後日談1 妹との朝
今日も、きれいな雨が降り続いているリーボック村です。
村はずれの僕たちの家の周りに、小さなため池が出来てから、3シーズンが過ぎました。
今年は僕は12歳になったんですが、あいかわらず、お父さんはこの冬の時期は単身赴任で、僕はお母さんと暮らしています。
でも、2年前に妹が生まれたので、ここでの暮らしは3人でなんだけど…
珍しく今日はお母さんが居ません。
だから、1歳になった妹とお留守番です。
「にーちゃ」
妹が起きたみたい。
お腹すいたのかなぁ。
「のぞみ。おはよう」
僕の妹は、獣人の血が濃いみたいで、普通に意思の疎通が出来てしまいます。
同じ時期に生まれた他のお家の子供たちは、まだおむつも取れていないけど…
のぞみは、既にちゃんとおトイレが言えるようになったのです。
まだ、手伝ってあげる必要はあるんですけどね。
「はよぉ。にーちゃ。しっこいく」
ちょうどおトイレに行きたいようです。
身体の大きさも3歳児位あるので、普通のトイレにも行けるんですが、落ちると大変なので一緒に行くんです。
こないだまでは、おまるだったんですが、ここ最近では僕の真似をしたがって、普通のトイレがお気に入りなんですよね。
小さくても女の子という事なんでしょう。
「わかったよ。一緒に行こうな」
トイレの扉をあけて、いつもの様に下着を脱がせて、落ちないように一応脇を抱えてあげます。
「にーちゃ、すんだ」
きれいにして、下着を履かせてやります。
最期は、水を流しておしまい。
そう、このトイレは水洗なんですよ。
潤沢に降る雨をためて、流せるようにしてみました。
おかげで、清潔な生活がおくれています。
「うん、今日も上手にできたね。えらいぞー」
え?
流した先?
聞きたい?
この世界には、浄化槽や下水処理施設なんて無いんだよね。
それでも聞きたいですか?
まぁ、何のことは無い肥料用に溜めてあるだけなんですけどね。
直接的な表現は避けておきましょうか。
「にーちゃ、だっこ」
妹が引っ付きたいと言っているので、抱っこしてトイレから出ます。
今は別に大丈夫だけど、この子がもう少し大きくなると、この扉からは出られなくなってしまいそうですねえ。
まぁ、そんな時期まで一緒におトイレに付き合う事もないでしょうけど。
「さて、今日はお母さんのところに遊びに行こうか?もうすぐ、のぞみの弟か妹に会えるはずだからね」
「んー。かぁちゃにあいたい」
抱き上げた妹が、僕を見上げながら言います。
「そうだね。お母さんもきっとのぞみに会いたい頃だと思うよ。ご飯を食べたら出かけようね」
「んー。にいちゃもだいすき」
ぎゅっと抱きついてくる妹を抱き寄せながら、結構幸せだなぁと思ったのでした。
あぁ、因みに、妹は3日後に2人に増えました。
名前はひかり、今後は親子4人での暮らしが始まることになります。
……なんとなくですが、お母さんとお父さんは、僕が妹や弟の世話が出来るようになるのを待っていたのかもしれません。
まぁ、のぞみもひかりも可愛いから別に不満は無いんだけど…
特にお父さん、将来的にのぞみやひかりに、知らないおじさん扱いされても知らないからね。