父親の復讐
中年男は叫ぶ。
「ムショ送りにした天罰だよ、ゴラァ!愛!」
僕は彼女に歩み寄る。
僕も彼女の腹部を押さえるが血が止まらない。
「あ…い……?しっかりしろよ!」
「…けぃ……た?」
「誰か!救急車呼んで下さい!」
周りの人だかりに僕は叫んだ。
誰が呼んでくれた。
「愛?後少しだからね?耐えろよ?」
「へっ、てめぇみたいな汚れた女にも彼氏が出来たのか?そりゃめでてぇ!」
彼女の父親は、笑う。
そんな父親は空港の警備員に押さえられた。
「けぃ…た。」
「今は喋るな…。血が…」
押さえるが血は、一向にすごい勢いで出る。
「もど…って……きてく…れてあ…りがと……ハァ」
「愛が遅いからだよ…」
「ぅう…ん…。約束守ってくれた…。」
「…約束?」
「ぅん…わた…しの最期…み…とって」
「そんなこというなよ?なぁ?海見るんだよ?高いところで?2人で見るんだろ?愛!」
「く…ゃしい…ねぇ…ハァ。もっ…と」
僕は彼女の手を握り閉めた。
「まだ、一緒に居ようぜ?2人でずっと、この先も?もっととか言うなよ、最後みないだろ?」
「けぃ…た?お…ねが…い。」
「…えっ?」
「あた…しの…分ま…で…生きて。」
彼女の手が徐々に冷たくなっていく。
「ぁ…ぃ……?」
彼女は瞳を閉じた。
救急隊がちょうど駆けつけた。
彼女は病院に搬送された。




