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小屋には小窓がいくつかあった。換気口の扱いなのだろう。今はぴたりと閉じられており、そこから重厚な闇夜が入り込んでいる。
それを見上げていたら、
「雨だ」
同じように視線を向けていた野間口が、小さく呟いた。
「最悪だな」
「傘持ってないですもんね」
泊の言葉に、
「そうじゃないよ」加美西は首を回し、「雨は良くないものを連れてくるんだ」
「迷信ですか?」
「昔ばあちゃんが言ってたんだ。雨は、空から地へ、良くないものを落としてるって」
「まあ、ある意味そうだな」野間口が相槌を打った。「恵みとも言うが」
それだけではない。内心で、私は返事をする。この雨が強まれば、私たちは明日の朝にさえ、ここを出られるかわからなくなる。ただでさえ前後不覚の道を歩んでいるのだ。雨にけぶる樹海を、まっすぐに進むことなどできようはずも無い。
呼応するかのように、雨は徐々に激しさを増していった。




