とある自殺サイト
24歳になった彼女は、夢だった保育士として仕事を頑張っていた。
しかし、「今年も頑張ろう!」そう思える年では無かった。
いや、そんな年は去年までだった。
父の懲役期間が、今年の冬に切れるからだ。
父が出てくるまで、後2ヶ月。
私がこの8年間、積み重ねてきた幸せに包まれた思い出。
父が出てきたら、全てが崩れてしまう。
彼女は思った。
(父が出てきて、父に殺されてしまうなら
いっそのこと、この幸せな私で死にたい。)
......いっそのこと、自ら命を絶ちたい。
彼女は、父が出てくるまでの2ヶ月
必死に自らが命を絶つ方法を探した。
いろいろな自殺サイトに登録し、
ネット上で、多くのアドバイスなどをもらった。
そして、ある1つの自殺サイト。
1つのコメントが彼女の興味を引いた。
【@社会のクズ: あなたに会いたい。】
そう、その自殺サイトで彼女に出会った。
僕は彼女の事を何も知らないが、
なぜか、彼女に恋をした。
ネット上で、ただただ彼女のコメントを見ていただけで、彼女を守ってあげたいと思った。
彼女は、僕の出したコメントに対して次の日に返信してくれた。
【@名亡し:どちらでお会いできますか?】
僕らは、新宿のカフェにした。
そこなら、女性でも来やすいだろうと考えたからだ。
でも、1つ問題なのが
彼女の事を考えてカフェにしたが、
自分がここ数年、必要最低限に外を歩いていないことを忘れていた。
彼女と約束した日
僕は死ぬまでに使う全ての勇気を振り絞って、玄関の扉を開き、1歩、外に出た。
太陽の光が眩しく、人々を照らしていた。