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刺された
僕が搭乗口に着いて、離陸5分前になっても彼女は帰って来なかった。
「愛、何してんのかな。迷ったのかな?」
僕は持っていた荷物を搭乗員の方に託し、彼女の行ったトイレの方に走って行った。
しかし、トイレにつくと人だかりが出来ていた。
ワーキャー、騒がしい。
「何があったんだ…」
僕は近くの人に聞いた。
「何があったんですか?」
すると、人々は
「女性が刺されたんだ!」
っと言った。
僕が人だかりをかき分けて中心部へ進んで行く。
そこには、血だらけのナイフを持った中年男と
腹部を押さえ、倒れている彼女がいた。
「えっ…?」
彼女は、こいつに腹部を…
愛は、父親に腹部を刺された現場だった。




