首都アセボと王宮
人神教が用意した馬車に何組かで分かれて。王宮に向かう。この神殿は王宮から少し離れた場所にあり、馬車で移動するようだ。ここ首都アセボは道は石畳で舗装され、家も現代での普通の家のような造りだ。
王宮、民家などをかこうように城壁が囲っていた。
外に出れば、モンスターがいるので当然なのかと思う。
外の様子を眺めていると、王宮に到着したようだ。
王宮に到着すると、鎧を着た兵士が並んで待機していた。神官長らが馬車から降りていった。
「お待ちしていました、巫女様・神官長オリーヴェ様・勇者様方!」
馬車から降りると、かなり体格いい男が出迎えてくれて。
「騎士団長カヴァーロ殿、出迎え有難うございます。」
巫女が出迎えてくれた人に答えていた。
勇者達も馬車から降り集まってくると
「勇者様方よくいらっしゃいました。クラベジーナ国騎士団長カヴァーロ、ガロです。みなさんのこれからのサポート担当させてもらいます。明日からの戦闘訓練のお世話をさせて頂きます。将来的には獣人・魔人どもとの戦闘をともただかっていきましょう。」
騎士団長が笑顔であいさつしてきた。
「さあ、国王様がお待ちです。謁見の間に案内いたします。」
騎士団長が歩き出した。
「私は別室で休ませて頂きます。夕食会ときには、参加させて頂きますので、また後ほど。」
巫女はそう言うと、勇者達に会釈をし別方向に歩いていった。
俺達は騎士団長について行き、謁見の間、前に到着した。
「勇者様方今から国王様と謁見して頂くのですが、礼儀作法はご存じないと思います。私と同じように、行動をお願いいたします。」
騎士団長がそう言うと、謁見の間に入って行く。俺達も一緒に入っていった。
謁見の間に入ると、イメージ道理の空間が広がっていた。広い空間になっており、長方形で両サイドはアテネ神殿の柱みたいのが並んでいた。中央は赤い絨毯が引かれ、絨毯の両サイドに質のいい服を着た兵士が等間隔で並び絨毯の先に階段があり、階段の上に王座があった。
王座に一人の男が王冠をかぶり、座っていた。そのとなりには、大臣か宰相かわからないが一人の男が立っていた。
「おお、勇者達よくこのグラベジーナこられた。クラベジーナ、D、フィーゴである。」
そう王様が言うと、騎士団長が片膝をついて頭を下げた。それにならって、他の全員同じように片膝をついて頭を下げた。
「王様、勇者様方をお連れ致しました。」
騎士団長が先ほどの姿勢のまま王様に話した。
「騎士団長ご苦労であった。みなの者、表をあげられよ。」
王様がいうと、みな頭をあげた。でも、片膝はついたままなんだな・・・・
「勇者達よ異世界よりご苦労であった。人間族は今、滅亡の危機なのだ。もう勇者達が最後の望みじゃ。
もちろん、人間族を救ってくれたときはそれなりの褒美をだす。だから頼む、力を貸してほしい」
王様はさっき巫女が話していた内容だった
「僕らは、先ほど巫女様よりお願いをされました。そのときも言いましたが、同じ人間としてできるかぎり協力致します。」
天野がみなを代表して王様に話しかけていた。あいつが、どうやら高校生達のリーダのようだ。能力値もスキルも一番高かったもんな、あいつ。
「誠に頼もしいかぎりじゃ。堅苦しい謁見はこれぐらいにして、勇者達の宿泊準備を積もる話は、夕食会のときにでも話そうぞ、勇者達よ人間族に協力してもらい、感謝する!」
そう言うと、王様は軽く頭を下げた。
へえーー、昔の人って軽々しく頭下げないと思った。
と、俺が思っていると。
「陛下!!」
王様の横に立っていた男が王様の行動に驚いていた。
「よいのだカークトこちらからお願いをしているのだ、これぐらいは当然じゃ」
王様はそう言うと、立ち上がり謁見の間を退出した。
ふぅーーー!!
ある程度みな肩の力がぬけたようだ。
騎士団長が立ち上がり、勇者達に話しかけた。
「すでに宿泊の準備は整っております。今よりメイド長に各部屋に行って頂き一旦おくつろぎいただき、こちらで準備した衣装に着替えて頂きます。そのあと、夕食会となります。メイド長、後はお願いします。」
そういうと、40才前後の女性が騎士団長の後ろより現れた。年齢を感じさせない美しさがあった。
「メイド長デルフィ、オルカと申します。これより勇者様方か帰還されるまで、王宮での生活サポートをさせて頂きます。では、部屋に案内させて頂きます。」
これで、謁見が終わり部屋に案内されることになった。
勇者達とともに王宮の中の一部屋に俺は案内された。
「これから、よろしくお願い致します。」
部屋に入ると一人の女の子が居た
「・・・・・・」
俺は部屋に入って呆然とした。
ただ、この子との出会いが、この世界に来て一番の奇跡だと後に思うことになる
王宮の案内された部屋に入った俺は女の子に挨拶もせずに聞いた。
「何才?ここに働き出してどれくらい?」
「今は8才です。働き出して2ヶ月です。」
「・・・・・」
また呆然としてしまった。
部屋を見渡すと、ビジネスホテルの部屋を畳一畳分広げたぐらいだった。内装もさして変わらない感じだった。ベット・浴槽・トイレ・椅子が二つ・テーブル・窓が一つとほんとビジネスホテルそのままの感じだった。
ただここは王宮なんだよな?なんでこんな子供がメイド?まさか人手不足とかなのか?
「今この王宮って、人手不足なの?」
思わず聞いてしまった。
「いえ、そんなことはないですよ?」
「なぜに、君がここにいるのかな?たぶんこれから俺の担当メイドになるんだよね?」
そう、もう各部屋が勇者達に準備され、しかも担当メイドが部屋で待っていると、これかはその担当メイドが食事・生活補助をしてくれると、メイド長から説明があったからだ。
「これから担当させてもらうことになった。ナルシス・キャメリアです。」
そう言うと、ペコっとお辞儀をした。
「私もよくわからないのですが、これからえーーーーと」
なんて言っていいかわからない表情をしているので
「名前は佐藤浩一だ。俺は職種勇者じゃないから勇者様とか呼ばなくていいぞ」
「サトウ様ですね」
「浩一でいい。佐藤だと他にもいそうだからな、下の名前で呼んでくれ。俺達の世界では、佐藤って名前は多いんだよ」
確かに日本で多い名前は佐藤・鈴木・田中である。クラスにかならず一人いる。
「分かりました。コウイチ様。私がコウイチ様の担当なんですが、もし嫌であればメイド長デルフィ様に言って頂ければ、変更が可能だと思います。他にも勇者様達を担当していないメイドはいらっしゃいます。」
その話を聞いて思わず聞いてしまった。
「ごめん、君っていいとこでのお嬢さんとか貴族三女とかそんなんだったりするの?」
王宮であれば、小さくても上流階級の侍女としてだされることもあるのかと思った。上流階級の人は、あわよくばと。勇者だったり上流階級の男性に自分の娘を進めるのかと想像したのだが
「いえ、下町の一兵士の娘ですよ。母も共働きです。」
よく話を聞いてみたら、キャメリアみたいな子が王宮で多く働いているのだという。6・7才ぐらいでどこかに雑用見習いとして働きに行くのだという。男の子は畑仕事に、女の子は王宮・商売のお店で働くのだという。王宮での雑用見習いは人気が高く、応募しても入れないのだという。父親が兵士をしていて、ちょうど応募の話を聞いて。他のメイドに頼み込んで入れたのだという。
「やはり私では駄目でしょうか?」
キャメリアが悲しい顔で聞いてきた。
「なにかあるのか?」
思わず聞いてしまった。『駄目だ!』と言えばよかったのだが、8才の女の子にそんなことを言えるわけもなく、しかたなくメイド長に理由を聞きに行くことにした。
「駄目というわけではないが、メイド長と話してくる」
そう言うと、部屋をでてメイド長のところに行った。
「すいません。ちょっとよろしいでしょうか?」
メイド長だけあって、王宮に執務室を持っており俺はそこにおとずれた。
「いかがされましたか?」
「あの俺の担当メイドが8才なんですけど、なぜですか?」
俺が質問すると、少し不機嫌そうに答えてきた。
「本来、王宮は上流階級の片以外は宿泊はできないのです、今回勇者様方にお部屋を用意いたしましたが、一般人の宿泊は許されないのです。ただ、巫女様・神官長様から宿泊をお願いされましたので、しかたなく準備いたしました。さらにメイドなどつくはずがないのですが、あまりにもと思いまして下働き見習いの子ですが、担当としてつけたのです。」
その態度・言い方にイラっとして言い返した。
「こちらとて、好きでこの世界・この国に来たわけではないんだよ」
俺の言い方にメイド長は溜め息まじりに答えてきた。
「わたっております。ですから一般人の方ですが、仕方なく部屋とメイドを準備いたしました。もちろん勇者様達はそれなりの部屋としっかりしたメイドを担当するよう手配いたしました。なぜかは、勇者様方には多くの獣人・魔人と戦闘して頂く為です。われわれではまったく歯が立たないあいつらをこの世界から消してもらう為です。それができる勇者様方なのです。では一般人の佐藤浩一さんにできますか?」
メイド長は真剣な表情で聞いてきた。
「・・・・」
答えられなかった。
「佐藤浩一さんの事情は聞いておりますし、あのお二方からもお願いされております。ここでの生活ができるように手配いたしました。何かご不満がありますか?」
「・・・・」
何も言い返すことができずに、無言でもとの部屋に戻った。
「どうでしたか?」
部屋に戻ると、キャメリアが心配そうに見つめてくる。
「俺の担当は君だと。メイド長に言われたよ」
「私では嫌ですか?」
俺が嫌そうに言ってくるので気になっているみたいだ。
「まあ正直8才で、担当ですって言われても。ちゃんとできるか心配だよ」
俺が本当の気持ちを話すと、キャメリアはきっぱり言ってきた。
「心配されるのも分かりますが、これでも何でもできるんですよ。掃除・洗濯・料理は得意なんですよ。料理はお口に合うかわかりませんが、物心つくぐらいから家でやっていましたから。」
メイドの仕事に自身満々と答えてきた。まあ、今更言ってもメイドが変更できるわけでもない。キャメリアが自身があるならまあいいかと思うようにすることにした。ようは、いないよりましかと、思うようにした。
「今後よろしく頼むよ。じゃあー、キャメリアって呼べばいいかな」
俺がそう答えると。嬉しそうに。
「はい。よろしくお願いします。コウイチ様!!」
元気一杯、笑顔はなまるで答えてきた。
キャメリアと話していると、俺のメイド担当になることで少し給料があがるそうだ。8才ぐらいの雑用見習いで働いていたのだ、月のおこづかい程度しか貰えないのだという。それでもお昼を食べさせてもらい。給料がでるだけましなのだという。男の畑仕事は収穫量で支払われるし、お昼もでないそうだ。
「では、コウイチ様この衣装に着替えて頂けますか?もうしばらくしたら、夕食会の準備も整いますので、着替えて頂けますでしょうか?」
「わかったよ」
俺は衣装を受け取った。衣装はやはり昔のヨーロッパ風の衣装だった。
「・・・・」
「どういたしました?」
衣装を受け取って、疑問の顔でキャメリアを見つめていたので、聞いてきたのだ
「俺今から着替えるんだけど?」
「はいどうぞ!」
「俺の裸を見るのかい?」
「すいません。申し訳ありません。」
そう言うと、頭を下げてから部屋の外に出て行った。
大丈夫なのだろうか・・・・
「着替え終わったぞ」
終わったので、扉を開けてキャメリアを中に入れた。
「よくお似合いです。」
まあ、似合わないとはいいづらいだろうな。
「では、しばらく部屋でお待ちください。準備が整いましたら呼びにきますので」
そういうとキャメリアは退出していった。
自分の持ち物を確認してみると。携帯・私服・車の鍵・小説・工作機械の専門書など、こちらではなんの役にもたちそうにないものばかりだった。
元の世界に戻るにしろ、金だけは稼がないといけない。そう、元の世界に戻った後も生活があるのだ。
そのことをあのガキどもはわかっていなかった。
そんなことを考えながら部屋で待っていると、キャメリアが呼びにきた。
「コウイチ様準備が出来ましたので夕食会場までご案内いたします。」
そう言われ会場移動した。