4ヵ月後
4ヶ月が過ぎた。
「コッチー。おっはよう」
「おーーす」
「おはよう」
朝待ち汗場所に行くと、三人が挨拶してきた。同じ班のルーク・ガイル・イクスだ。連係も阿吽の呼吸とまでいかないがそれなりに取れるようになった。レベルも他の班のやつから嫉妬されるほど、俺達のレベル上昇は大きかった。ただ、勇者班を除いてだが・・・
そんな俺達の今のレベルは
「うっっし!」
朝から明るいルークだ。ルークの現在は
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名前:ヴィラン・ルーク
職種:剣士
レベル:24
力 :190
防御:175
魔力:120
速さ:220
生命:210
スキル:速攻・肉体強化・残撃・剣攻撃力アップ
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「よーーし!」
気合をいれるガイルは
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名前:ガジゼル・ガイル
職種:盾戦士
レベル:24
力 :185
防御:240
魔力:135
速さ:140
生命:220
スキル:シールド(風・水)・肉体強化・挑発・防御力アップ
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「がんばりましょ」
いつも通りのイクスは
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名前:ミゼイル・イクス
職種:魔法師
レベル:23
力 :155
防御:120
魔力:310
速さ:140
生命:150
スキル:系統魔法(火・風・水)・魔法攻撃力アップ・槍撃
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「なら行くぞ!」
そして俺は
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名前:佐藤浩一
職種:一般人(異世界人)
レベル:21
力 :146
防御:146
魔力:146
速さ:146
生命:146
スキル:先読みスキル・言語理解・肉体強化・シールド(弱)・系統魔法(風)
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どれかが伸びるわけもなく、職種も一般人のままただ全員冒険者ギルドランクはDに上がった。
そんなこんなで4ヶ月が経つ。
そんなときに騎士団から郊外での訓練が実施されることになった。けっこうな規模での連係訓練をおこなうそうだ。それは建前として、天野はここ王宮周辺でレベル上げるのに限界がきていた。近くのダンジョンでも最奥まで行っても余裕で攻略できるようになっていた。そんな天野の今は
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名前:天野康平
職種:勇者・聖戦士
レベル:34
力 :650
防御:650
魔力:650
速さ:650
生命:650
スキル:演唱破棄・全系統対応(闇以外)・五行結界
武器付与スキル・金剛力・レベルアップ率上昇・肉体強化
聖魔法・剣攻撃力アップ・威圧
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もうなんて言っていいか・・・・
俺とのレベルの差は2倍もないのに、能力値の差は4倍以上ってどういうこと?これだけ強い天野は大ベテランのガロさんとも互角に渡り合っている。さらなるレベルアップの為に郊外訓練に行くことになったのだ。
天野が行くのはいいだが・・・俺の班からは俺だけがこの郊外訓練に参加することになった。
ガロさんからは”王宮を空にするわけにはいかない”居残り組みが必要といことで俺だけが訓練に参加になった。王都を一週間以上空けるので、もしもの場合の備えだそうだ。
個人的に言わせて貰えば、同じ班の3人を残すなら、俺も残してくれよと思う。あとガロさんがこんなことも言っていた。”他の三人は若いからな”と。俺はもう26才のおっさんですよ。他の3人は10代前半ですよ。こちとら20代後半ですよ。てか普通は若いやつを経験つませるために連れて行くでしょ
郊外訓練が予定されて王都は盛り上がりだした。ようはいよいよ勇者達を先頭に他種族に反撃の準備に入ったと。そうだろうグラベジーナ国でもトップクラスの実力者のガロさんと数ヶ月で互角に渡り合えるまでに成長したのだ。いや攻撃力だけならガロさん以上だという。王都は勇者の好景気効果もあり、郊外訓練にいく話題でどこでももちきりだ。
今回向かうのが、魔人側の国境線で郊外訓練を行うことになった。講義で習ったのだが人間族と魔人族の国境線は空白部分がある。ただこの国境線も人間族が勝手に決めた国境線なのだが。魔人と人間の戦争で人間が負け続けて国境線が下がったのだ。だが魔人は買った領地を支配することはしないのだ。
魔人族は強い敵との戦闘を生きがいとした種族で領地の支配意欲はないみたいなのだ。さらに強い魔人はそこに住む魔物に影響を与える。具体的には、強い魔人が住む土地は魔物が凶暴化・レベル上がる。人間領に攻めてきてしばらく魔人がいたのだが人間が弱くて帰ったのだ。だが魔人がしばらく住んでいたので魔物のレベルが上がってしまった。
獣人族領だともう戦争になってしますが、この空白の領地であれば訓練にもってこいというわけなのである。魔物のレベルも高く。勇者達との大規模戦闘訓練とレベルアップが出来るまさに一石二鳥なのだ。
郊外訓練実行当日の朝はキャメリアに残念そうに見送られた。
「コウイチ様いってらっしゃいませ・・・」
「日持ちしない食材は食べていいからね。」
「はい。」
悲しそうに返事をされたが『持って2日か3日かな・・』と小声でつぶやいていた。冷蔵庫は作ったがほとんどの食材は生ものである。日持ちしない。冷凍庫も考えたが、そこまで作る気になれなかった。今ある食材は持って3日なのである。それ以後は俺からの食材はないのである。
「最近キャメリアの食欲がすごいな。」
「いや。 あの えっと(汗)」
3日目以降はいつもの貧しい食生活に戻ってしまうので、元気がないのだろう
「戻ってきたら。またみんなで夕食会でもしよう!」
「本当ですか?絶対ですよ!約束ですよ!」
「約束する。」
そういうとキャメリアの頭をやさしく撫でた。キャメリアはちょっと顔赤くしながら嬉しそうだった。
「コウイチ様、郊外訓練で危ない所に行かれるのは事実。お怪我をなさいませんよう、気をつけてください。」
「始めにそう言ってくれるとすんなり行ったのだが、あまりにも食事のことを気にしているようなので。俺よりも食事が心配なのかと」
「コウイチ様!!」
ちょっとキャメリアをからかった。真剣に怒り出し。
「いくらコウイチ様でも言っていいこと。悪い事があります。私がコウイチ様のお命より、日々の食事が大事とでもおっしゃいたいのですか!それは、食事は大好きですが・・・ここ数日私がコウイチ様が郊外訓練に行かれると聞いてどれだけ不安に思ってると思っているのですか!!!」
本気で怒り出した。・・・まずい・・・ちょっとからかうつもりマジで怒り出した。
「ごめんよ。キャメリアが小声で”持って2日か3日か”とか小声で呟いていたからつい、食事の心配で元気がないのかと思って・・・悪いこと言った。すまん」
「聞こえてたんですか!!」
小声で呟いたのが聞こえていたとは思っていなかったようだ。
「それは今ある食材が持って二・三日しかもたないなと思ったわけでけっして、その後がいつもの食事に戻るから元気がなかったわけではありませんよ。そんなものは、またコウイチ様が戻ってこられれば、これまでのような生活に戻ります。コウイチ様が戻ってきてさえくれればいつものようになります。ですから、無事なお戻りをお願い致します。」
「わかったよ。戻ったらみんなで夕食会しような」
”俺が戻って来たら、貧しい食事から開放されるからかな?”とか意地悪が頭によぎったが、これ以上キャメリアの機嫌をそこねると面倒だと思い。言わなかった。
「はい。無事なお戻りを。いってらっしゃいませ」
キャメリアそう言って、深く頭を下げた。
「周りの戦いを見て、危なくなったら後方で隠れるよ。俺がいてもいなくてもかわらないけどな」
「ご無事を」
キャメリアに見送られて部屋を出た。
集合場所に行くと大勢の人達が集まっていた。騎士団・王国兵・勇者達・神殿兵・補助要員(食事・雑用要員)と出発に向けて準備が進められている。俺の今回の位置づけは王国兵だ。簡単に言うと軍隊の下っ端だ。俺も集合と同時に出発の準備に取り掛かる。
出発の準備が整うと整列した。そしてガロさんと勇者達が馬に乗ってやってきた。
「これよりヘトロス荒野に向かう。今回の目的は今後考えられる獣人・魔人共と戦うことを想定とした。勇者達とグラベジーナ軍での連係訓練である。この訓練を数回行った後、いよいよまずは獣人共と戦闘をしていくつもりだ。」
「「「おーーー」」」
皆が雄たけびをあげる。
「城下を行進する。隊列を整え胸をはって行進するように。では行くぞーーーー!!」
「「「おおお!!!」」」
すごい雄たけびがまたあがり、行進が始まった。
中央広場の沿道には多くの人が集まっていた。
皆グラベジーナ軍を称え、勇者を称えていた。国民はわかっているのだ、勇者がきてからこの王都は変わった。雰囲気が明るくなったことを。そしてなりより、獣人・魔人にこれまで勝てなかった人間族がこれから巻き返していくんだと期待で一杯なのだ。
「勇者様がんばってー」
「騎士団長ガロ様期待しています。」
「グラベジーナ万歳!」
さまざまな声援が沿道から聞こえてきた。まあ俺は馬に乗っていないから。目立たないけどな。
「アマノ様ーーー!!」
「きゃーー!!アマノ様がんばってください。」
ただ声援の半分が天野ファンの女子からだったのだが。
くそ死ねばいい”リア充男が!”
負け犬の遠吠えだった・・・・・