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僕の中で
「…なんて言うと思った?」
「愛、でも僕…もうダメなんだけど…」
「圭太?私達ってすごいと思わない?」
「なんで?」
「お互い死にたいのに出会って、恋に落ちて…」
「…」
「お互いの生きる意味にまでなった。」
「何が言いたいんだよ…」
「圭太の生きる意味は私。でも、今その私が死んだ。」
「だから、死ぬんだ…」
「でも、私の生きる意味は圭太。でも圭太は、まだこうして息をして、心臓は脈を打っている。」
「…」
「私は圭太の中で生き続けるよ?」
「…」
「だから、それを圭太の生きる意味にして?」
降っていた雨が、止んだ。
「愛…」
「圭太?そろそろ逝くね?」
そして、彼女は僕から手を話した。
「あぃ!」
「振り向いちゃだめ!」
彼女は続けた。
「私は、まだ圭太の中で生きているから…」
「…あ…い…」
僕は、泣き叫ぶ。
「またね?」
そして、彼女は消えた。
さっきまで雨の降っていた空は、青く晴れていた。
まるで、愛が背中を押してくれているようだった。




