて、もしかして知っている人かもしれないと思って考えてみたが『ダレジャ?』という五つ目の『レジ』が生まれただけだった。


レジは故障したものの何とかすぐ復活して何とかDVDを借りることが出来たが、レジの故障で待たされるのは仕方ないし、おっぱい番組を見た後に濁流の川沿いを友達と歩いていて「濁流だね」と聞かれた時に爆乳が頭に浮かぶのは仕方ないことだ。


スマホの電池の消耗が月曜日だけ激しいという謎の解明が出来たとしたなら効果的な惚れ薬を作ることなんて簡単であるが、電池消耗の謎が解明出来たら、僕への好き好き感が感じられない家田純子ちゃんが僕に本当に惚れているのかを確認できる薬も作ることは簡単だろうと思いながらレンタルビデオ店から脱出した。


家田純子ちゃんの家だというのに親友のギャルさんの方が先頭に立って案内をし、家田純子ちゃんは僕の後ろを付いてくるという『うらやましい』を『うやらましい』と読むみたいな感じの現象が起きていた。


肥満の人はマヨネーズかけご飯が大好きだということと、痩せている人は体脂肪率が低いということは偏見なのだが、邸宅の住人がかならず自宅を自分で案内するというのも偏見だ。


数分歩くとかなり大きな家が見えてきて、頭の中から色んなものが消えるくらい驚いていて、さっき『痩せている人は体脂肪がマヨネーズ』みたいなことを思っていた気もするが、考えが24時間運動した後のデブの体脂肪みたいに減っていてよく分からない。


「どうぞ」


「お邪魔します」


「はい」


この場合、もちろん「どうぞ」が親友のギャルさんで、「お邪魔します」が僕で、「はい」が家田純子ちゃんであるが、僕がもし「お」を付けずに「邪魔します」と言ってしまっていたのなら「妨害します」という意味で解釈されていたと思うので危なかった。


人生で一番長くて一番量が多いと言っていいくらい僕の髪の毛は伸びていて、「多さが半端ないって!暑さ半端ないって!後ろ髪のところがメッチャボワッてなってるもん。そんなんならへんやん普通」みたいに思っていたことがバカらしくなるくらいの家の広さと豪華さだった。


『豪華さ』っていう言葉を使ってから『豪華さ』っていう言葉に似た発音の『恒河沙(ごうがしゃ)』という数の単位がずっと頭にあって、この家の広さは1恒河沙の米粒を床に敷き詰めたとしても床が見えるほどではないかと予想しているが、1恒河沙が何那由多になるかも分からないのに使ってしまってすみません。


大金持ちがDVDをセルではなくレンタルするのは普通だし、寒いのに薄着で外に来てしまった時に『ポテトチップスを食べ進めていって残り僅かになりあと3枚食べたい気分で袋の中を覗いてみると残りが2枚しかなかった時くらい「あと一枚欲しい」』と思うと思うのが普通だが、家にプロジェクターみたいなヤツと白い幕みたいなヤツがあるのはヤバいヤツだ。


「二人は何してる人?」


「私は高校教師をやってる!この見た目でホントに教師って思ったでしょ?ホントなの。スミちゃんの方が創業80年の和菓子屋の娘で今は修行中ね。それで教師ってさ」


ギャルさんの職業である『高校教師』という言葉は『こ』が2つと『う』が1つあるという意味で“カ行が結構続いている”のだが、家田純子ちゃんは創業80年の和菓子屋の娘という意味で“家業が結構続いている”訳で『かぎょうがけっこうつづいている二人』という結論に至った。


家田純子ちゃんの部屋にある冷蔵庫からギャルさんが勝手にコーラを取り出して飲もうとしていたり、引き出しを漁って「明後日の朝って何かあったっけ?」みたいな顔をしてギャルさんが勝手にポップコーンを取り出したりしていた。


美女っていう大きな括りで括られたくないみたいなことを言う女性や、美女っていう簡単な漢字二文字で片付けられたくないみたいなことを言う女性もいるが、女性みんなが女性という括りで括られていることを忘れてはならないし、ここがギャルさんの家ではないことを忘れてはならない。

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