第34話「折れた刀と、絶望の雨」
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最終決戦、開幕。
しかし、祖父・厳(No.1)の強さは、次元が違いました。
九条の刃は届かず、仲間たちも一蹴され……。
そして、玲奈の希望までもが、無惨に砕け散ります。
ドォォォォォン!!
九条の体が砲弾のように吹き飛び、道場の壁を突き破った。
「九条ッ!!」
私は叫んだ。
視線の先で、土煙の中から九条がゆらりと立ち上がる。
彼のアバター『ナイン』のHPバーは、たった一撃で半分近く削られている。
対して、No.1『オリジン』のHPバーは……1ミリも減っていない。
「はぁ、はぁ……ッ」
九条が口元の血を拭う。
「……硬いな、爺さん」
「遅い」
厳は道場の中心から動いてすらいなかった。
「技術も、速度も、以前より格段に上がっている。……だが、『重さ』が足りん」
厳が拳を握る。
「覚悟の重さがな」
【格の違い】
「なら、数で攻めるまでよ!」
シノが動いた。
彼女のトップスピードでの奇襲。九条との連携攻撃だ。
「喰らいなさいッ!!」
シノのガントレットが厳の死角から迫る。
しかし。
ガシッ。
「え……?」
厳は振り返りもせず、シノの拳を片手で受け止めた。
「ちょっ、嘘……!?」
「速いだけの羽虫か」
ブンッ!
厳が腕を振るうだけで、シノはゴミのように投げ捨てられた。
「きゃぁぁぁっ!!」
地面に激突し、シノが動かなくなる。
「シノちゃん!」
「解析開始……弱点を……!」
有馬が高速でキーを叩く。
だが、次の瞬間、彼のPCが火花を散らして爆発した。
「うわっ!?」
「無駄だ。私のデータ密度は、貴様らのPCで処理できる量ではない」
厳は冷徹に言い放つ。
武力も、速度も、知能も。
すべてにおいて、彼は頂点だった。
【折れた刃】
「……まだだッ!!」
九条が吼える。
彼の体が青い光に包まれる。リミッター解除。
自身のダメージを度外視した、捨て身の特攻だ。
「奥義――『一閃』!!」
九条の姿が消えた。
音速を超えた抜刀術。空間ごと切り裂くような必殺の一撃が、厳の首筋に迫る。
当たれば終わる。
そう思った瞬間。
パキィィィィン……!
乾いた音が、何もない空間に響き渡った。
「……え?」
私の目の前で、信じられない光景が広がっていた。
九条の日本刀が――真ん中から折れていた。
厳は、人差し指と中指の二本だけで、九条の刃を挟んで止めていたのだ。
「……な……」
九条が絶句する。
「悪くない筋だ。……だが、届かん」
厳が指に力を込めると、刀身が砕け散った。
そのまま厳の拳が、九条の腹部に深々と突き刺さる。
ドゴッ……!!
「ガハッ……あ、ぐ……」
九条の瞳から光が消える。
彼は糸が切れた人形のように崩れ落ち、ピクリとも動かなくなった。
HPバーが赤く点滅し、限りなくゼロに近づく。
【無慈悲な宣告】
「九条……九条ぉぉぉッ!!」
私は駆け寄ろうとしたが、足がすくんで動かない。
厳が、倒れた孫を見下ろしてため息をついた。
「……期待外れだ」
冷酷な声。
「これでは、システムを壊すことなど到底できん」
厳の視線が、私に向けられた。
「二階堂の孫よ。……お前が持っている『停止キー』も、これでは無用だな」
「……ッ」
「弱い継承者に、鍵を持つ資格はない」
厳が私に向かって手をかざす。
掌に膨大なエネルギーが収束していく。
「鍵ごと消えろ」
「いや……」
死ぬ。
本能がそう告げている。
でも、体は恐怖で縛られたように動かない。
「死ね」
放たれた衝撃波が、私を飲み込もうとした。
【砕け散る希望】
「逃げろォォォォォッ!!」
意識を失っていたはずの九条が、最後の力を振り絞って叫んだ。
彼が私の前に飛び込み、盾になろうとする。
でも、間に合わない。
衝撃波が私たちを直撃する。
ドンッ!!
「きゃぁぁぁぁっ!!」
私は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。
「うぅ……いッ……」
全身が痛い。でも、生きている?
九条が庇ってくれたおかげか、致命傷は避けたようだ。
私は何とか体を起こし――胸元に手をやった。
「……あ」
私の指先が触れたのは、虚空だった。
首にかかっていたチェーンが切れている。
そして、目の前の地面に、金色の破片が散らばっていた。
「嘘……」
ロケットが。
お祖父ちゃんの形見が。
唯一の希望だった『停止キー』が。
粉々に砕け散っていた。
「……終わりだ」
厳が近づいてくる。
九条は倒れ、シノも有馬も動けない。
そして、切り札の鍵も失われた。
「……ごめんなさい……九条……お祖父ちゃん……」
涙が溢れて止まらない。
絶望が、私の心を黒く塗り潰していく。
しかし。
私はまだ気づいていなかった。
砕け散ったロケットの残骸の中で、小さな「何か」が、微かに脈動し始めていることに。
完全敗北。
九条の剣は折れ、玲奈のロケットも砕けました。
これ以上ない絶望的な状況です。
No.1の強さは、まさに神の領域。
しかし、ロケットが壊れたことで、封印されていた「真の機能」が目覚めようとしています。
次回、玲奈の覚醒!
ただの「強運」ではない、彼女の本当の力が発動します。
「絶望感ヤバい……」「ここからどう逆転するの!?」と思っていただけたら、
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