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青みがかった黄色いピンク  作者: 高嶋ともつぐ
最終章 久慈雅人
100/110

#100 リンゴをぶっ刺す方のようじ体型

遊園地という言葉の意味を考えながら、遊ぶということに重きを置いて、天真爛漫風に、園内の土地を楽しみまくってきたら、とてつもない空腹の中の空腹が襲ってきたから、『外国の文字に、日本の漢字みたく、読み方の見当も付かないものなんて、絶対に無いだろう』と思いながら、遊園地のレストランへ向かった。


お腹もすけば喉も乾く、ということで、アイスコーヒーとかいうお腹を下す天才や、ミルクとかいうギュルギュル音を出す天才は頼まずに、あえて、なんとも言えない酸っぱさを舌に張り付かせる天才であるオレンジジュースを頼んだ。


頼んだオレンジジュースは、オレンジ色をしてなくて、オレンジ色か黄色か、どっちかなと聞かれたらそれは黄色で、正式にこのジュースの名前を定めるとしたら、果物のオレンジを使ったイエロージュースでいいだろう。


細いストローを本体に装備して、黄色を吸い上げ始めて、【豆乳ラテと聞いて、豆乳オレのように豆乳と牛乳を混ぜたものだと思っていたが、豆乳とコーヒーを混ぜたものっぽくて、今さら勘違いしていたことに気がついた】とか、【オレンジジュースって『ジ』という文字が二つ連続で使われているんだな】とか色々思いながら、飲み物にストローで息を送りブクブクさせていた。


一番この遊園地で楽しんで遊んでしまったのは、飲み物ブクブクかもしれない、と気が付いた辺りで急にアップルパイが食べたくなってきて、スーパームーンの時にスパムおにぎりが食べたくなるのは、スーパームーンとスパムの発音が似ているからなのかも、よく分かっていないのに、いま何でアップルパイが食べたいのかなんて分かるはずもない。


レストランで思い出したことがあって、それは【御天道様の下の伝統がありそうなレストランの店頭で電灯が点灯している】にも関わらず、今まで出てきた五つの言葉とほとんど同じ読み方をする同類の言葉の『転倒』をしなかったのは、転倒条件が整っているこの場では不思議なことだなと感じたこともあったなというような内容のものだ。


索引や目次にあるページ数が、100を越える場合は、その三桁を視覚情報として脳に落とし込んでから探さないと、スムーズに探すことが出来ない僕なので、ページ数がたくさんあるものもあまり得意ではなくて、レストランのメニューもペラッペラでいて欲しいのだが、今はアップルパイのことだけを考えたいので、別にどうでもいい。


若者に確認したわけでも、全国民の統計を取ったわけでも、アップルパイ本人に聞いたわけでもなくて、最近はサバサバした女優さんが多い気がするという僕の見解の賛否も別れるなかで、僕は思うことがあるのだが、アップルパイのように半濁音、破裂音が入っている食べ物が女子高生とかには受ける傾向がある気がする。


レストランでメニューがなかなか決められないから、メニュー側から逆指名してほしいと言っていたのは知り合いの『小丸』くんで、「。」は文の終わりにつける符号の句点で、僕がそれを呼ぶ時の名前は『小丸』だが、個人情報を聞こうとする僕にある女性が『困る』みたいな表情を浮かべていたこともあったのを、なんか思い出してる僕がいる。


アップルパイを頼んで口に入れて噛んで飲み込んで、一通り身体がアップルパイに浸食したとき、なぜだか急にリンゴ型の丸くてカタチのいいオッパイ【アップルパイ】が脳内を占領し始めた。


最近はドラマを大量に見ているせいか、連続ドラマの最終回が終わっても全然、ドラマが終了した意識が芽生えず、終わったか終わってないかが曖昧になってしまっているが、最近アップルパイを食べてなかったせいか、さっき食べたのが、アップルパイかアップルパイじゃないのかが曖昧になってしまっていた。


温もりを全部、と聞いたら普通は優しい気持ちになると思うが、抜く森を全部、というような映像が頭に流れてしまい、重機が頭のなかで暴れまわってしまっていた昔の僕では考えられなかったが、動物でいうとオスのようなメスの店員さんに僕はオススメメニューを聞いていた。


オススメメニューはカレーライスで、カレーライスは好きだけど、カレーライスの気分ではなかったし、もしも今座っている椅子が【カ・レーラ】さんという人がデザインした椅子だったら、【カ・レーラ椅子】に座りながらカレーライスを食べることになるのですぐやめた。


オススメメニューという言葉は『ス』が二回連続で出てきたなと思うと、その直後に『メ』が二回連続で出てきて、もうヤバいくらいにカッコイイと思っていたが、かなり言いづらさもあって、ナンヤカンヤで何も聞かない方が良かったなという結論に至った。


アップルパイが載っているメニュー表の、アップルパイという文字の特に【プ】と【パ】というカタカナを重点的に眺めていたせいか、アップルパイの【プ】がエビ反りジャンプをしている人にしか見えなくなってしまい、エビが食べたくなったり、エビ反りが無性にしたくなったりしていた。


ここでエビ反りしながら【エビ食べたい!】と叫んだら、非難轟轟なことくらい分かっていて、非難轟轟という言葉を使ったときに、僕は『轟轟』という漢字みたいに2台の大きい高級車と、4台の超高級車を置いてある二階建てのスペースを所有していたこともあったよなと思ったりもした。


“嫌われないための検索も人前でやり過ぎると逆に嫌われる”という広告を、検索画面や高速道路から見える巨大看板や、新聞の見開きで載せたいとは少し思ったりもしたなと、スマホをいじりながら考えていた、ある遊園地のある日の僕だった。


時計の一番美しい針の配置は10時10分だということが分かっていながら、その時刻に当てはまらなくもない時刻に、スマホを持たずにホームセンターにある時計売り場に来てしまったから、嘘の時刻か本当の時刻か判断することが出来なくて、その時は真の時刻が知りたくて知りたくてもどかしくなったのだけれど、今は10時10分をとっくに過ぎているし、時計売り場もないから、スマホの充電は僅かだが何とかなりそうだ。


僕と同じ名前の息子を呼んでいるような、どこかのママの声が聞こえて、『母親に公共の場で、しかも大人になってから下の名前で呼ばれて、中学生の時に友達と原宿に遊びに行ったときに、僕がその友達のことを【名字+くん】で何度も何度も呼んでしまい、田舎っぽく思われるからやめてと嫌がられたことを思い出して、友達の気持ちが分かった気がしたこともあった』と思いながら黄色い液体を飲み干した。

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