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「嘘を吐くな!」
一方で、野間口の憤慨も尤もだ。今更、手のひらを返したようにどんな言葉を言ったところで、それは胡散臭いにもほどがある。
しかし加美西は依然、余裕そうな顔をしている。
「嘘かどうかは重要じゃない。信じるか信じないかでしかないんだ。野間口、お前はもう俺を信じられない。野間口は、そういう男だったか? もっと純粋無垢で、俺に従う、良い男だと思っていたがな。本当にお前は、野間口なのか?」
傍聴していた泊と桜庭の視線は、加美西から、野間口へ注ぐ対象を違えた。変な話、形勢がまるきり逆転したと言って良い。野間口に、無条件な後ろ盾は存在しなくなった。
「加美西」桜庭がおずおずと声を漏らす。「それが真実かどうかは、お前の言うとおり、一回度外視する。ただ、お前は何か、知っていることがあるんじゃないのか? 知っていて、俺らに隠していることが」
「どういうことですか?」すっかり掴みあいの喧嘩の熱を冷ましているのが、却ってお互いに興味が薄いことを示す。「何かって、何を?」
「さっきから、変わるとか、成り代わるとか、そういう話ばかりしている。四隅の話が交霊術じゃないかって知っていたり、怪談話ばかりしたり……。お前本当は、何か知っているんじゃないのか? この樹海や、小屋にまつわる怪談を」




