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幸せ者の葬儀
彼女の葬儀には、友人や同僚が多く来てくれた。
もちろん、彼女を育ててくれた女性も。
僕が呼んだんだ。
彼女には家族らしい家族は、彼女しかいなかった。
「圭太さんでしたか?」
「…はい。」
「この葬儀の喪主をしていただいて、こんな素晴らしい葬儀を…ありがとう。」
「こちらも、こんな多くの方を呼んでいただいて、愛さんも喜んでいると思います。」
「あなたは、愛ちゃんのなんなんですか?」
僕は、少し間を置いて言った。
「僕は彼女の…愛の家族です。」
女性は微笑んだ。
そして、泣き出した。
「愛ちゃん、家族が出来たのね…」
「愛は幸せ者ですね。こんなに多くの人に見送られて。」
「あなたにはいないの?」
女性の問に、
「僕には愛しか居ませんから」
そう言い笑った。




