表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青みがかった黄色いピンク  作者: 高嶋ともつぐ
第六章 飯田啓子
18/110

#18 紹介した責任を全部背負うかい

瓶ビール15本を短時間で全部飲んで思い切り酔っ払ってしまいたいほど元彼女のことを引きずっていないが最近はズボンの裾と風邪を引きずっている。


コンピュータネットワークを使って郵便のように情報などを交換する手段の『メール』を元同僚の宇野真帆さんとよくするが最近の僕は何があっても『滅入る』ことはない。


病院に行った夜に宇野真帆さんにメールで『風邪だった』と送ったら『「カゼだった」という事実が「ガセだった」に変わればいいですね』と返ってきて少しだけ笑顔になったことがあった。


宇野真帆さんは『スキー場でカッコウの格好で滑降している人』くらい素敵な人で『電球が切れた時の巨人』くらい頼りになる人なので僕は宇野真帆さんにこうメールをした。


『真帆さんはとても頼りになる人だと思っています。付き合ってください、僕の恋人探しに』


『鳥』と『烏』と『島』の区別はつかないけど宇野真帆さんに力を借りて恋人を作ろうとしていることが悪いことか良いことかの区別はつく。


もちろん魔法使いの僕が『真帆を使い』恋人を作ることは良いことだ。


『私が友達を紹介してあげますよ』というメールが携帯電話の充電器が3ヶ月しかもたないことで有名な宇野真帆さんから返ってきたので喜んだ。


そして『宇野真帆さんの親友で仲良しで仲間でフレンドで友達で友人の女性』に会うことになった。


ちなみに僕が魔法使いだということと顔を魔法で変えたことと今まで簡単にめくれていた新聞や雑誌がめくりづらくなってしまったことは宇野真帆さんだけにメールで報告済である。


スマートフォンで『ハリセンボンの針が本当に千本あるのか確かめてみた』という動画を見ながら焼肉屋で待っていると宇野真帆さんと友達が来た。


「初めまして飯田啓子です」


「どうも久慈雅人です」


何もしていないのにパーカーのペットボトルキャップくらいの大きさの第三ボタンが突然取れて勢いよく飛んでいったことがあったがそのボタンの飛び方くらい飯田啓子ちゃんは元気がよかった。


座敷に上がる時に飯田啓子ちゃんは『僕が今月読んだ本を全部平積みしたくらいの高さの段差』につまずいて転んでいたが、ただのドジアピールだとしか考えられなかった。


サッカーの授業の時にサッカー部の友達からボールを奪おうとして近づいたら触れていないのに倒れ込んで痛そうにしていたことがあったがそのサッカー部の友達くらい飯田啓子ちゃんの転び方はわざとらしかったのだ。


100キロくらいある宇野真帆さんは足が象のように太くて重いから足を上手く上げられないと思うのでつまずくのも仕方がないことだが飯田啓子ちゃんがつまずくのはおかしい。


「目が悪いのにメガネを忘れてきてしまったのと長時間立ちっぱなしで足が疲れていたのと睡眠不足のせいで転んだだけですからね」


ドジアピールではなくて『マジ転び』だったことが判明したが飯田啓子ちゃんが何にでも言い訳をする『言い訳女』だったことも判明した。


「久慈さんカッコいいですね」


「啓子さんはとても可愛いよ」


飯田啓子ちゃんの年齢と体の細さは宇野真帆さんの半分だが飯田啓子ちゃんの美しさは宇野真帆さんの1000倍はある。


飯田啓子ちゃんは息を呑むくらいの美女で背筋が凍りつくような美女で身の毛がよだつほどの美女なのだ。


「二人ともよく知っているけど二人はとてもお似合いだと思いますよ。トンカツとキャベツくらい相性がいいでしょうね」


もしテレビのリモコンを向けて『電源オフ』と言いながら電源ボタンを押したら動きと喋りを止めてくれそうなほど宇野真帆さんは優しい人だ。


「久慈さんの趣味は何ですか?」


「レアな硬貨を集めることだね」


「啓ちゃん、食べたいものが決まらないなら私が適当に頼んじゃうわよ」


父は小さい頃から剣道をやっている『剣道二段』で僕はギザギザ10円玉集めを極めた『収集九段』だが飯田啓子ちゃんは『優柔不断』だった。


「焼肉屋ってお餅無いんですね。私は焼いたお餅が世界一好きなんですよ」


飯田啓子ちゃんがそう言っていたが飯田啓子ちゃんをこの短時間で大好きになった僕は『焼き餅に焼きもちを焼く』という馬鹿なことをしてしまった。


飯田啓子ちゃんはトイレに行ったが飯田啓子ちゃんと引き替えに骨付きカルビと塩味付きタンと病みつきサラダとニヤつき店員がやってきた。


僕たちは肉を網にのせて『ニヤつき店員の悪口』ではなくて今いない飯田啓子ちゃんの話を話し始めた。


「啓ちゃん可愛いでしょ?」


「すごく可愛くて素敵な方だね」


飯田啓子ちゃんはIQが高そうで『可愛い』と思うし飯田啓子ちゃんが今日持ってきたバッグは値段が高そうで『革良い』と思う。


「啓ちゃんは何にでも言い訳してくるけどいい人だからね」


「いい人なのは分かってるよ」


恋慕の情が燃え盛って話に夢中で網の上の肉も燃え盛った頃にトイレから飯田啓子ちゃんが帰ってきた。


焦げた部分を食べるとガンになると言われているが毎日1トンの焦げを食べ続けない限りガンにならないので僕は焦げた肉をたくさん食べた。


今食べた肉を例えるなら、まるで肉が焦げたような見た目で、まるで肉が焦げたようなニオイで、まるで肉が焦げたような音で、まるで肉が焦げたような味がした。


飯田啓子ちゃんに大量の焼肉のタレをこぼされたが『焼肉のタレ色』のジーパンと『焼肉のタレをこぼしたように見えるプリントの入ったTシャツ』を着ていたので被害はあまりなかった。


「『目が悪くて睡眠不足だったからこぼした』という言い訳はしません。ただ『焼肉のタレかけてくれオーラ』が久慈さんから出ていたのがいけないんですよ」


人間は80歳まで生きたとしたら27年間も寝ていると聞いたが27年間というのは僕の想像を越えていて飯田啓子ちゃんの今の言い訳も僕の想像を越えていた。


「しゃぶるのやめてください」


『瞳を閉じる』という表現に「瞳を閉じるのは不可能だから日本語として変なのではないか」と言う人がいるが、ちゃんとした比喩を使った正しい日本語なので変ではないし骨付きカルビの骨を長時間しゃぶっている僕も口全体を使った正しいしゃぶり方なので変ではないのだ。


もし変だとしても、日本では普通の『麺をすする行為』が海外ではマナー違反であるのとは逆で日本ではマナー違反の僕の『長時間骨しゃぶり』が海外では普通ということも有り得るので気にしない。


「愛のキューピットだし一番年上なので私が払います」


「ごちそうさまです」


「ごちそうさま」


僕は二酸化炭素濃度の濃い息を吐く方の『濃く吐く』ではなくて好きという思いを打ち明ける方の『告白』を飯田啓子ちゃんにすることを決めた。


でも今すぐ告白するのは串に刺さっているいもフライや焼きまんじゅうを最後までタテで食べることくらい危険なのでまだしない。


「他の二名様は『美女割引』と『イケメン割引』で合計1000円引かれますがあなたは『デブ&ブス割り増し』で1000円足されるので一万円になります」


「なによそれ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ