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第一話:女の子としての初登校。

朝、目覚まし時計が鳴っていたが、桜坂歩さくらさかあゆむは目覚ましが鳴ってもベッドから起きなかった。

あまりにも目覚ましがうるさいので、母親のひとみは、歩の部屋に入ってきて、ベッドからたたき出した。


「いってぇなぁー、なにするんだよ、母ちゃん」


「あれほど、はやく寝なさいといったのに。はやくこれに着替えてらっしゃい。歩ちゃん」


瞳は、歩の中学校の制服を持ってきた。でもその制服は男の子の制服ではなくて女の子の制服だった。


「歩ちゃんが、学校であんな事をしたから、こうなったのでしょ」


「そりゃそうだけど……」

「はやくその制服に着替えてらっしゃい」


瞳はそういって、歩の部屋を出た。

歩は、女の子の制服を着るのをためらったが、しぶしぶ制服に着替えた。


歩は、朝食のある居間にいくと、父親の憲一けんいちと、姉のゆいが朝食を食べていた。憲一は、軽蔑の目で歩を見て、「情けない恰好だな」といった。


逆に、唯は、歩の女の子の姿を見て、「キャー、歩ちゃん、カワイイー」といって、歩の頭をなでた。


「そういう事をヤメロよ、アネキ」


歩は、頭をなでる唯の手を払いのけると、朝食のあるテーブルの席についた。

席につくなり歩は、大急ぎで朝食を食べていた。


「歩ちゃん、今日から歩ちゃんは女の子なんだから、ちゃんと行儀よく食べなさい」


「でもよ、母ちゃん……」

「言い訳しないの。それから、母ちゃんじゃなくてママと呼ばないといけないでしょ」


「わかったよ、……ママ」

歩は、朝食を食べおわると瞳に、瞳の寝室に連れていかれた。

そこで歩は、瞳にウイッグを付けられ、女の子の髪型にされたのだった。

瞳は、歩を鏡の前に立たせた。でも歩は、鏡を見るのがイヤなのか、目を強く閉じていた。


「歩ちゃん、ちゃんと目を開けて見てごらん」


歩は、恐る恐る目をゆっくり開けた。そこに写っているのは男の子の歩ではなくて、女の子の姿をした歩だった。


「どう、歩ちゃん、どこから見ても歩ちゃんは女の子よ」


歩は、女の子になった姿を見て、ショックをうけた。そして、瞳は時計を見た。

「歩ちゃん、これで学校にいく準備ができたわね。もうすぐしたら、お友達が来るころだわ」


ちょうどそのとき、玄関のドアのチャイムが鳴った。瞳は、ドアをあけると、二人の女の子がいた。


「おはようございます。今日から歩くんと学校にいくことになった、滝沢恭子たきざわきょうこです」

「同じく、わたしも恭子さんといっしょに歩くんと学校にいくことになる山口志保やまぐちしほです。よろしくお願いします」


「まぁ、あなたたちが歩ちゃんといっしょに学校にいくことになるのね。恭子さんに志保さん、これからも歩ちゃんをよろしくお願いね」


瞳が、恭子と志保と話をしていると、歩がおそるおそる玄関のドアをあけた。

女の子の制服を着た歩を見て、恭子と志保に笑われると思ったからだった。


「歩ちゃん、そんなところにいないで、はやく出てきなさい」


瞳は、歩を強引に表に連れ出した。


「な、なに、じろじろ見てんだよ。恥ずかしいじゃねえかぁ」


「そんなキタナイ言葉を使っちゃダメでしょ。今日から女の子なんだから」


「そうよ桜坂くん、お母さんのいうとうりよ」


「わたしと恭子さんが、桜坂くんを女の子らしくさせるようにいわれたから、安心してください」


「それを聞いて、ママも安心したわ。ふたりとも、歩ちゃんをお願いね」


「はい、わかりました」恭子がいった。


「それでは桜坂くん、学校にいきましょうか」


「これから、がんばって女の子になるのよ」瞳は歩にいった。


恭子と志保に連れられて、歩は学校にいった。


「でも、知らなかったわ」

「どうしたのです。恭子さん」


「だって桜坂くん、お母さんに歩ちゃんと呼ばれてるから」


「そうなんだよ。今日、いきなり歩ちゃんと呼ばれたから、ビックリした」歩はいった。


「ネェ、わたしたちも、歩ちゃんと呼ぶから。いいわね」


「なにいってんだよ、滝沢いい加減にしろよ」


「わたしと志保は、桜坂くんがあんなことをしたもんだから、桜坂くんを女の子らしくなるようにしつけるようにいわれたのよ」


「そうよ桜坂くん。女の子なのに、桜坂くん、って呼ぶなんておかしいわ。だから、歩ちゃんと呼ぶから」


「おいおい山口、おまえまでなにいってんだよ」


「ちょっと言い過ぎじゃないかしら。昨日まで男の子だったけど、今日からは女の子なんだから、歩ちゃんはそれがわかっているの」恭子が、強い口調で歩にいった。


「もし、それがまもれなければ、先生にいって、もっときびしい罰を与えるようにいおうかしら」志保は、冷たい口調で歩にいった。

「わかったけどさぁ、滝沢に山口。でもよ、女の子らしくて、どうすればいいんだ」

歩の質問に、恭子にあるアイデアが浮かび、歩にそのことをいった。


「とりあえずはね、わたしや志保のことを呼び捨てで呼ばないこと。それでいいんじゃない」


「それと、しゃべりかたも女言葉でしゃべるようにすることね」

「わかりましたわ。滝沢さんに山口さん。これでいいかな」歩はいった。


「ウーン、これでいいのかなぁ。志保、どうおもう」

「まあ、一応、わたしはこれでいいと思うけど……」

「このことは、学校についてから考えましょ」



こうして、歩の女の子としての生活がはじまったが、これが、歩の人生をおおきくかわる出来事とは、歩には思ってもみなかったのであった。

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