表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/21

キャメリアとの再会

王宮に見捨てられた。その現実が重く圧しかかる。


どうする。どうしたらいい?王宮のやり方に納得いかずどうしたらいいか考える。


「そうだ、巫女だ!」


王宮に対抗できるのは人神教だけだと言っていた。覚えていろガロと思い、急いで神殿に向かった。


神殿に向かうと、そこに馬車から降りて神殿に入ろうとする巫女と神官長を見つける。


「巫女様お話があります。」


巫女様にかけより声をかける。


「どちら様ですか?」


「あなたに召喚された中にいた、佐藤です。王宮の騎士団長が俺を騙して落とし入れようとしているんです。助けてもらえませんか?」


率直に今抱えていることを話す。だが、


「はて、私が召喚した中にあなたはいなかったと思いますが。私が召喚したの勇者達を16人です。今その方々は王宮にいらっしゃいます。先ほどもお会いしてまいりました。郊外訓練の最終日はとても大変なことがあったと聞きましたが、天野様の活躍により無事回避できたとか。さすがは天野様です。」


「巫女様、こやつは今王都で話題の郊外訓練で強敵の魔物が出現した時、我先に逃げて軍を混乱に落とし入れ多大な被害を出した者です。名前はサトウと言っていました。間違いありません。」


「まあ、勇者様達の活躍で被害が少なかったからよかったようなものの、もしなにかあれば人間族は近い未来、滅んでいたかもしれない状況になるとこだったのですよ。騎士団長ガロ様が嘘を言っているなどありえません。お帰り願いますか?」


「え・・・」


確かに、巫女に召喚された。祭壇でも言葉を交わした。一瞬なにかの冗談だと思い。もう一度聞いた。


「何言ってるんですか、巫女様に召喚された佐藤浩一です。召喚されたときもお話したじゃないですか。それに王宮に住めるようメイド長にも口沿いしていただいたじゃないですか。」


「私はそんなことした覚えはありません。また、あなたを召喚した覚えはありません。」


「俺の生活を保障すると無理な戦闘は強要しないと紙に書いて約束したじゃないですか。それが守られていないと言っているんです!」


あまりのとぼけように、怒鳴りつけていた。


「よくそんなことまでご存知ですね、しかし私達神殿もグラベジーナ国も約束を破ってなどおりませんが?ではその契約書を見てみますか?」


そう言われ契約書を取り出した。

=============================

一・元の世界に帰還するまでの生活はグラベジーナ国が保障する。

二・戦闘訓練は国が勇者達のレベルアップサポートをし。魔人族・獣人族の戦闘は王国騎士団と勇者様方で共闘致し、戦闘をおこなう。

三・無事人間族が平和になり元の世界に帰還の際は、それに見合う報酬を支払う(金銀宝石など)

四・無理な戦闘を強要しない。戦闘中に撤退したからと言って罰に問わない。

五・これは人間族が平和に暮らしていけるようになる為の、グラベジーナ国・人神教・勇者達の契約とする。

=============================


「書いてあるじゃないですか、”元の世界に帰還するまでの生活はグラベジーナ国が保障する”と”無理な戦闘を強要しない。戦闘中に撤退したからと言って罰に問わない”と書いてあるじゃないですか?」


「ええ書いてありますね、ですから私達神殿もグラベジーナ国も”ここに”書いてある内容の約束を破ってなどおりません。”五・これは人間族が平和に暮らしていけるようになる為の、グラベジーナ国・人神教・勇者達の契約とする。”と書いてあります。先ほども言いましたが、私が召喚した勇者達は”16人”です。その方々は”全員王宮にいらっしゃいます”そう言っているのです。」


「なぁ・・・・」


つまりこういうことか、”一般人”を召喚した覚えがない。そして取り交わした契約も”一般人”には無効ということか。

そうか、そういうことか。始めから神殿も王宮も万が一は俺を落とし入れて勇者を助ける手はずになっていたということか。それはそうだよな。一般人の俺の変わりはいくらでもいる。だが、勇者達の特殊な能力値・スキルは他に替えが聞かない。俺はその為の”捨石”かよ


「始めからか。始めから万が一は俺を見捨てる手はずになっていたんだな。そのためだけに俺を召喚したのかよ・・・」


「何を言っているのか私には分かりませんね。神官長!」


「はい。神兵。こいつをつまみ出せ。巫女様それと今回のこの者がしたことは勇者様達に対する反逆、このことを全神殿に告知し、張り出しましょう。これでこの者もこれ以上嘘偽りを言えなくなるでしょう。」


「そうですね。この件はおまかせします。」


「分かりました。」


目の前がまた真っ白になり、王宮以上になにも考えられなくなった。


両脇を抱えられ、神殿前の道に捨てられる。


動く気力が起きなかった。


この世界に来て、人間国グラベジーナと人神教の人間族二代勢力の後ろ盾があると思い、普段の生活。元の世界に帰る手段など。心配していなかった。最悪はなんとか生活できることもわかった。もし俺が駄目でも、他の勇者達がいるから大丈夫だと思っていた。だが俺もこの世界の人々と同じ、最後は他人任せにしていたのだ。自分が責任を持ってやろうとかじゃない。

俺は必死に勇者とグラベジーナ国の漕ぐ船に乗っていたいだけだったんだ。沈みかけたときだけ必死に助けてくださいと言っているのだ。勇者とグラベジーナ国にとって俺はお荷物でしかない。自分たちが危なくなれば真っ先に捨てられる対象だったのだ。


もう自分では動くことも、考えることも出来なかった。


神殿前の道で横たわったままだったので、神兵が来て両脇を抱えられ離れた壁の所に捨てられた。


動く気力がない。


「お前、勇者様達を危ない目に合わせたやつだろ。そこ神殿で張り出されてぞ。おい、じゃまだどけ!」


誰かが来て何かを言っている。よくわからない。


動かないでいると、蹴られだし「あっちに行け」そう言われたのが分かったので移動した。


しばらく歩き、疲れたので壁を背に座る。また誰かに何か言われ、同じく蹴られた。


そんなことを何回か繰り返した。行く場所、行く場所で様々なことを言われたりされた。”裏切り者”・”卑怯者”・”嘘つきが”と罵られたりもした。ただ、言われても怒りや、悲しみは起きてこなかった。


どれぐらいたっただろうか。


気づくと王都の城壁のところまで歩いてきていた。周りに人気のない木の下で足を抱えて座っていた。


そこで座り込んでから、周りの音も気配も感じなくなってしまう。座っていることすら辛く感じられ、足を抱えながら横になった。




ここから動かない。




動けない。





そこに横になってどれくらいたっただろう。


誰かが呼びかけてくれていた。


「コウイチ様ですよね・・?」


一人の女の子が立って、泣いていたのはキャメリアだった。


「生きていてほんとうによかった。怪我をされています。私の家に行きましょう手当てします。」


俺を立たせようとしてきた。だから言ってやった。


「ほっといてくれ!それに俺はもう様なんてつけて呼ばれるような存在じゃない。」


「そうは行きません。それにこんなところに放置なんて出来るわけないじゃないですか。家に来てください。」


「ほっといてくれ。」


そう言うと、泣いきながらも立たせようとしていた。けれど立つ事を拒みそのまま木の下で横になる。本来ならもっとキャメリアに違う言葉を言う予定だった。だが”ほっといてくれ”以外の言葉を思いつかない。


俺のそんな行動にキャメリアはただそばで泣いた。その後も泣きながらなんども”私の家にいきましょ”・”立ってください。”・”怪我の手当てをさせてください。”と泣きながら言ってくるが、俺はそこから動かない。俺が言うのは”ほっといてくれ”これしか言わなかった。


俺をゆすりながキャメリアは泣き続けた。俺は鳴き声を聞きながら、泣き疲れたらどこかに行くと思いほおって置いた。


しばらくして、キャメリアは泣きながら歩き去っていく。


これでいいのだ、俺とは関わらない方がいい。そして俺も今は誰とも関わりたくなかった。


何も考えず、木の下で足を抱え込み横になる。


もう動かない。


しばらくして、二人の足音が近づいてきた。じゃまとか言われたら、またどこかに行こうそう思っていると、声をかけられた。


「コウイチ様ムッカです。お話は王宮で聞いております。ですが私は信じられません。よければコウイチ様の事情を話して頂けないでしょうか。怪我もされています。一旦私の家に行きましょう。」


一人はキャメリアの父ムッカだった。もう一人はまだ泣いているキャメリアだった。泣きながら父親のズボンの服を握っていた。


「ほっといてくれ!さっきもキャメリアに言ったがもう様などつけられる存在じゃない。俺に関わってもろくなことはない。一人にしてくれ。」


「・・・・」


ムッカは難しい表情をする。俺のあまりにも精神が壊れている状況を見て悩みだす。キャメリアがムッカの服をひっぱり”お父さん”泣きながら話しかけた。ムッカはキャメリアの頭に手を載せ「大丈夫」と言って笑顔をみせる。


「コウイチ様立ってください。」


そう言って無理やり立たせようとしてきた。


「ほっといてくれ!!」


立たせようとしてきた手を、無理やりほどこうとしたが、


「がはぁ!」


首の裏を手套で殴られ、そこで気を失ってしまう。









気が付くとベットの上だった、俺の体をキャメリアがタオルで拭いている。


「キャメリア仕事は?」


気づいて俺の口から出てきた言葉がこれだ。


「・・・・」


無言だった。


「聞いているはずだ、キャメリアはもう俺の担当メイドではない。こんなことをする必要はない。」


「・・・・」


「俺にこんなことをしてもお金なんて出ないんだ。ほっといてくれ!」


”ほっといてくれ”もう何回キャメリアに言っただろうか、この言葉しか俺の口から出てこなかった。


「ひぃ・・」


俺に怒鳴られ、泣きながら部屋から出て行った。


キャメリアが出て行った後にムッカが部屋に入ってくる。


「キャメリアはコウイチ様のことを心配しているのです。怒鳴らないでやってください。いろいろお話をしたいのですが、まだお気持ちが落ち着いてない様子、明日また来ますのでそのとき事情をお聞かせください。後でキャメリアに食事を運ばせます。食べてください。」


「・・・・」


俺は壁に顔を向けて話を聞こうともしなかった。


何も考えることができずにいた。元の世界に帰れない、信じていた人達に裏切られる。この現実が受け止めきれずにいた。


「お食事を置いておきます。食べれますか?」


キャメリアが食事を持って入ってきた。


「・・・・」


「・・・もし食べれないようでしたら、言って下さい。別の食事を準備します。」


トレーを置いて、部屋から出て行った。


トレーから料理のいい匂いがした。”グゥー”とお腹も鳴る。でも食欲がなかった。食べる気になれなかった。


そのまま横になり眠りに付いた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ