9.第二試験②
トーナメントの第二回戦、レインの相手は金髪の女性、クレア。静かで落ち着いた雰囲気を持つ彼女は、観客の間でもその名を知られていた。無口で、何を考えているのか分からないような雰囲気があり、どこか大人びた印象を与えている。
試合が始まると、レインは相手の手に持つものに驚きの表情を浮かべた。それは――「刀」だった。
「魔法学院の試験で、物理攻撃を使う者がいるとは…」レインは驚きと共に、警戒心を抱いた。魔法が中心となるこの場所で、刀を使うとは予想外だ。
クレアは無言で刀を構えると、静かに刀身を眺めながら、レインに向かって歩き始める。その歩みは穏やかで、まるで何も起こらないかのように見えた。
だが、次の瞬間、クレアは一瞬で間合いを詰めてきた。「《居合抜き》」
鋭い刃が空気を裂き、レインに向けて振り下ろされた。刃の速さは尋常ではなく、その攻撃の瞬間、レインはその危険を感じ取り、必死に反応した。
「速い…!」
レインはすぐに身を横にかわし、クレアの居合抜きを回避する。しかしその勢いは止まらず、クレアはさらに素早く動き、再度、攻撃を仕掛けてきた。
「これでは…!」
レインは身をひねり、またしても攻撃を避ける。しかしその速度に、レインはついていくのがやっとだった。居合抜きはただの技ではなく、クレアの体が放つ速さそのもので、レインにとっては本当に圧倒的な速さを誇っていた。
「弱いなら早く脱落を、しなよ」
「なんだとぉ!」
レインは冷静に考えた。「このままではいけない…」そんな思いが頭をよぎる。
そしてそのとき、レインは自分があらかじめ仕掛けておいた「光弾」の存在を思い出す。「よし…あれを使うチャンスだ!」
クレアがさらに間合いを詰めてきたその瞬間、レインはすばやく手のひらを掲げ、光弾を発動させた。まばゆい光が空間を貫き、レインの手元から飛び出した。
クレアは瞬時に反応し、その刀を振り上げて光弾に向かって切りつけた。「《居合抜き》」
音速を超える刀の一撃が、光弾と衝突する。その瞬間、衝撃が起こり、空間が揺れた。光弾と刀の激しい衝突が生じ、周囲に強い風圧を巻き起こした。
「クレア…!」レインはその光景を見つめ、心の中で冷静さを保ちながら、次の行動を考える。
だが、クレアはあまりにも速すぎて、光弾との衝突後も反応が一瞬遅れていた。その隙を突いて、レインは一歩後ろに下がり、冷静に次の戦いを準備する。
観客たちの興奮した声が響く中、試合はまだ続いていた。どちらが先に決着をつけるのか、その運命がどう転がるのか――その瞬間まで、レインもクレアも手を緩めることなく戦い続けていた。