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僕と君
僕はあの日、彼女が入った墓標と向かいあい座った。
「愛?僕、これからどうしよう?」
「…」
「僕、愛なしじゃ生きられないよ?」
「…」
「なぁ?僕のこと恨んでいいよ?」
「…」
「あんだけ、守るって言っておいて、愛のこと…」
「…」
「守れなかっ…た…」
僕は彼女の墓標から目を逸らした。
「復讐してやる…」
「…」
「愛の親父を殺してやる…」
すると、僕の後ろに誰かの眼差しに気付いた。
「そんなことしないで?」
僕は後ろ振り向ことしたが、後ろの人が僕にもたれかかってきた。
そのせいか、後ろの人が見えない。
「あなたが、そんなことをしても」
後ろの人は僕をゆっくりと優しく抱きしめた。
…この手は。




