(7)
「さっき断られたのに何で…?」
真希奈は混乱しながら言う。
「申し出を受けると言ったが、
そもそも俺たちの今回の任務の対象者は
本城真希奈、女、
A型、xx高校1年、家族構成は3人という
人間だった。
詳しい書類は仲間が持っているが…
これらの情報と今目の前にいるお前は
完全に一致している。」
キューピッドは真希奈にスラスラと語る。
…がその真希奈は驚きを隠せない。
その様子を見たキューピッドは真希奈の目線まで
屈み目を合わせ、大きな手で真希奈の頭に
触れながらこう続ける。
「俺がお前の恋愛を変えてやる。
必ず幸せな恋へと導いてみせる。」
その言葉遣いは単に上から目線の物言いなのか
はたまた自信の表れなのか。
真希奈は驚いたものの笑顔を見せ、返事をする。
「ありがとう、よろしくお願いします。」
◇◇◇
「ところで1つ訂正しておくが…
俺はキューピッドという存在ではあるが
それは名前ではない。俺の名はアラトだ。」
アラトは真希奈にそう告げた。
「そっか、じゃあこれからはアラトって呼ぶね!」
真希奈はキューピッドにも名前があるのか、と
感心した。
「情報と一致したことが分かったから、
俺もこれからは"お前"ではなく"真希奈"と
呼ばせてもらう。」
アラトは照れているのか珍しく小声で
ボソボソと言った。
真希奈は自分の恋愛を変えてくれると
言ってくれたキューピッドのアラトに
わずかながらも親近感を覚えた。