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ひとまず、泊と桜庭を引き剥がすと、それぞれを落ちていたロープで固く拘束する。加美西はそのままにしておいたが、野間口からの追及が始まった。
「お前、本当はこうなることを目的としていたんじゃないのか」
「こうなること?」
「俺らが迷って、ひとところに居ることを余儀なくされた状況で、錯乱して、こうして諍いが起こることだよ」
「そうなって、一体何の利益があると言うんだ」
「お望みどおり、死体が見れる」
野間口の落としたのは、たった一滴に違いなかったが、それでも、それはぐわんぐわんと揺れながら波及していく。
加美西に返答は無かった。真を突かれて驚いたのか、偽の馬鹿馬鹿しさに呆れているのか、判断のつきかねる表情だった。
「俺が桜庭さんを殺してたかもってこと?」怒りの面をかなぐり捨てた泊は、きょとんとして声を漏らした。「そんな馬鹿な」
「逆かも知れん」こちらも冷静さを取り戻した桜庭が、返事をする。「俺がお前を殺していたかもしれない」
「どうなんだ加美西。先頭を歩いていたお前なら、そうやって俺たちをこの小屋に導くことも、ちょっとしたきっかけを持ち出すことも、出来たんじゃないのか」




