表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『このゲームには秘密がある』 ~君が目覚めるまでのクエスト~  作者: 月祢美コウタ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/16

第16話「弾丸の雨と、歩く囮作戦」

お読みいただきありがとうございます。

第二部「反撃編」、スタートです。

玲奈たちが挑むのは、銃弾が飛び交うFPSガンシューティングの世界。

しかし、玲奈の装備とスキルは、戦場にはあまりに不向きでした。

「次のターゲットは『No.5』。FPSゲーム『バレット・ストーム』の廃墟エリアに潜伏しています」

有馬がモニターに荒廃した都市のマップを映し出す。

「エフピーエス?」

私は首を傾げた。

「ファースト・パーソン・シューター。要するに、銃で撃ち合うゲームだ」

九条が手入れしたばかりのアサルトライフル(のアバター装備)を点検しながら答える。

「えぇ!? 無理無理! 私、銃なんて撃ったことないし!」

私はブンブンと手を振った。

「エイム(照準)とか自信ないし、リロードとか分かんないし!」

「問題ない」

九条が真顔で私を見た。

「お前の役割は『撃つこと』じゃない」

「え?」

「ただ走れ。……敵のヘイト(注目)を集めろ」

「……それって、要するにデコイじゃん!!」


【蛍光色のマト


文句を言いながらも、私たちは『バレット・ストーム』にログインした。

転送された先は、瓦礫の山と化した灰色の都市フィールド。

空気は砂埃で煙り、遠くで乾いた銃声が響いている。

「うわ、リアル……」

私は自分のアバターを見下ろした。

そして、絶句した。

「……なにこれ」

九条は周囲の瓦礫に溶け込むような、高性能な迷彩服を着ている。

なのに、私は。

目がチカチカするような蛍光ピンクのダウンジャケットに、黄色いズボン。

「なんで私だけパリピみたいな格好なの!?」

『……バグですね』

インカムから有馬のため息交じりの声が聞こえる。

『部長のIDだけ、なぜか初期装備のテクスチャが読み込まれていません。エラー表示のデフォルトカラー……一番目立つ色になってます』

「最悪! こんなの『撃ってください』って言ってるようなもんじゃない!」

「いいや、好都合だ」

九条が冷徹に告げる。

「それなら、敵も無視できない。……行くぞ、二階堂」

「鬼! 悪魔!」


【見えない死神】


私たちは、味方のNPC部隊(傭兵たち)と共に、大通りを慎重に進んでいた。

私はハンドガンを持たされているが、正直、お守り程度にしかなっていない。

「……静かすぎる」

九条が銃を構えたまま、鋭い視線を周囲の廃ビルに向ける。

その時だった。

パンッ。

乾いた破裂音と共に、先頭を歩いていたNPCの頭がスイカのように弾け飛んだ。

「ひっ!?」

「スナイパーだ! 散開しろ!」

九条が叫ぶと同時に、NPCたちが物陰に滑り込む。

しかし。

パンッ。パァンッ。

隠れたはずのNPCたちが、次々とその場に崩れ落ちていく。

遮蔽物を貫通しているのか、それともあり得ない射角から撃っているのか。

『……解析不能!』

有馬の焦った声が響く。

『射程外からの攻撃です! 弾道計算ができません! この距離で百発百中なんて、チートを超えています!』

「姿が見えないんじゃ、戦いようがないわよ!」

私は瓦礫の陰で震え上がった。

相手は被験体No.5。

コードネーム『Snipeスナイプ』。

姿なき死神だ。

「……あぶり出すしかない」

九条が私を見た。

その目が何を言わんとしているか、分かってしまった。

「……嘘でしょ?」

「走れ、二階堂。……お前の『強運』なら、当たらない」

「根拠がないーっ!!」


【ラッキー・タンク】


「うわぁぁぁぁぁっ!!」

私はヤケクソで大通りに飛び出した。

蛍光ピンクのジャケットが、灰色の世界で嫌というほど目立つ。

「ここよ! 撃ってみなさいよヘボ砂ァ!」

精一杯の挑発(という名の悲鳴)。

瞬間。

ヒュンッ!!

風切り音が耳元を掠めた。

「ひいっ!?」

私は驚いて、足元の瓦礫に躓き、派手に転んだ。

ドシュッ!

直後、さっきまで私の頭があった空間を、大口径の弾丸が通過してコンクリートを粉砕した。

「……え?」

さらに2発目。

私は慌てて起き上がろうとして、バランスを崩して尻餅をついた。

カァン!!

頭上の錆びた看板が落下してきて、私の目の前で弾丸を弾いた。

「……あ、当たらない」

私の意思じゃない。

転んだり、物が落ちてきたり、靴紐が解けたり。

あらゆる「不幸な偶然」が、結果として最強の「回避行動」になっている。

『すごい……弾道予測がすべて外れています!』

有馬が興奮気味に叫ぶ。

『部長の予測不能な動きが、AIの照準を狂わせています!』

「計算じゃないわよ! 必死なだけよ!」


【高速の乱入者】


「……見えた!」

九条が叫ぶ。

私の囮のおかげで、敵の発砲位置が特定できたのだ。

ダダダダッ!

九条のアサルトライフルが火を吹き、300メートル先のビルの窓を粉砕する。

しかし。

「……チッ、逃げたか」

手応えがない。

敵もまた、人間離れした速度で移動している。

「こっちだ!」

九条が走り出す。私も慌てて追いかける。

だが、誘い込まれた先は、袋小路の路地裏だった。

「しまっ……」

九条が舌打ちする。

前方のビルの屋上。

そこに、揺らめく影があった。

ギリースーツ(迷彩服)を纏った人影。

その手には、身の丈ほどもある巨大な対物ライフルが握られている。

No.5だ。

ジャキッ。

巨大な銃口が、真っ直ぐに私に向けられる。

もう遮蔽物はない。

転んでも避けられない至近距離。

「……あ、詰んだ」

ゲームオーバーを覚悟した。

その時。


キィィィィンッ!!


横合いから、赤い閃光が走った。

「……え?」

No.5が放った必殺の弾丸が、空中で何かに弾き飛ばされ、火花を散らした。

「……遅いのよ、あんた達」

土煙の中から、小柄な影が現れる。

猫のようなしなやかな動き。

背中には身の丈に合わない巨大なガントレット。

あの日、格闘ゲームの決勝戦で私を絶望させた、あの少女だった。

「勘違いしないでよね」

少女――No.4は、不敵な笑みでNo.5を見据え、言い放った。

「あいつの首を取るのは、この私なんだから」


FPS編、開幕です。

蛍光ピンクの囮、いかがでしたでしょうか。

転んで弾を避ける主人公、斬新ですね。


そしてラストには、頼もしい(?)助っ人が登場!

かつての強敵が味方になる展開、燃えますよね。

次回、玲奈&九条&No.4の即席チームが、見えない死神に挑みます。


「玲奈の強運最強!」「ツンデレキター!」と思っていただけたら、

下にある【☆☆☆☆☆】マークで応援をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ