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君が死んだ朝に

作者: 野井紫苑

歩く 歩く ぼくは歩く そして歩く

左手には月 右手には太陽

ただひたすらに ぼくは歩く

意味も分からぬまま ぼくは歩く


昼もなく 夜もなく

昨日もなく 明日もない

変わらぬ世界を ぼくは歩く


ぼくの前に道はない

歩いた後に道は出来ると言ったのは誰だったか

後ろを振り返る

道を見てみたかったから

しかし 果てなく続く草原は

ぼくに跡を残すことを

許さなかった



ぼくは今歩いている

では歩く前は何をしていたのだろうか

始まりはいつだったのだろうか

ぼくは何故 歩いているのだろうか


ぼくは不意に走り出した

腹の底から湧き上がった衝動に

心臓を突き上げられるようにして

ぼくは走り出した

終わりが見たかった

この世界の終わりが


始まりは分からない

終わりにすべての答えが

まっている気がした



息が苦しい

心臓がいたい

足が辛い

もう走れない

そう思ったら

足が 止まってしまった


月が落ち 太陽もまた落ちた

そうか これが終わりか

ならば 歩き始める前など

存在しなかったのだ


そして

ぼくももう

存在しないのだ


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― 新着の感想 ―
[良い点] 人間が本来持っている思いを叙情的に表現していて、心惹かれる作品でした。 その上で読んでいる方の創造力をかきたてるように文章が綴られていて、私には真似できない作風だと感じました。 [一言]…
2018/01/13 22:03 退会済み
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