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雨あがり

作者: 相花

ほうら、雨あがり

はやく君に会いたいな

待ちきれずに傘を放り出して

水溜りけちらして駆け出した

虹の橋の向こうで君が笑ってる


雨の日はみんな嫌だって言うけどさ

流した涙を何もなかったかのようにさらってくれる

私のこころを優しく包んでくれる

そんな雨が好きなんだ

君の言った言葉

僕はそれに頷いたけど、本当はさ

君に会えるのが一番嬉しかったんだ


君に会えない日を指折り数えてみた

何日も晴れが続いたある夏のこと

お日様はそんな僕にも構わず光の粒をまき散らす

僕はすこし元気がなくなって

雨が待ち遠しくなる

だって君に会えないんだから

「泣かないで」

風が君の声をかすかに運んでくる

僕は必死に耳をそばだてる

君は蜃気楼のよう

たまらなく寂しくなって

君と目と目を合わせて触れ合いたくなる

「消えちゃ嫌だよ」

そんな時はてるてる坊主逆さに吊るして

目を閉じて祈るんだ


もう日が暮れる

一番星が輝いた

雨が上がっても虹は見えないだろう

あっという間に日が落っこちていって真っ暗になった

ねえ、君はどこにいるの

見えないなんて嫌だよ


どうかこの雨が朝まで続きますように

君のことを思って胸をおさえた

雨があがらないと会えないけれど

君は雨が降って喜んでいるんだ、きっと

僕は雨の中、傘もささずに飛び出した

途端にずぶ濡れになった

でも、少しも嫌じゃなかったんだ

君も同じ雨にうたれているのかな


ようやく雨が止んで空が白みはじめた

君に会いたい

雨が止んでも寂しいけれど、君に会えないのも寂しいな


僕らふたりずぶ濡れで

互いに相手を見て笑いだす

「僕も雨が好きみたいだ」

君は嬉しそうに僕の手をとり

僕はそっと君を抱き寄せた

君からは雨のにおいがした

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