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青みがかった黄色いピンク  作者: 高嶋ともつぐ
第五章 河合和香
14/110

#14 ナンパの成功率は何パーセントだろう

『所持金500円のタロウ君は駄菓子屋で100円分の駄菓子を自分に買って350円分の駄菓子を友達のハナコちゃんに買ってあげました。果たしてタロウ君の恋は叶うのでしょうか?』という算数の問題くらい恋愛は難しい。


僕は優しすぎるという理由でフラれたが肌に優しすぎる洗剤を嫌いな人はいないのに女性に優しすぎる男性は嫌いな人がいるのはおかしい。


女性の好きなタイプはハッシュドビーフ味のハヤシライスとハヤシライス味のビーフストロガノフとビーフストロガノフ味のハッシュドビーフのどれが食べたいかと一緒で人それぞれなのだ。


だから優しすぎるのを魔法で直さずに僕のインフェリオリティーコンプレックスである手の短い小指だけを魔法で直すことにした。


サッカーの応援で力み過ぎて持っていた卵を握り潰してしまい無駄になったことがあったが小指を魔法で長くすることは無駄ではない。


いつもは寝ている真昼に一睡もせずに女性と知り合う方法を考えていたのだがナンパが一番だという結論に1分でたどり着いた。


ナンパといっても魚醤を使ったタイ料理を食べるだけの集まり『ナンプラーパーティー』の略ではない。


そして『カレーうどんを食べる時にはカレー色の服を着なさい』という意味のナンパでもなくて『街で異性に声をかけて遊びに誘う』という意味のナンパである。


『暴風雨などで船が破損し航行できなくなる「難破」』と一緒でナンパは今まで一度もしたことがない。


でも僕は『大蒜』という漢字が読めなくて悩んでいた女性たちに『にんにく』という正解を教えてあげてモテたことがある人間なので大丈夫だろう。


僕は学生の頃に『帰宅部』だったことがあり帰宅の知識に関しては誰にも負けないと思っているので駅前で会社から帰宅中の女性を狙うことにした。


『豆腐、油揚げ、納豆、おから、枝豆、もやし、醤油、豆乳の入った味噌汁』と『僕みたいなイケメンで長身でお金持ちの男性』は嫌いな人がいないのでナンパは成功する自信がある。


今は駅前に来て人を眺めているが微笑を浮かべた美少年の『微笑美少年』や不細工な女性の『ブ女』は現れたが美女は全然現れなかった。


だが開始からだいたい5分58秒くらいが経った時にすごく綺麗な女性が写っている広告が張ってある前をすごく綺麗な僕のドストライクの女性が通った。


でも僕は『Tシャツのことをテーシャツと言う人』と『女性と話すこと』が苦手なのでその女性に話しかけられなくてその後も好みの女性2人を逃してしまった。


話しかける勇気はないけど「お茶しよう?」と言う気はないわけではない。


ドストライクを三回も逃すなんて野球選手だったらファンにスタンドから怒鳴られたりメガホンを投げられてしまう程の失態である。


木材を頭に瞬間接着剤でつけると一瞬で頭から離れなくなるが僕の前をたった今通った個性的な美しさがある女性の顔も一瞬で頭から離れなくなったので話しかけた。


「今、時間ある?」


「急いでいるのでごめんなさい」


『タロウ君は駄菓子屋に来ましたが浪費癖のせいでお金が12円しかないので親友のハナコちゃんに1000円を借りました。ハナコちゃんはタロウ君のことを嫌いになったでしょうか?』という算数の問題を解くことくらいナンパは容易ではない。


『失敗は成功のもと』ということわざや『ジッパーは精巧な物』ということわざがあるように一度や二度の失敗で挫けるべきではないので諦めずにまたトライしようと思う。


100年に70億人の美女が前を通ったので僕はもちろん話しかけた。


「可愛いね」


「河合だねって言いましたけど何で私の名前知っているんですか?」


『可愛いね』が『河合だね』に聞こえるなんて100歳の老人と0歳の赤ちゃんが出てきて100歳の老人はどちらですか?と聞かれた時に0歳の赤ちゃんを選んでしまうくらい有り得ない。


『五回』まばたきをする時間くらいで『誤解』を解いて『碁会』ではなくてお茶に誘った。


「お茶しようよ」


「いいですよ」


そして上から読んでも下から読んでも同じになる名前の河合和香ちゃんと僕は喫茶店に行った。


横書きで書いた場合だと右から読んでも左から読んでも同じになる名前の河合和香ちゃんと僕は喫茶店の席で喋り始めた。


「仕事は何してるの?」


「システムアドミニストレータです」


『タロウ君はハナコちゃんとユウスケ君が二人で駄菓子屋にいるところを見てしまいました。タロウ君が流した涙は何ミリリットルでしょう?』という算数の問題の答えは全然分からないがシステムアドミニストレータがどんな職業なのかも全然分からない。


僕はシステムアドミニストレータのピの字も知らないのだ。


僕がもし競走馬の馬主になったとしたら『システムアドミニストレータ』と名付けたいくらい頭に残っているが競走馬の名前は9文字以内と決まっているので短くして『シスアド』か『ストレータ』と名付けたい。


「どこ出身なの?」


「私は入間の人間です」


声に出しただけでは分からないが漢字で書いてみると『入間』と『人間』はそっくりなことに気付いたがこれは偶然だろうか。


「暑いですね」


そう言って河合和香ちゃんがアウターを脱ごうとしたがボタン100個とファスナー20個を外さないと脱げないアウターではないのにかなり時間がかかった。


脱ぐのに時間がかかってアウターが怒ってしまったかのように脱いだアウターの袖がティーカップに当たって中の紅茶がこぼれてしまった。


来る途中に貰った広告入りのティッシュを使ってこぼれた紅茶を拭いたが僕の大好きな『まんじゅう』も広告の焼き印入りで配ってほしいものだ。


「和香ちゃんは彼氏とかいないよね?」


「それ私に言ってますか」


二人きりで話していて『和香ちゃん』という名前まで言っているのに「それ私に言ってますか」と聞いてくるということは『馬鹿』なのか『頭がおかしい』のか『頭の働きがにぶい』のかのどれかだと思う。


でも写真を撮る時は『はいチーズ』と言わないのに、いつも持ち歩いている明太子味のチーズを僕にくれるときには毎回笑顔で『はいチーズ』と言ってくる友達くらい河合和香ちゃんは可愛いので馬鹿でもいい。


『出会ってから少ししか経っていないけど付き合いたいから告白をするぞ』という32文字がパンケーキを食べている最中も頭の中にあぐらをかいて居座っていた。


『タロウ君が乗っている電車にはタロウ君をいれて全部で10人が乗っています。タロウ君は恋人のハナコちゃんと一緒に次の駅で電車を降りました。電車には今、何人が乗っているでしょう?』という算数の問題を解くことと一緒で僕が誰かに惚れるのも簡単である。

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