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若輩泊の恋愛遍歴や、桜庭の犯罪すれすれの撮影記録、加美西の語る怪談話に、野間口の会社への不平。世の中を生きるだけで、精神は嫌悪を生み、憎悪を育てる。幽霊の話をしているとそれが集まる、という話ではないが、私の口からはこういったネガティブな向きのものは放さなかった。言葉に形があれば、彼らのものは酷く醜悪に違いない。
雨雲のせいで、空を見ても朝が来たと確信できるほどの明るさは、部屋に降りてこない。ザアザアと振り続ける雨の中、時間の感覚も薄れていく自覚がある。状況が転がらないのだから、仕方がない。
そうして、ひとつには無為に時間を消費しているうちに、空腹感が三度訪れる。桜庭の持ち出した菓子パンはすでに全てが空いていた。誰もが、夜を越えれば帰れるのだと信じていた結果だ。私も、そう思っていたのだから、責められる道理は無い。
このままでは、帰ることはおろか、小屋を出ることも難しそうに思えた。壁面の隙間から雨水が染み込んでくると、まるで何かになめずられているような不快感と、恐怖が身に起きて、寒さも相まって身体が震える。
いつ。あと何時間後に、私たちは帰ることが出来るのだろうか。




