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Jyukai  作者: 枕木きのこ
7/21

7

 そうしている間に夜が更けた。

 夜気が身体を冷やし、誰もが身を抱えた。

「確かにこのままなら縄は要らないな」

 皮肉を漏らしたのが誰なのかすら判然としない。何一つとして、正確な輪郭を保ち続けているものは無かった。言葉を返す気力は無いのに、義務的に足は動き続ける。

 次第に負の感情が、右にも、左にも潜んでいる気がして、私は最後尾を任されているこの状況が嫌になる。

「おい」

 怒声かと思うほどの低い声が落とされる。

「あ!」

 続いたのは、感嘆だろうか。

「小屋がある」それが一番遠くから聞こえてきたことだけはわかった。「今夜はあそこで夜を明かそう。このままじゃ、みんなくたびれて死んじまう」

 我々はとりあえずの目的地を見つけ、疲弊感を伴う安堵の息を漏らした。

 今この瞬間に死ぬことは無くなった。


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